BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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住之江GP&シリーズTOPICS 4日目

真打の逆襲

 

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11R 並び順

①毒島 誠(群馬)05

⑤原田幸哉(長崎)10

⑥石野貴之(大阪)07

②井口佳典(三重)03

③茅原悠紀(岡山)03

④寺田 祥(山口)07

 

 石野と原田。1日早い勝負駆けのふたりが動いた。前付けした石野に内から抵抗しつつ、原田も連動して2・3コースへ。2号艇の井口は悠然とこのふたりを招き入れ、舳先をくるり翻す。この井口10号機の攻めに期待した茅原、寺田もそれに続き、少し意外な156/234という隊形になった。

 

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 もちろん、キーマンは4カドの井口だ。凄まじい行き足でまくりきった昨日の再現なるか。12秒針が回ってダッシュ勢が始動し、スリットに近づくに従ってその可能性が高まってゆく。井口の行き足がピッカピカに光っていた。しかも、そのスタートはコンマ03! スリット直前にアジャストしたように見えたが、それでもシュッと伸びてゆく。さすがの10号機。瞬く間に内の石野を半艇身ほど出し抜いたが、そこから石野も伸び返す。昨日は真ん中の桐生が凹んだために、一気に叩き潰された。今日は密接している分だけ、井口もおいそれとは動けない。ストレート足はしっかりしている石野がジリジリ伸び返し、1マークの手前まで直進して井口のブロックに専念。そして、2コースの原田がツケマイに動くのも横目で見ながら、差しハンドルを繰り出した。逃げる毒島には届かなかったものの、焦らず騒がず2着キープ。貴重な9点を加算して、明日への夢をつなげた石野だった。

 

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 灼熱のスリット隊形の中、コンマ05でしっかり逃げきった毒島は見事の一語。今日の毒島64号機は、6R後の試運転あたりから昨日までとは別物の足色に見えた。井口や菊地と合わせてターン回りは一緒、直線でもしっかり食らい付いていた。トライアル1stではセット交換でパワーアップに成功したが、今日も何らかの整備で当たりを見出したのだろう。このパワーなら、ファイナルでも勝ち負けに持ち込めると思う。

 

超抜モーターの明暗

 

12R 並び順

①桐生順平(埼玉)07

②白井英治(山口)09

③峰 竜太(佐賀)15

④松井 繁(大阪)11

⑥菊地孝平(静岡)05

⑤森高一真(香川)03

 

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 待機行動はスタート展示の方がはるかに熾烈だった。松井が峰にツケマイ気味のチャージを仕掛けて3コース強奪。この一撃で大量の水をもらった峰はコース争いを捨てて水掻きに専念。流れ流れて6コースからの進入になった。

 

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 が、いざ本番は松井が緩め、森高と菊地が入れ替わっての12346/5。それなりに穏やかな隊形から、スリットで一気に飛び出したのはやはり菊地39号機だ。伸びなりに半艇身ほど覗くと、例によって迷うことなく内を絞めはじめた。松井が舳先半分で抵抗するがお構いなし。ゴリゴリに攻め潰した勢いで峰、白井の舳先を追い越し、そこからまくり差しのハンドルに切り替えた。39号機のパワー&菊地のスタート勘……やはり脅威と呼ぶしかない。

 

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 ただし、菊地が豪快な攻めでまくり差しに構えたときには、もうインの桐生は1マークを回りきっていた。昨日の峰といい今日の毒島、桐生といい、スピード違反の切符を切りたくなるほどの速さだ。それぞれのパワーも順調に仕上がっており、スリット横一線になってしまえば彼らのインモンキーに誰が太刀打ちできるか。私の脳裏にその候補者はいない。明日もまた1号艇を引き当てた桐生(峰も、だ!)。波乱がありえるとすれば、熾烈な進入争いかスタート一撃のような奇襲強襲があった時のみ、だろう。そのどちらかは、十分にありえるけれど……(ニヤリ)

 

