BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――勝負駆けだ!

 

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 爽快な空気のピットに入って、まず目に飛び込んできたのは、毒島誠と篠崎仁志が話し合う姿。おそらく足合わせの様子の振り返りだろう。装着場にはそれほど多くの選手がいたわけではなく、二人の姿は非常に目立っていた。話が終わると、仁志は係留所へ、毒島はペラ調整所へ。勝負駆けの4日目朝、急ピッチで調整は進む。ペラ室は混雑しており、試運転係留所にもボートは多数、誰もが悔いなき戦いをするべく、精力的に動いているわけだ。

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 毒島と仁志が別れたのを見ていたら、完全に集中モードに入った菊地孝平が、プロペラを手に通り過ぎていった。今日は11R1回乗りだが、すでに戦闘態勢に入っていると見受けられる。ほんの数m先を歩いているが、ちょっと声をかけにくい雰囲気だ。調整もすでに本格的に始めていたようで、その後はプロペラをボートに装着していたから試運転にも飛び出す構えだ。菊地は昨日、不良航法の減点があったので、今日は勝負駆けを強いられている。それをクリアするべく、いや、ただただ勝利を掴むべく、長い一日を目いっぱい使うことになりそうだ。

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 そうした調整作業に忙しい選手がいる一方で、昨日からゲージ擦りをする選手が増えてきているような感覚がある。昨日だったら長嶋万記の姿があったし、今日は桐生順平、齊藤仁が作業をしていた。さらに、角谷健吾がゲージを持って整備室へ向かうのも見た。何度も書いているが、ゲージ擦り=プロペラゲージを作る作業は、使用しているモーターの機力に関わる作業ではない。先を見据えての作業とも言える。それをする選手が増えてきたのだとすれば、好仕上がりをキープした選手も増えてきたということになる。それも4日目あたりの風景ということになろうか。

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 勝負駆けということで、レース後の様子にも触れておこう。顕著に肩を落としたのは、中島孝平だ。まくり差しが決まって先頭に立ったが、田中信一郎に差し返されて2着。ボーダーを5・60とすれば1着条件だっただけに、この着下げは痛い。今垣光太郎と会話を交わす様子もどこか力弱く、無念の思いがにじんでいるように思えた。

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 2着2本が必要だった赤岩善生も、肩を落としていたように見えた。というより、仲間が引いていくボートを追う足取りが、妙に遅かったのだ。赤岩は平尾崇典と3着を競って、しかし4着。3着が獲れていれば、後半の1号艇で1着勝負となっていた。それがかなわないのだ。選手がどこまで得点状況を把握しているのかは、わからない。というより、通常は6・00を目安にして、そこを目指している。だから、そこがボーダーになったとしたら1着でも届かない中島や、さらにいい着が必要だった赤岩は、単純に敗戦を悔やんでいたのかもしれない。しかし、勝負駆けの日の着順ひとつの差はやはり大きい。単なる敗戦ではないはずだ。

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 悲喜こもごもが巻き起こる勝負駆けデー。少々ピリピリもしている空気の中、松井繁が係留所へ猛ダッシュする姿もあった。王者の全力疾走! 単に松井が走って試運転に向かっただけ、なんだけど、それが勝負駆けを象徴するシーンのようにも思えたのでありました。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)