BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――初日の朝は慌ただしく

 

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 初日の朝は、ピットがざわつく。報道陣も多いし、選手たちが朝から忙しく調整しているからだ。調整は毎日のことにしても、前検日を終えて、その感触をもとにしての調整はひたすら慌ただしい。前半レースを走る選手たちは時間もないから、ピット内を走って移動する選手も少なくないのだ。まあ、笠原亮は初日に限らず、よく走っているけど。今日もほんの小一時間くらいの間に3回、走っているのを見た。ともあれ、初日の朝は装着場の隅に突っ立っているだけで、多くの選手の往来を目にするのである。

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 もろもろ歩き回っている間になぜか複数回、顔を合わせることになったのは田中信一郎と吉川元浩。どうやら、彼らの動く場所に僕もふらふらと徘徊していたらしい。目障りなデヴですみません。田中はレースが迫っているので当然だが(3R出走)、吉川はドリーム出走なので時間があるにもかかわらず、すでにピリピリとした緊張感が伝わるたたずまい。会釈してすれ違うだけでこちらも背筋が伸びるわけだが、このSGの雰囲気はやはりたまらない。

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 整備室をのぞくと、篠崎元志が本体を割っていた。というか、割った本体を組んでいる最中だった。10号機の仁志は朝からプロペラ調整で、なかなか対照的な兄弟の初日朝である。ただし、元志は特に部品交換はしなかったようだ。結果としては点検ということになるだろうか。「何かやらなきゃいけないと思って、本体を割りました」が元志の弁。「何かやらなきゃ」の部分に、何かを打破したい思いがこめられていると感じた。

 元志は今年の序盤、昨年暮れの大怪我を引きずって、我慢の時を過ごした。2月には戦列復帰したが、事故点過多、出走回数不足などが現実的な危機として元志に立ちはだかっていた。本格的に元志らしいレースができるようになったのは春頃からだろうか。その分の出遅れが、現在でもまだ18位の圏外を強いられるという状況を生んでいる。このダービーは大事な勝負なのだ。

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 グランプリ戦線というのは実にシビアなもので、3カ月のF休みで3つのSGを棒に振った瓜生正義も、18位以内にその名前はない。さらに、瓜生は来月のチャレンジカップも走れない。F休みが明けた後も一般戦回りを強いられている。といった状況は、あの瓜生をもってしても、ダービーで勝負駆けという崖っぷちに追い込まれてしまうわけである。その瓜生は、いつも通り、穏やかに、淡々と作業を進めていた。今朝はペラ調整で、ひとまず本体には触っていないようだった。今節、瓜生がどんな勝負手を見せてくれるのか、楽しみだ。

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 さてさて、1Rと2Rはイン逃げ決着。どっちも1号艇を本命にしていないワタシは大外れ。1号艇本命の3Rは④⑤⑥セットと、やっぱりワタシはホーム平和島が苦手なのでしょうか……。というのはともかく、1Rで勝った魚谷智之は大阪勢と笑顔で会話をかわし、2Rで勝った長嶋万記は粛々とした表情で控室へ、と少々対照的なレース後であった。魚谷からは、近況の好調ぶりを改めて感じることができたし、長嶋はSGの舞台に強い気持ちで臨んでいるのだろうと察せられた。初日の序盤レースという、調整時間がほとんどないなかでの1号艇は、決して歓迎されるものではないという。その簡単でない1号艇をしっかりクリアしたのは、2人にとって大きいだろう。魚谷には10年ぶりのSG制覇を、長嶋には参戦SG2連続準優出を期待しよう。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)