BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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福岡マスターズTOPICS 2日目

王者、そして個性派たちが……

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 王者・松井繁がよもやのフライングに散った。6Rの3号艇だった松井は、同県⑥倉谷和信の前付けを受け入れて4カドを選択。かなり勝機の高い隊形で“その気”になってしまったか。3コース山川の飛び出し(コンマ02のF)に追随してしまったか。リング2本の交換で行き足が付き過ぎたか。はたまた昨日のドリーム6着の“借金”を一気に返済すべくスタート勝負に出過ぎたか……。
 真相は分からないが、越えてはならない一線をコンマ01だけ踏み越えてしまった。今節の賞典除外はもちろんのこと、7月の若松SGオーシャンカップの権利まで消失。ストイックに年間のSG→GP構想を組み立てる松井にとって、この時期のFは非常に珍しい。今後の青写真に、大きな暗雲を投げかける勇み足とも言えるだろう。

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 フライングではないが、Vの有力候補だった“前付け軍団”も、2日目にして続々とV戦線から遠ざかった。西島義則は4R5号艇から2コース奪取、後半9Rは4号艇からさらに激しく動いてインコースを奪い取ったが、報われることなく6着6着……昨日の4着も含めて節間2・00まで下降し、予選5走の身の上だけに予選突破は絶望的となった。

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 同じく今村暢孝も大苦戦。4Rは西島の前付けを受け止めてインから必勝を期したが、4カド馬袋義則の強襲を浴びて5着。2日早い勝負駆けになった10Rも3コースからのまくり差しを弾かれ5着。エース67号機の素性を活かしきる間もなく、事実上の赤ランプが点ってしまった。
 そして、同じ10Rで4着に敗れた江口晃生は、待機行動違反(割り込み)で痛恨のマイナス7点。昨日のドリーム戦から⑤64着という戦績に減点まで喰らってしまっては、V戦線からほぼほぼ離脱したと言わざるをえない。
 うーーーん、元より福岡は「前付け艇が惨敗しやすい水面」という印象があり、相応の苦戦は想定していたつもりだが、まさか2日目にしてこれだけの個性派が総崩れになってしまうとは! 西島・暢孝・江口ともに予選の18位に滑り込むだけでも目が離せない存在だっただけに、本当に残念でならない(江口は残り3連勝で5・67、微かな望みはある)。まだ可能性を残している前付け屋は、倉谷和信と石川真二あたりか。

古株、そして長老がっっ!!

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 Vの有力候補たちが脱落する一方で、一目散にV戦線を疾駆する男たちもいる。昨日とメンツは被るが、書かねばなるまい。まずはミスター今村豊。この56歳のスーパースターは今日もやらかした。4コースからコンマ01のフルダッシュで一撃まくり! 正直、昼の特訓や足合わせは「ちょいと一息かも」と思っていたのだが、昨日に続いてパワー不問のスタート勝負で一人旅に持ち込んでしまった。なんという精神力&破壊力!

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 さてさて、松井や西島などが離脱して「V争いはもはやミスターの独り舞台か!?」と言えば、まだまだ早計に過ぎるだろう。ミスターの2連覇を脅かすほどの好リズムを維持しているのが、最年長の57歳・西山昇一だ。昨日の2走は1・2着。緒戦の3Rはあっさりのイン逃げだったが、インコースが2勝しかできなかった水面での1着は価値が高い。後半の7Rは野添貴裕の3コースまくりにきっちり連動しての2着ゲット。見た目は「展開一本」のようでも、コンマ09の踏み込みといい、的確な差しハンドルといい、まさにイブシ銀の2着だったとも言える。何より、V街道を疾駆するにはこうした展開の利も必要なのだ。
 今日の9Rの西山も、実になんとも「持ってる」とか言いようのない1着だった。同期の西島がインを奪い、地元の白水勝也が3コースから強引にまくり、2コースの山下がそれに飛びついてスロー3艇の大競りに。4カドの西山はそんな仁義なき構想を尻目に、ぽっかり空いた花道をスパーーーンと差し抜けた。これまた見た目には「展開勝ち」なのだが、いやいや、今日もしっかりコンマ09まで踏み込んだからこその圧勝。少しでも後手を踏んだら、すぐ外にいた浪速の“新人”田中信一郎に叩き潰されていただろう。昨日から3戦連続のコンマ09!! レースの派手さでは56歳の“古株”に一歩譲るとしても、堅実無比にポイントを加算する57歳の“長老”も素晴らしすぎる。このコンビには、明日以降もゼロ台のスタートをビシバシ決めて、45歳の“若造”たちを手玉に取ってもらいたい。

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 あ、浪速の“新人”と言えば、やはり野添貴裕の足が凄まじい。今日の2Rの展示タイムはあっと驚く6秒66!!!! この時だけややホーム向かい風が強くなったという利はあったものの、それにしても速い。この時計を裏付けるように、野添はインコースからぐんぐん伸びて、影をも踏ませず逃げきった。道中のターン回りはややスカッているようにも感じたが、ストレートは間違いなく節イチだ。

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浪速の45歳と言えば太田和美&田中信一郎が鳴り物入りで参戦しているわけだが、「人気はあちら、優勝はこちら」ってな感じで野添が頂点に立ってしまうかも? それほどパワー的には大阪軍団の中で傑出しているお伝えしておこう。(text/畠山、photos/シギー中尾)