BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――終盤の整備室にて

 

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「♪生まれ変わったよ~」

 覗き込んでいた整備室に背を向けて、別の場所に移動しようとしたとき、背中から歌うような声が聞こえてきた。振り向いたら、モーターの水分をエアーで飛ばそうとしていた池田浩二だった。ゴキゲンなのか? それとも? これ、今節助っ人としてピット入りしている、BOATBoyでもお馴染みの三島敬一郎が「どうですか?」と尋ねて、それに応えたものだった。どうですか? 生まれ変わったよ。整備をして、何か手応えがあったということなのか!? ここまでは明らかに機力で苦しんでいる池田の足色に変化があるかどうかは、明日必ずチェックしよう。

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 整備室には篠崎仁志もいて、ステアリングバー(ハンドルとモーターをつなぐワイヤーをとりつける部品)を交換したようだ。仁志にそれを確認すると、「別に足色が変わるものではないですから」と一言。そりゃまあその通りで、これが曲がっていたりすると操縦性に違和感が出たりする、というような部分だ。だから、10号機に異変とか、そういうお話ではない。ただ、少し気になったのは、仁志が10号機についての質問を警戒しているのではないか、と推察された点だ。大きな注目を集めながら、初日2日目と結果につなげられていない。仁志自身、苦しい思いをしているだろうし、10号機というフィルターを通して注目されているという意識も苦々しいものに違いない。ようするに、少し神経質になっているように思えたのだ。これを打破できるのは、結果しかない。明日は5号艇という枠ではあるが、もろもろを払拭するだけの走りができることを期待しよう。

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 本日連勝の角谷健吾もやはり整備室で見たが、これはモーター格納作業のようだった。穏やかな顔つきで、実に丁寧にモーターを拭いたり、残った水分をエアーで飛ばしたりしていた。まるで相棒を慈しむかのような風情だ。初日5着を大きく巻き返した2日目。東都のエースと呼ばれるケンゴが不在なだけに、こちらのケンゴに奮闘を期待したい。雰囲気は上々、である。

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 あと、整備室には寺田千恵の姿も。作業はゲージ擦りだった。整備調整ではないのである。数字的にはたいしたことのないモーターながら、2走して3着2本と悪くない成績。レースでの足色は決して悪くは見えない。そんなテラッチがゲージ擦りに以降したわけだから、急いで整備する必要はない=手応え上々ということになるだろう。SGではなかなか結果を出せていない史上初の女子SGファイナリスト。今節はおおいに期待したいところである。

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 さてさて、終盤は逃げ切り連発で締められたのだが、勝者の表情はやや違っていた。11Rの白井英治は、余裕たっぷりの表情。前検から足色の良さを表明しており、成績も上々だから、そんな雰囲気になるのも自然というもの。勝利者インタビューなどを終えたあとは、山口支部勢の艇旗艇番準備をしており、珍しがるこちらに「祥が2便(の帰宿バス)で帰っちゃったから、俺、新兵」とおどけて笑っていた。実に柔らかだ。減量中のピリピリ感も皆無。

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 12Rの篠崎元志は、安堵、という雰囲気だった。機力的に苦労しており、この12Rは好モーターが居並んでいたこともあって、決して安泰のイン戦ではなかったと思う。ここをしのぎ、明日につなげたことは間違いなく大きい。いろんな思いがこみ上げての安堵、であったことだろう。仁志ともども、3日目から本格的な巻き返しだ!(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)