BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――モーター気配

 

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 ♪カンカカカンカン~、カンカン♪
 工具2本を手にした今村豊が、報道陣の輪に向かって、リズムを取ってみせた。そしてニヤリ。ミスター、ゴキゲンです! 今節の今村はとにかく余裕で、今日の朝もふらりとピットに姿をあらわし、整備室に入って室内を1周、特に何もせずに整備室を出て、そのまま控室に戻っていくという謎の行動を見せてもいた。表情も穏やか。あくせくしたところがまったくないのである。写真のニヤケ顔は、今節勝利者インタビューを担当している佐山夏子さんを見つけて、ちょっかいかけようと企んでる様子(笑)。夏ちゃんに歩み寄ると、そこそこ失礼な言葉をかけてました(笑)。夏ちゃんも大笑いしていたから別にいいけど。余裕のあるミスターは、茶目っ気しかない、のである。
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 同じ時間帯で、最も忙しくしていたのは毒島誠である。8R、1周バックでは先頭争いに持ち込んだはずなのに、6着までずり下がってしまったのには驚いた。毒島も同様だろう。レース後はすぐに整備室に飛び込んでいる。9R発売中には試運転に飛び出し、戻ってくるとモーターを外す。試運転を切り上げた辻栄蔵に「まだ終わりませーん」と笑って、ふたたび整備室へと飛び込んだ。キャリアボデーを交換して(元に戻したのかも)、10R発売中にはふたたび装着。たまたま通りかかった片岡雅裕が、試運転を終えてモーターを外していると勘違いして、モーター架台を毒島のもとに運んできた、なんて場面もあった。11R発売中にはもう一丁、試運転! なんとも慌ただしく駆け回っていたのである。
 実に対照的なミスターと毒島。毒島の執念にもちろん感服するわけだが、同時にモーター気配の対照、でもある。この整備と試運転が実を結んだとするなら、明日の毒島は今村のようにのんびりと過ごすだろう。

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 62号機と47号機、新旧エース機が1号艇と2号艇で激突ということで注目を集めた9R。勝ったのは、どちらでもない、新田雄史であった。3コースからの鮮やかなまくり差し。会心の勝利に、自然と笑顔が浮かぶ。
 47号機・岡崎恭裕は2着。さすがに悔しそうな表情を見せていたが、しかし手応えもつかんだのではないか。1周バックでは62号機・原田幸哉が新田と先頭争いを演じていた。しかし2マークで原田を射程圏にとらえると、ぐいぐいと伸びて、直線だけで完全に追いついてしまったのだ。62号機が過去のエース機とハッキリ明らかになった瞬間であり、2着に敗れたとはいえ、岡崎はさらに相棒のパワーを強く実感したはずだ。新田と並んで歩く様子に暗さはない。

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 一方、原田は47号機とのパワーの差をはっきりと突き付けられた格好。ピットに戻った当初は露骨に悔しがったわけではなかったし、岡崎に挨拶にこられても淡々と返してはいたが、その直後にグローブを脱いで地面にバシッ! 思い切り叩きつけたのだった。多少はパフォーマンス的な部分もあったかもしれないが、それが本音でもあったのは間違いないだろう。明日はさらにパワーの上積みをはかりたいところで、ただし気分的には今日の敗戦を引きずらないでほしいと思う。

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 喫煙所で青山登さんと一服していたら、前本泰和がやって来た。レースが近いタイミングだったので、集中を切らさせたりしないように静かにタバコをふかしていたのだが、選手の心理をよくわかっている青山さんは、かまわず前本に声をかけた。「どうだ?」「いや~、もうひとつですね~」。前本は苦笑しながら、穏やかに返した。これが選手同士の会話、ということなのだろう。それにしても、前本、もうひとつか~。2コースは得意なはずなので、そこそこ注目していたのだが……。
 10R。どこがもうひとつじゃーい(笑)。いやいや、お見事2コース差し。得点トップもうかがう井口佳典を差し切ってしまった。もっとも、勝利したから足に満足している、というわけではないだろう。結果に対して会心はあっても、このあとも続く戦いを思えば、さらに上を目指してくるはず。超抜岡崎でも、完全優勝できるわけではない。だから、憂いを少しでも軽くべく、前本は明日も必死で仕上げにかかるだろう。

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 珍しいツーショットシリーズ。その1 小野生奈と中田竜太。中田がマスクをしていたので、何を言っているのかはまるで聞こえてこなかったが、生奈が「アハハハハハハッ!」と大笑いしておりました。楽しそう!

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 珍しいツーショットシリーズ。その2 金子拓矢と峰竜太。って、同期やん! でも、SGでは今節が初めて実現したものでもある。金子も峰も、感慨深いだろうなあ。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)