BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――目玉たち

 

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 エンジン吊りを終えて太田和美は、それまでは渋い表情ながらも前を向いていたものが、がっくりとうなだれた。3着。5号艇だから、悪い着順ではない。しかし、2番手を競った山川美由紀とははっきりと足の差が見て取れた。というより、普通の足でさえあれば、悠々と2着を獲れそうな展開であった。それでも中間着順でまとめているのはさすがと言うしかないが、足色のことを思えば気が晴れようわけがない。

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 田中信一郎も厳しい足色ということなのだろう。9Rを終えた後には整備室にこもっている。それでも2着2本と好成績で予選前半を乗り切っているのだが、ようするに着順が問題ではない。得点率8・00だからいい、ということにはならないわけで、明日以降を見据えての整備ということになる。今節、45歳組のなかでも太田、田中は目玉的な存在。その2人が、悪くない成績とは言えども、決して楽な戦いとはなっていない。これが新生マスターズの深さ、だろうか。

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 松井繁のフライングも意外であった。もちろん王者であってもフライングをいつ切ってもおかしくない。しかし、こうした大舞台でのフライングは本当に珍しい。何より、SGをひとつ棒に振るタイミングでのフライングは松井自身、想定外であったと思う。それでもさすがの王者、12R1号艇を控えて、そのための準備を着々と行なっていた。一見して、勇み足の影響は見当たらないように思えた。胸中に何が渦巻いているかはともかく、その振る舞いは王者の存在感を漂わせていた。

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 こうした“目玉新人”が大挙押し寄せた新生マスターズにあって、2日目終了時点の暫定トップは、ここ数年、マスターズの絶対的主役であった今村豊である。松井も太田も田中も吉川もなんぼのもんじゃい、などと今村が言うわけはないのであるが、2戦2勝という成績がそう語っているように思えてしまう。レース後は報道陣に囲まれ、ワンマンショー! 足色が軽快な時には口色(?)も軽快。いや、軽妙なトークは毎度のことか。時折、報道陣からは笑いが起きて、輪の中心で今村が満足そうににやけている。

 

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というわけで、写真がワンマンショーの様子であります。遠目に眺めているだけで、こちらも楽しくなるのでありました。

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 寺田千恵もなかなか好調だ。3戦2勝で暫定6位。山川美由紀がF、日高逸子が初戦快勝後は大きな着を並べるなか、濃ゆい男子メンバーを相手に健闘を見せている。そうした成績だからか、それともこのメンバーとの再会が嬉しいのか、寺田はなんともゴキゲンな様子。山一鉄也や山下和彦らと軽口を飛ばし合うなど、SGや女子戦とは少々違う雰囲気である。山下和彦のことは「山ちゃん」と呼んでいたぞ。まあ、山のつく苗字の人はそう呼ばれがちですね。あ、山一のことは? やっぱり山ちゃん? 山川のことを山ちゃんとは呼んでるわけないだろうけど。楽しげなテラッチを見ていると、そんなどうでもいいことを考えてしまったのでありました。
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 あとは、11R2着の吉川元浩が、爽やかな笑顔を見せていたのが印象的。1着を獲ることはできなかったものの、ようやく2連対に絡んで見通しは立ってきたか。まあ、同レース6号艇の芝田浩治がかなり大きな身振りで話しかけていたことが笑顔の素だったかも。ヘルメットをかぶったままの芝田の声は届いてこなかったが、そのアクションがやけに大きかったのだ。その芝田も6号艇を4着で乗り切り、2日目を終えて暫定14位。準優を狙える位置で、テンションが下がるようなことはあるまい。

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 その吉川と同期の岩崎正哉が、最後までかいがいしく新兵仕事をしていたことも付け加えておこう。特に朝の時間帯では、ふたり仲良くモーター架台を運んだりもしている、正真正銘の今節新兵=79期。吉川が11R出走ということもあって、また岩崎にとっては地元戦だから、率先して働かねばという意識もあるだろう。グレートマザーは「開会式の代表挨拶を断った」と言っていたけど(笑)、最年少の仕事はちゃんとやってます! 写真は、金子龍介(この人もよく働いてます!)らと和気あいあいで架台を並べているところだそうです(池上カメラマン談)。ここまでは6着3着、明日はジャンプアップを!(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)