BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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浜名湖クラシックTOPICS 2日目

下剋上の旗手は誰??

 総理杯=クラシックといえば「SG初優勝の宝庫」。今節もSG覇者25人に対してSG無冠レーサー27人が艇界のてっぺんを目指している。少し気が早いが、2日目を見終わっての有力候補をピックアップしておこう。

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 あ、その前に、戦前の私のSG初V候補は徳増秀樹だった。東海地区選を優勝しての滑り込み参戦という流れは、同じ静岡支部の重野哲之に合致する(大震災による代替シリーズの優勝ではあったが)。それに、ここ数年は「SGに近い男」と呼ばれた選手たちが次々と“卒業”しており、次は徳増や萩原秀人といったSG常連の順番ではないかと踏んでもいた。特に徳増には地元水面というメリットもあり、絶好のチャンスと見ていたのだが……如何せん、機力に恵まれずに5・5・3着と出遅れてしまった。多少のパワーアップでは、今節の優勝は難しいだろう。

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 BB誌の姫園記者は、4月号で様々なデータから中田竜太、須藤博倫、長嶋万記、安達裕樹の4人を推奨している。ただ、本命視していた中田も機力一息で4・4・5着と大苦戦。逆に長嶋は上位級のパワーなのだが、生かしきれずに3・5・4着で2年連続のクラシック予選突破に黄信号が点っている。

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  姫園チョイスの中でVチャンスがあるのはヒロリンと安達か。須藤は1号艇でまくられた(3着)のが痛恨も、しっかりした足色で3・3・2着の折り返し。安達も今日の1号艇をキッチリ逃げきり、8・00の高勝率を維持している。

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 さてさて、実際にレースを見ていて「この勢いなら、SG初制覇があるかも?」と思える選手は……まずは山本隆幸!! 昨日は足色の良さを記したが、今日は乗りっぷりの良さに惚れ込んだ。とにかくキップよく握るわ握るわ。4Rも11Rも道中4、5番手あたりからひたすら全速マイの連続で先行艇を捕えきり、逆転の3着3着をもぎ取っている。昨日のイン逃げも含めて節間7・33。その若々しいレースっぷりは実に魅力的だし、「遅れてきた銀河」の一発があっても不思議じゃないと思うぞ。

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 もうひとり、香川の若手エース・片岡雅裕も好リズム。特に今日の9Rの峰竜太との3着争い、あの手この手でにじり寄る峰を冷静な立ち回りでシャットアウトした足色&レースっぷりはなかなかのものだった。2・1・3着は艇番通りの着順で、明日から厳しい枠番が続くマー君ではあるが、軽視禁物とお伝えしておく。
 その他ではSG常連の萩原秀人やもうひとりの「遅れてきた銀河」金田諭の足色にも食指が動くのだが……今日は豪快にまくりきった岡崎恭裕47号機を筆頭に、松井繁(あれよあれよの暫定トップ!)、瓜生正義、井口佳典、白井英治などなど列強のSG軍団の機力がゴキゲンなだけに、その高い高いハードルをぶち破るのは至難の業ではないか、と思ってもいる。2日目終了時点での予選18位の内訳は、「SG覇者組11人vsSG無冠組7人」だ。

魅惑のターン3連発!!!

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 去年のクラシックでは長嶋万記が見事に予選突破を果たしたが、今年の女子レーサーは総じて苦戦を強いられている。目下、遠藤エミの27位が最高で、他の3選手はすべて38位以下。エース格のエミは明日の2号艇で①着ならば準優圏内に突入する。“SG常連”としての意地を見せてもらいたい一戦と言えるだろう。

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 で、成績通りにレースっぷりもあまり目立たない女子軍団なのだが、そんな中で今日の6Rの小野生奈は観衆の目を釘付けにした。インの金田がキッチリ逃げてSG水神祭となったこのレース。焦点は早々に2、3着争いへと移ったのだが、6コースからブイ際を根っこ差しした生奈が伸びる伸びる。外で競り合う毒島誠、大賀広幸、辻栄蔵などの猛者を尻目に、2マークをくるりと先取りして2番手に躍り出た。何度も書いてきたが、生奈の2マーク旋回は速くて巧い。
 ただし、もちろん相手が相手だけに、簡単には2着確定とはさせてもらえない。2周ホームのアドバンテージはわずか半艇身。生奈を包囲するように3人の男どもが左右からジリジリと差を詰めてゆく。正直、私は「こりゃ捌かれるな」と思った。こうした接戦で、しかも複数の男レーサーに挟まれた女子レーサーは、ほぼほぼ次のターンで後手を踏む。SGの道中2番手からこの手のパターンで5、6着にずり下がった光景を、何度見たことだろう。私が見る限り、今日の2周ホームの隊列はまさにその光景が起こり得る隊列だったのだ。

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 が、今日の生奈は違った。2周1マークは迷うことなく握って毒島を外から交わし、その差を1艇身に広げた。それでもオラオラと2周2マークに殺到した3艇に対し、今度はほぼ全速の割り差しで突き抜けた。嗚呼、なんちゅうスピード! SGでの“4艇旋回”でターンごとに相手との差を広げ、それどころかワンパンチの差しで他艇を置き去りにした女子レーサー。ちょっと記憶にないほどの光景だったな。
 まあ、ちょいと女子が好旋回するたびにやいのやいのと絶賛するのが私の悪いクセではあるが(笑)、マジで今日の3つのターンは絶品だった。掛け値なしの「SG常連ターン」だった。明日の生奈は待望の1号艇一発勝負。ここをキッチリ逃げきれば、5・25で準優の背中が見えてくる。(text/畠山、photos/シギー中尾)