BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――早い始動

 

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 朝から本降りの雨だ。湿度も90%を超え、気温は低い。こうしたなかでも、選手たちは必死で戦う。走る。試運転を切り上げた田中信一郎がびしょ濡れでピットに戻ってくる。同門の湯川浩司と顔を見合わせて笑ってはいたが、今日の作業は本当に大変だ。大変でも、選手はそれをやり抜く。

 朝に行なわれた優出選手インタビューを終えてピットに戻ったベスト6は、早々に動き出している。すぐにペラ室に陣取ったのは、ポールポジションの魚谷智之。「今日のコンディションにしっかり合わせたい」と優出インタビューでは言っていて、早くもその作業を始めたわけだ。この時間帯の優出メンバーは、まだゆったりと余裕の時間を過ごしていることが多いものだが、今日は1号艇が早くも動いたわけである。

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 前本泰和も、ペラ室に入った。いつものポジションとは50cmほどずれてはいるが、ペラ室のいちばん手前にしゃがみ込んで、調整を始めた。表情はいつもと変わらず淡々としたものだ。深川真二は、モーターに着いたままだったペラを外していた。そのままペラ室に向かうかと思ったが、一息ついてから始めるようだった。進入のカギを握る外枠2人が、早い時間帯からペラ調整。起こしが深くなることは既定路線なのだから、それに対応する調整を早くから始めるということである。

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 進入では最も悩ましいポジションであろう今垣光太郎も、ペラ調整だ。それも、けっこう強い叩き方をしているときもあった。伸びは中堅上位はあるというから、出足回り足が仕上がっていない以上、そちらに特化する手はある。しかし、ダッシュならほぼ6コース確定だろう。それを避けたいのなら、出足回り足を求めるのか。感触がもうひとつだから、中途半端な調整は許されないのだ。話を聞いてみたかったが、そんなタイミングは1秒も見つけられなかった。それほど没頭して調整しているのである。

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 優出インタビューではハロウィンのかぶりものをして沸かせた峰竜太。「前検の人にファンからもらって、ここでつけるしかないと思って。ややスベリでしたね(笑)」。うん、そう思う。プレゼントしたファンの責任ではなくて、特にパフォーマンスしなかった峰竜太が悪い(笑)。というのはともかく、ピットでの作業はもちろん真剣そのものである。本格的な作業を始めていたわけではなかったが、ペラをモーターから外すにしても、整備室に向かうにしても、表情は鋭い。緊張しているようには見えないが、すでに勝負モードには入っている。

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 そうしたなか、ただ一人、余裕を見せていたのが白井英治である。なにしろ、モーターを装着したのが2R終了後だ。それまではエンジン吊りで姿を見せた以外は、控室から出てくることはなかった。モーター装着後に軽く挨拶を交わしたら、目力は相当に強かった。雰囲気は抜群と言っていいだろう。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)