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 さてさて、個人的に書きたいのは白井12号機だ。どうした、エース機???? 今日は菊地の攻撃を浴びつつ冷静な差しハンドルを入れたように見えたが、ターンの出口からの押しがない。あっという間に左右から菊地と森高に追い抜かれてしまった。まあ、それは展開に拠る部分も大きかったのだが、1周2マークの3着争いでは回った瞬間にキャビキャビの振り込み、大失速。その後の競り合いでも松井と茅原を捕えきれず、よもやの6着に終わってしまった。寺田や今村との足合わせでは十分強めに見えるのに……昨日と同じ「明日こそは!」と言うしかないのだが、そのトーンは昨日よりはるかに低くなってしまった。やはり、直前のペラ交換なのか…………。白井にとって、唯一の救いは①着勝負駆けの可能性を残したことだろう。同じく、菊地の強襲を浴びて5着に敗れた松井もメイチ①着勝負。そして、明日のふたりは揃って6号艇。「泣きっ面にハチ」とも呼ぶべき流れの悪さだが、もちろん大逆転の可能性は残されている。おそらく、ピットアウトから瞬きひとつできない“勝負手”が繰り出されるだろう。

 

GPシリーズ・THE勝負駆け

師弟と私の見果てぬ夢

 

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 昨日は信一郎&湯川の「兄弟弟子によるファイナル・ワンツー決着があるかも?」と記したが、今日はさらに大がかりな“夢”が膨らむ1日となった。GP井口&シリーズ新田の「師弟コンビによるSG同日W制覇」だ!

 昨日まで大阪コンビに次ぐ予選3位に付けていた新田雄史は、今日の4Rで5コースから的確な捌きで2着をもぎ取り8・50で予選を終えた。この時点で、新田を超える可能性があるのは大阪コンビのふたりのみ。

 

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 まずは8Rの湯川が同じ5号艇から「新田超え」にアタック。②着以内でそれは実現したのだが、わずかに及ばず3着止まり。ポールポジションの可能性は、10R6号艇の兄弟子・信一郎に託された。ただし、前半の3着で勝率を下げた信一郎の予選トップ条件は、メイチの1着のみ! それも踏まえて「前付けもあるか?」と思いきや、信一郎は泰然と6コースから勝負。バック3番手から強烈な切り返しなどで2番手まで浮上したが、逃げる田村隆信を捕えきることはできなかった。新田と同率ながら、着順点の差で予選2位。

 

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 インの強い住之江だけに、この瞬間に新田のV確率がグンとアップしたと考えていいだろう。あとふたつ逃げきれば、久々にして2度目のSGタイトルが手に入る。そしてそして、GP組では師匠の井口がほぼほぼファイナル当確、明日の結果次第ではファイナル1号艇の可能性も残されている。新田の立ち位置と井口10号機のパワーを考えれば、同日W優勝は大いにありえるとお伝えしておこう。

 つい1カ月前の下関チャレカ優勝戦の道中、「ここで弟子が師匠を追い抜けば、ふたり揃ってGP進出」というやや複雑なシチュエーションが生まれた。そんな弟子の切り返しを師匠は一撃の抱きマイで交わし去り、ふたりは別々の舞台に立つことになった。そして、その師弟がそれぞれの舞台で頂点に、なんてことになったら、なかなかにドラマチックなXmasストーリーではあるな。あ、これを今日の時点で書いてしまったのは、ちょいと非常識なフライングだったかも?(笑)

 

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 一方、準優ボーダー勝負駆けに関しては、やはり前検◎の下條雄太郎のことを書く。今日の雄太郎は3Rで目の覚めるような4コースまくり差しを決めて、予選勝率を6・40までアップさせた。「うむ、よくぞ勝ってくれた。これで準優の4号艇あたりだな」と高を括っていたらば、最終的な準優ボーダーはまんまの6・40!! ほぼギリギリの17位で予選を突破したのだった。もちろん明日は6号艇という激辛の境遇になったわけだが、乗った限りは可能性はゼロではない。三重の師弟コンビの夢にはほど遠い、私個人の勝手な愉しみではあるけれど、下條&菊地の優勝による「前検◎レーサーのSG5連覇」という夢をもう少しだけ見続けていたい。できることなら、Xmasイヴの夕刻まで!!(text/畠山、photos/シギー中尾)