BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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浜名湖クラシックTOPICS 3日目

新旧エースの明暗

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 今日の9Rは浜名湖・番組さんの粋な計らいで(?)それは実現した。
 1号艇・原田幸哉62号機vs2号艇・岡崎恭裕47号機!!
 新旧エースモーターのガチンコ直接対決だ。まあ、近況の両雄の足色を見ればどっちが優位かは明白なのだが、それでも脳内レースを走らせるだけで心は躍る。岡崎47号が攻め潰すか、幸哉62号がコースの利と底力で受け止めきれるか。
 6R終了後、“前哨戦”のスタート特訓から仕掛けたのは新エース・岡崎だ。同じような起こしタイミングからぐんぐん伸びて、インの幸哉に見せつける。というか、勝手に出て行ってしまうのだろう。直前のスタート展示もほぼ同じ。岡崎がレバーを握ると、47号機は空を飛ぶように加速して、並ぶ間もなく幸哉62号を交わし去った。その展示タイムは……6秒44!!!! 幸哉の6秒56も悪くはないが、比べるべくもなし。ケタチの行き足だ。

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 こりゃ、幸哉はスタート勝負っきゃないな。
 そう思ったのは、私だけではないだろう。スタート同体ではほぼアウト。少なくとも1/3艇身ほどのアドバンテージが欲しいはずだ。
 いざ本番、幸哉62号はやはりスタートを張り込んだ、ように見えた。岡崎47号をまんま1/3艇身ほど出し抜いていたから。元より天才的なスタート勘の持ち主だし「コンマ03あたりまで突っ込んだのか、幸哉!?」と思っていたらば、そうではなかった。コンマ20。でもって岡崎47号機はコンマ26……実戦心理としては分からなくもない。なにしろ展示タイムが6秒44なのだ。完全に行き足が仕上がった47号機がどんだけ出て行くか、それを考えたらレバーを握る左手がやや震えても不思議ではないだろう。一方の幸哉のコンマ20は謎だが、スリット全速を意識しすぎてやや溜めすぎたか。

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 実戦に戻ろう。タイミングはともかく、1/3艇身のリードを得た幸哉は一目散にターンマークを目指した。遅れをとった岡崎はじわりじわり追いつき、1マークの直前で2艇の舳先が並んだ。ここからのふたりのターンはいささかぎこちなく、幸哉が握り過ぎたようにも見えたし、岡崎は一旦まくるような素振りで幸哉に艇を被せてから差しに構えた。その直後、3コース新田雄史の狙いすました全速のまくり差しが突き刺さった。ああ、そうなのだ。新田の3&5コースには、いつだってこの決め打ちの全速差しがある。

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 この目の覚めるような割り差しで、バック直線は完全に新田vs幸哉の一騎打ち。差し遅れた岡崎は3艇身ほども千切れてしまった。3-1か逆転の1-3か、という流れで2艇は2マークを旋回したのだが……読者諸兄よ、まだこのレースを観ていない方がいたら、すぐにでもリプレイをご覧いただきたい。それは、超抜モーターのパワーがどれだけ実戦に影響を及ぼすか、教科書に載せたいような直線300mだった。そして、それは浜名湖の新旧エースの現状を、残酷なまでに浮き彫りにした300mでもあった。
 モーターは生き物だ。
 何度も何度も書いてきたが、老いた62号機に襲い掛かる47号機の猛々しい姿は、ジャングルの王・ライオンの政権交代を見ているようだった。

独断パワー評価

 シリーズの折り返し地点ということで、今日は全選手の勝手なパワー診断をアップしておきたい。多分に見立て違いもあると思うが、迷ったときの参考くらいにはなるかも? 左から総合パワー、出足系統(出足・回り足)、直線系統(行き足・伸び)。矢印「↓↑」は昨日や前半戦に比べての変動。「?」は自信がない部分と思っていただきたい。登番順にどーぞ♪

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     総合(出足・直線)
今村 豊 A(A・A)
江口晃生 B+(B+・B+)
松井 繁 A(B+・A+)
大賀広幸 C(C・C)
野添貴裕 B(B+・C+)
田中信一郎B+(A・B)
前本泰和 ↑A(A+・B+)
海野ゆかりA?(B?・A+?)
辻 栄蔵 B(C+・B+)
林 美憲 B+(B+・B+)
徳増秀樹 C+(C・B)
原田幸哉 B+(B+・B+)
魚谷智之 B(B・C+)
瓜生正義 A+(A・A+)
吉川元浩 C(C・C)
中辻崇人 B(B・B)
白井英治 ↑S(A+・↑A+)
寺田 祥 A(A・A)
赤岩善生 B+(B+・B+)
坪井康晴 B(B・B+)
菊地孝平 B+(B・A)
須藤博倫 A(A・A)
井口佳典 A(B+・A+)
山本隆幸 ↓B+(B+・↓B+)
森高一真 C(C・C)
金田 諭 B+(B+・B+)
湯川浩司 B(B・B)
萩原秀人 B+(A・B)
中村亮太 B+(B+・B+)
柳沢 一 B(C+・B+)
三井所尊春B+(C+・A)
吉田拡郎 B(B・B)
石野貴之 B(C+・B+)
長嶋万記 A?(B?・S)
安達裕樹 B+(B・A)
毒島 誠 B(B・B)
稲田浩二 C(C・C)
麻生慎介 C(C・C)
岡崎恭裕 SS(A+・SS)
金子拓矢 B(B・B)
峰 竜太 B+(B+・B+)
新田雄史 B(B・B)
土屋智則 D(D・D)
前沢丈史 C+(C・B)
桐生順平 A(B+・A+)
青木玄太 B(C+・B+)
片岡雅裕 B+(B+・B+)
遠藤エミ B(B・B)
小野生奈 ↑A(A・A)
中田竜太 C(D・B)
羽野直也 B+(B+・B+)
仲谷颯仁 C+(C・B)

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 上位ランクをまとめておこう。

SS級…岡崎恭裕
S級…白井英治
A+級…瓜生正義
A級…今村豊、松井繁、前本泰和、寺田祥、須藤博倫、井口佳典、桐生順平、小野生奈
A級?…海野ゆかり、長嶋万記

 この面々は前検+初日のパワー番付とほぼほぼ一緒で、新たに加わったのは小野生奈と桐生順平くらいか。多くの選手が予選の上位に食い込んでおり、おそらくこの中から優勝者が出ると思う。明日の予選トップ勝負駆けも暫定トップの瓜生、2位の井口、3位の白井、4位の松井、5位の今村、6位の岡崎の誰かしらになるだろう。すべて百戦錬磨のSGレーサーばかりなり。

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 だがしかし、今節はクラシックなのである。「クラシック=SG初制覇の宝庫」という伝統に乗っ取るなら、須藤&生奈あたりの奮起に期待したいところ。機力&リズムが日ごとにアップしている生奈の明日は「2走②②着」というタイトな勝負駆けだが、まずはこの難関をクリアしてもらいたい。(text/畠山、photos/シギー中尾)

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