BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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レディースオールスター4日目ピットレポート後半――勝負駆け

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 予選最終日。事故多発。
 勝負駆けの日だから、そうなりがちではある。そしてその警告も大事。整備室の入口には大書されていた。でも今日はお見事、無事故です! 激戦のバトルもありながら、事故なく12レースを終えたレディースに拍手! 今節は初日に事故が相次いだが、その後は無事故を貫けている。明日も明後日もこの流れが続きますよう。

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 激烈だったのは12R。長嶋万記が逃げ切って勝負駆け成功、細川裕子がそれに続き、接戦となったのはその後ろ。当初は4着勝負の中谷朋子が3番手をリードする展開も、初日転覆もあってすでに終戦状態の浜田亜理沙と無事故完走の倉持莉々が絡んできたことで、バチバチのバトルとなった。特に中谷と浜田は艇を併せての激戦。結果、浜田が3番手をもぎ取るのだが、中谷は倉持にも逆転を許してしまう。5着では予選落ちだ……。

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 穏やかな顔つきを保つ中谷だが、やはり悔しさは滲み出てしまう。浜田、倉持がレース後の挨拶のために歩み寄り、やはり穏やかに返しはするが、笑みが浮かぼうはずがなかった。予選前半の快走を思えば、後半の失速は痛すぎる。露骨に顔を歪めておかしくない場面に、中谷はただ悔恨を噛み締めて耐えているように見えた。

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 中谷が予選落ちとなって、18位に滑り込んだのは小野生奈。報道陣は即座に小野を囲んでコメント取りを始めている。その横をうつむき加減に通り過ぎる中谷の姿が痛々しいわけだが……小野は快活に取材に応えている。

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 12R発売中、小野は水面際に出てきている。見つめる視線の先には、竹井奈美。竹井は延々と試運転を繰り返していた。一見すれば、盟友の走りを見守っているというシーン。しかしその時点では18位だったということを考えると(12Rで長嶋が逃げ切れば19位に落ちる)、別の想像もしてみたくなるわけで。見つめていたのは予選の自分の走りとその反省点、とか。まあ、その後に竹井や今井美亜や薮内瑞希など、最後まで試運転を続けていた選手が切り上げて陸に戻ると、率先してエンジン吊りに向かったから、ただ単に終わるのを待っていただけかもしれないけど。

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 そうそう、今日も今日とて試運転を遅くまでしている選手は実に多かったのだが(小野も11R発売中までやっていた)、陸でも全力で駆け回っている選手が。水野望美だ。どこにいても、試運転終わりの選手が上がってくると、水野はほぼ一番乗りで駆けつける。10R発売中以降、試運転終わり選手のエンジン吊りのすべてに、水野の姿があった。その察知力というか、アンテナの張り具合はきっとレースにも活かされるのだと思う。何より、その健気な動きには声援を送りたくなろうというもの。準優、頑張れ!

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 勝負駆けに戻る。今日の勝負駆けは、18位以内と以下の入れ替えがあまり起こらなかった。8R時点の順位で、18位以内にいた選手が準優漏れとなったのは宇野弥生と中谷のみ。逆に18位以下から準優圏内に這い上がったのは小野と長嶋のみ。たとえば、11Rでは1マーク差した海野ゆかりと2マーク差し返した川野芽唯でなかなかの激戦になったが、それは予選突破を争うものではなかった(それでも、差し返された海野は、カポックを脱ぎながら、時に口元を歪めていた。負ければ何であれ悔しいのだ!)。

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 大山千広も、2着を悔やんでいた。10R1号艇。もちろん必勝の構え。しかし、遠藤エミに差されて2着。うーん、悔しい! とばかりに顔をしかめる大山千広。

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「まあ、そういうこともあら~な」
 背中のその言葉を思い出して、力強く前へと進め! 準優は、遠藤と同じレースとなった。地元のエース、何より女子戦線のエース、モーターもエースの1号艇を相手にするのはなかなか難儀だが、リベンジのチャンスをさっそく得たわけである。怯むことなく挑め!

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 で、11R、中村桃佳は「予選1位」勝負駆けなのであった。10Rで遠藤が勝ち、中村がトップに立つ条件は1着のみ。もっとも、遠藤のすぐ次のレースを走る中村が、それを把握していたかどうかはわからない。わかっていたとするなら、自分が勝てば8R時点で暫定1位だった自分が遠藤に超えられることはない、という程度か。
 中村は3着。うん、悔しそうだ。単に敗れたことに対する悔しさか、予選トップ通過がかなわなかった予感が呼び起こした悔しさか。あるいはその両方か。憮然とも見えるその表情に、この人はやはり大物なのだなと思った。予選2位通過。エースのエミに迫る最右翼は、やっぱりこの人である。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)