崖っぷちからの浮上
11Ｒ 進入順
①森高一真（香川）05
②中田竜太（埼玉）06
⑤松井 繁（大阪）07
③毒島 誠（群馬）08
④篠崎仁志（福岡）12
⑥原田幸哉（長崎）09
トライアル2ndへ４着以内が欲しかった王者・松井が、ピットアウトから後輩レーサーを攪乱した。スタート展示はソコソコ激しく動いて４コース、本番ではさらにゴリゴリ動いて毒島と仁志を出し抜き３コースＧＥＴ！ さすがの勝負師だ。
とはいえ、このレースの主役はインからしっかり押しきった森高だ。私は昨日の当欄で「おそらく大整備を施す」と予言していたが、今日の森高は部品交換などのギャンブルを打つことなく実戦へ。それで大丈夫なのか？ と思ったものだが、森高流の整備で当たりを見出したのだろう。スタート展示の起こしから軽快な動きだったし、展示タイムも昨日よりはるかに上向いていた。
そして、スタートは絶品のコンマ05！ スリットから森高だけがスーーッと伸びていたから、おそらく全速だろう。サバサバした気性ながら、ここ一番の勝負所では腹を括って虎穴に飛び込む。そんな森高らしい男気溢れるスタートだった。あとは、半艇身ほどのアドバンテージを保ったまま、１マークを先取りして一人旅。トライアル2ndへと続く花道をまっしぐらに突き進んだ。私の脳内レースでは「逃げるとしても、敵の舳先が届くかどうかギリギリの接戦」という光景だったのだが、予想以上に余力のある勝ちっぷりだった。パワーアップのなせる業か。今日の足色ならば、明日は６コースからでも見せ場を作る可能性はあると思う。
２着はすでに完走当確と目されていた毒島。２コース中田の差しがやや流れたところを、４コースから狙いすましたほぼ全速の差しハンドルを突き刺していた。例によって初動の判断と直後のターンスピードは比類ないほどに早くて速かった。
その毒島を３番手から追撃したのは、やはり松井だった。１マークで迷わず握り、後続を引き離してからの“安全圏”での２着争い。毒島には一歩届かなかったが、進入争いといいスタート（コンマ07）といい１マークの立ち回りといい、「こうすれば2ndに進出できる」というお手本のようなレースっぷりだった。お見事。
一方、５着の仁志、６着の中田がともに17点というほぼほぼ絶望的なポイントで1stを終えた。さらに４着の原田も20点で推定ボーダーの21点に届かなかったのだが……。
まくり屋の咆哮
12Ｒ
①田中信一郎（大阪）15
②深川真二（佐賀） 15
③魚谷智之（兵庫） 20
④菊地孝平（静岡） 13
⑤茅原悠紀（岡山） 18
⑥前本泰和（広島） 16
このレースのキーマン前本がスタート展示から動きを見せたが、茅原が徹底ブロックして枠なりに。本番でも茅原が警戒を緩めず、４号艇の菊地からゆっくりと舳先を翻した。展示タイムも抜けていた菊地39号機の４カド。それだけでも十分な脅威なのに、スタートタイミングも御覧の通り。トップスタートからフルスロットルで飛び出し、伸びなり一気に舳先を左に傾けた。絞める絞める！
最近の菊地はダッシュで主導権を握ると、徹底してインまで攻め潰しに行くことが多い。今日も魚谷、深川を叩くと、まんまレバー握りっぱなしで信一郎に襲い掛かった。電光石火の４カド絞めまくり。抵抗する余力すらなかった信一郎は、この瞬間に４度目の黄金メットの夢を絶たれたと言っていいだろう。そして、怖い怖い菊地39号機の2nd進出が同時に内定となった。
菊地独走の後方で、大混戦になったのが２着争いだ。２マークの手前では魚谷、深川、前本が舳先を揃え、もんどりうってターンマークに殺到。魚谷と深川はぶつかり合いながら旋回し、誰が抜け出すのかまったく分からない攻防になった。結果は、２着が欲しい前本、３着が欲しい深川を尻目に、昨日の落水でＧＰ圏外に散った魚谷が力強く抜け出した。残酷な結末ではあるが、まったく緩めることなく全力で２着を獲りきった魚谷に拍手を送りたい。６コースからあわや２着の力走を見せた前本にも感動させられた。そして……深川の1st敗退は残念無念。一度でいいから６号艇での雄姿を見たかったなぁ（涙）。うん、これは宿題として来年以降に見せてもらうとしよう。頼んだぞ、深川！
３着はすでに完走当確の茅原で、前出３人の激闘をかいくぐるようにしてバック５番手から勝負駆けのふたりを追い抜いた。昨日の差しきり、今日の追い上げともに、2ndでも十分に通用するパワーだと思う。あの平和島の奇跡を、今度は住之江でやらかしてしまうのか!?
さてさて、このレースから2ndに駒を進めたのは、菊地と茅原のふたりだけ。得点６位でギリギリ滑り込んだのは……11Ｒで４着に甘んじた原田だった。最大の“勝因”はと言えば圏外の魚谷が奮闘したからで、結果論だけで言うなら「同期の愛情たっぷりの援護射撃」ってなことになったわけだ（笑）。勝者６人と敗者６人は、明日から別々のステージでそれぞれの優勝を目指すことになる。
とんでも56歳!!
一方、シリーズ戦２日目のＭＶＰは……文句なしにミスター今村豊でしょっ！ 口開けの１Ｒはスローの５コースからひとまくり。これだけでもＭＶＰ候補になりそうなド派手な勝ちっぷりだったが、この56歳の“中年の星”はまったく満足していなかった。なんとなんと、後半の８Ｒでも２コースからスリットほぼ同体の江口晃生をジカまくりで攻め潰してしまった。このイン天国の住之江で、あっと驚く２連続まくりでピンピン連勝って、あなた。
もちろん、この20点増しで久々のＳＧ制覇に近づいたわけだが、私が勝手に想像するに「白井＆寺田よ、56歳の俺にもできるんだから、お前たちもスリットからがんがん暴れてみせろ」というメッセージだったのでは？ その真偽はともかくとして、トライアル2ndに臨む長州コンビの士気を高める連勝だったと思う。このままの勢いで「子弟のクリスマスＷ優勝」なんていう出来過ぎの快挙を目撃したいなぁ。
そうそう、明日からトライアル1st組から６人が参戦するので、現時点でのポイントランキングを抜粋しておこう。
シリーズ予選順位
①中島孝平
②深川真二★
③辻 栄蔵
④田中信一郎★
⑤前本泰和★
⑥篠崎仁志★
⑦湯川浩司
⑧山田康二
⑨篠崎元志
⑩坪井康晴
⑪新田雄史
⑫中田竜太★
……
39魚谷智之★
※★は1st組
なるほど、今年から1st組のポイントがアップしたため、５人が12位以内に食い込んでいる。でもってシリーズ組からすると……今日の連勝で7・33までポイントアップした今村でも13位だし、私の前検◎下條雄太郎に至っては6・67でボーダー真上の第18位!!?? うーーん、明日のシリーズ復活戦も点増しで、さらに1st組が優位に立ちそうだ。ミスターと下條には是非とも予選を勝ち抜いて、セレブな1st組と対等以上に渡り合ってもらいたい。頑張れーー!!（text/畠山、photos/シギー中尾）
