BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

福岡マスターズTOPICS 4日目

THE勝負駆け①予選トップ争い
GPレーサーの底力

 

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 まずは4R、昨日まで得点率4位だった田中信一郎が3コースから力強く抜け出し、暫定3位の平石和男を一気に追い抜いた。この時点で、シリーズリーダー争いは3人の選手に絞られたと言っていいだろう。暫定1位の野添貴裕と同2位の今村豊、そして信一郎。2年連続4度目の名人位を狙う最古参のレジェンドか、同県同期の大阪“新入生コンビ”か、という構図である。
 6R、2号艇のミスター今村が3着と取りこぼし、大阪コンビが俄然有利になった。もちろん自力の権利を持つのは野添で、11Rで③着以内なら文句なしのトップ当選。ただし、6号艇という遠い枠からの頂上アタックだ。一方の信一郎は、12Rの1号艇という絶好枠が残されている。

 

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 暫定3位に下降したミスターは、それでも10Rで意地を見せる。4コース一撃まくり。例によって気合のトップスタートから半艇身ほど抜け出し、舳先半分で必死に抵抗する3コースの中里英夫を力任せに叩き潰してしまった。今節は6コース、4コース、4コースのまくり3発! いくら福岡とはいえ、近代ボートレースの記念競走で外コースからのまくり3発は天晴れすぎる。何歳になっても、恐ろしい男である。

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 次なるチャレンジャーは11Rの野添だ。慌てず騒がず6コースから③着以内という必要条件に挑んだが……スタートが行けなかった。コンマ31からしばらく直進して最内を差したが、先行集団があまりにも遠すぎた。よもやの5着で大幅ダウン。このレースで2コースから鮮やかに差しきった渡邉英児にも追い抜かれ、4位という微妙な順位で予選を終えた。

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 ミスター今村か、信一郎か!? 雌雄を決する12R、1号艇の信一郎に課せられた条件は実に簡明で「勝てばミスターと同率ながら2着の回数で自力トップ、逆に負ければ結果待ちのミスターがトップ」だ。そして実戦は……45歳の“新兵”ながらグランプリ3V、幾多の修羅場を潜り抜けてきた信一郎が、このチャンスを逃すはずもなかった。コンマ12のトップスタートから1マークを鋭く旋回、日々パワーアップさせた行き足で後続を突き放しトップロードを爆走した。「田中信一郎×予選トップ」という数式の解答は、多くのファンの脳裏に同じアルファベット1文字が浮かぶことだろう。

THE勝負駆け②準優ボーダー争い
「台風の目」の明暗

 ただし! 今年の舞台はインコース泣かせの福岡。予選の18位に食い込んでしまえば、どんなミラクルでもあり得るステージなのだ。穴党の私は、今日の前半戦から「準優で波乱を巻き起こしそうな選手」たちの勝負駆けにアツい視線を送った。

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 もっとも期待していたのは、2R6号艇の石川真二。予選を突破してくくれば前付けはあるわ、準エース71号機の不気味なパワーもあるわで、間違いなく台風の目になると値踏みしていた。メイチ①着勝負という厳しいハードルではあったが、これをクリアできれば明日以降のリハーサルにもなるだろう、とも。
 いざ本番、石川はピットアウトから凄まじい勢いで飛び出し、前付けするまでもなくオレンジブイまでに3コースを取りきった。やろうと思えば、3カドまでありえるほどの絶好の3コース。が、何らかの思惑があったのか、ソロソロと2マークを跨いでホーム水面に入り、かなり早めに舳先をスタート方向に傾けた。スタートの分かる位置を選んだか。スロー3艇が同じタイミングで発進し、スリットもほぼ横一線。そこから石川は伸びなりのまくり差しハンドルを入れたが、1・2コースの間隙はあまりにも狭く、弾かれるような形で真横に流れ去った。この時点で、「台風の目」は幻と化した。その後の71号機の足色は目を瞠るほど素晴らしかっただけに、残念でならない。

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 うん、ない物ねだりはここまで。勝負駆けを成功させた中にも、準優~優勝戦で波乱の種を振り撒きそうなレーサーがしっかり混じっている。まずは倉谷和信。今日は1・3号艇で②③着という微妙な勝負駆けだったが、前半3R(ピストン2個交換)はインコースの利を活かせず3着まで。正直、この時点で「倉谷、お前もか??」などと思ったものだが、12Rは3コースからキッチリ2着を取りきってギリギリの勝負駆けを成功させた。そう、トップ18に滑り込んでさえくれれば、それだけで準優をドキドキハラハラさせてくれる男なのである。

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 続いて、地元の田頭実。今日は2・5号艇で③④着というこれまた微妙な条件を、前半3Rの2コースまくり一発でケリを付けた(まくられたのが倉谷だった)。そのスタート、コンマ05。今節の田頭は珍しく?フライングを一本も持たずに福岡にやってきた。F3でもゼロ台を連発して周年記念を優勝する男だからして、もちろん明日の準優(地元で生き残ったのは田頭のみ!)も迷うことなく踏み込むだろう。ちなみに、明日の10Rの田頭は4号艇で、6号艇は倉谷だ。ピットアウト&スタートでどんなドラマが生まれるか、もっとも難解かつ興味深いのはこの10Rだと私は思っている。あ、そういえば、1号艇を取りこぼした節イチパワーの野添もいるしっ!!

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 それからもうひとり、仲口博崇の存在も忘れてはならない。今日の仲口は3号艇で③着条件という一発勝負を、冷静的確なレースっぷりで2着で切り抜けた。結果としての準優4号艇というポジションも実に面白い。ここ1、2年の仲口は自発的に「まくり屋」として全速握りマイを心掛けているし、今節の32号機もそれにぴったりの伸び型パワーを誇っている。枠なりになりそうな明日の12Rは、4カドからどれだけ同期の大本命を脅かすことができるか。自慢の伸びにさらなる磨きをかけてもらいたい。
 さてさて、明日の準優を「新人組(45~48歳)」と「年長組(49歳以上)」に分けてみると、10Rは3vs3(内枠が新人組、外枠が年長組)、11Rも3vs3(内外が10Rと真逆!)、12Rは4vs2というほぼ互角の対決になっている。それぞれの組からファイナルに進出するのは何人か、そして頂点に立つのは……?? 今年のマスターズはこんなことも愉しみながら、最後まで見届けたいと思う。(text/畠山、photos/シギー中尾)