●１ｓｔ組
早くも勝負の時を迎えるトライアル１ｓｔ組は、朝から精力的である。たったの２走で運命が決まるのだから、時間的な余裕はほとんどないと言っていい。初戦を１号艇で迎える松井繁も、１Ｒ展示前にはすでにボートが係留所にあり、ペラ調整を挟んで、１Ｒ発売中には試運転に飛び出した。ピットに戻り、ふたたびペラ室へ。そしてまた、水面へ。松井にしてみれば「いつも通り」ということになるわけだが、11Ｒ出走にもかかわらずこれだけ早くから走り回っているあたりに、短期決戦への気合を感じずにはいられない。
田中信一郎はギアケース調整。まあ、これもいつも通りの作業ではあろうが、１Ｒ発売中には装着してペラ調整に向かっており、どうしても早い動き出しと見たくなってしまう。表情はまだ柔らかいが、11Ｒが近づくにしたがってどんどんと迫力を増していくことだろう。
森高一真は本体整備に取り組んだようだ。１Ｒ発売中のことだが、森高が整備室から本体を運び出して装着していたのだ。何をどうしたのかは、ちょっと聞ける雰囲気ではなかった。いかつい顔で作業をし、すぐに水面に飛び出そうとしていたからだ。前検で得た手応えは「劣勢」。これを立て直すための時間は、限られている。予選４日間で仕上げれば、などと悠長なことを言っていられないのがトライアル１ｓｔ。その緊張感のようなものが森高の表情にはあった。
ペラ室を覗けば、篠崎仁志、原田幸哉、菊地孝平らがペラを叩く姿が目に入った。３人ともボートは装着場にあったが、２Ｒ発売中までにはペラを装着していたから、やはり早々に試運転に向かうであろうことが予想された。それぞれの表情は、まさに勝負駆けに臨む者のそれである。トライアル１ｓｔは初戦から圧倒的に、勝負どころなのである。
●２ｎｄ組
対する２ｎｄ組は、１Ｒ発売中には峰竜太、桐生順平、白井英治、寺田祥のボートにはまだモーターが装着されていなかった。今日と明日をまるまる調整に使えるのが２ｎｄ組。それほど急いで作業に取り掛かる必要はない。ただし、寺田の姿はペラ室にあった。モーター装着前にまず、ペラを叩いたのだ。「本気の走り」と開会式で寺田は言った。これもまた、その姿勢ということだろうか。なお、たぶん偶然だが、その４人は１Ｒのエンジン吊りが終わるとほぼ同時にモーターを装着した。
１Ｒ発売中、井口佳典はすでに試運転を走っている。これはなかなか早い動き出しと言えるだろう。新田雄史と足合わせをしている場面もあった。そして、石野貴之のボートも係留所にあった。試運転をしているところは見ていないが、整備室から勢いよく飛び出してペラ室へと全力で駆けていく姿は見ている。１Ｒ展示前にはすでに水面を駆け、その感触をもとにすぐに調整に没頭したということだろう。引きたくなかったモーターをこの２日間で底上げしようと、早くも多忙の時を過ごしているのだ。（ＰＨＯＴＯ／中尾茂幸 黒須田 ＴＥＸＴ／黒須田）
トライアル組のモーターのプレートが、グランプリ仕様に！
さらに、上位６基を「オレンジモーター」として数字をオレンジ色にして目立たせている住之江。当然、トライアル２ｎｄ組のモーターがオレンジモーターです！
