BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――落ち着いた雰囲気

 

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 ピットは落ち着いた雰囲気だった。昨日の朝より若干ざわついて感じるのは、報道陣が増えたからだろう。準優組のボートを見ると、ペラが着いたままのものが多数。まだペラ調整にも取り掛かっていない選手が少なからずいた。それを反映するように、プロペラ室には3人だけ。準優組では、井口佳典の姿があるのみだった。

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 前本泰和は、そろそろ調整を始めようというのか、装着場内を何度か往復している。途上で報道陣の取材を受けたりもしつつ、淡々と準備を進めているようだった。そのうち、同様の動きを見せていたのが新田雄史。こちらは、2R発売中にプロペラ調整室で姿を見た。ただし、調整中の姿ではなかったので、やはり準備を整えているといったところだろう。

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 水面を見ると、羽野直也、片岡雅裕のSG初準優組が早くも試運転をしていた。羽野は昨日少し話ができたが、1着2着条件についてはもちろん把握していたが、「とにかく自分のターンを心がけよう」とだけ決めて、レースに臨んでいたとか。羽野はBOATBoy4月号のインタビューで、「グラチャンに出たい。だからクラシックの目標は優出」と言い切っている。その第一関門たる勝負駆けでも、痺れたり震えることなく戦っているのだから、この男、やはり大物だ。片岡は、瓜生正義の激励を受けている場面があった。瓜生が何度か肩をぽんぽんと叩いており、これはなかなかに心強い接触であっただろう。
f:id:boatrace-g-report:20180320120002j:plain その瓜生は、装着場から係留所に向かう渡り橋が滑りやすいのではないか、と関係者にアピールしていた。選手会の理事でもある瓜生は、自分のことだけではなく、選手全体にも目を配る必要がある。今日は雨が降り、地面が滑りやすくなっているから、瓜生としてはおおいに気になったのだろう。その橋は本番ピットに向かうものだから、レース直前に滑って転んだりしたらレースに影響しかねない。という瓜生の心遣いだったのだと思う。報道陣にその点に触れられると、「ヒマだから」と照れ笑いしていたのであったが。

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 1R後、近畿勢が慌ただしい時間を送ることになった。吉川元浩が転覆したのだ。吉川自身は、着替えてピットに戻っているので、まずは一安心。水に浸かった吉川の転覆整備が行なわれ、松井繁や田中信一郎、湯川浩司、石野貴之、萩原秀人らの近畿準優組も、そのヘルプとして吉川を取り囲んでいる。どの選手も吉川を心配しつつ、転覆ボート引き上げも含めて、てきぱきと作業をこなす。その一致団結ぶりは、いつ見ても気持ちいいものだ。

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 ひとまず、2R終了後までの大きな動きはそれくらいか。予選トップの白井英治もエンジン吊りに出てくるくらいで、余裕たっぷり。表情も明るい。白井は意外にもSG優勝戦1号艇は1回だけ(14年グランプリ)。4年前のクラシックも予選トップ通過を果たしながら、優出できなかったりしている。ただ、もはやSGに最も近い男ではなくなった白井に、妙な憂いは必要ないだろう。少なくとも今日は逆らえないのかな、という雰囲気は間違いなく感じた。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)