BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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徳山グラチャンTOPICS 2日目

夏の菊

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 今日、もっとも記者室(おそらくスタンドも)を沸かせたのは9Rだ。まずはスリット、4カドの菊地孝平が一気に突き抜けてドカーーン! 勢い満点のコンマ09に対し、スロー3艇はコンマ20~30ではひとたまりもない。昨日からまくりが一発もない徳山水面に、菊地らしいスリット一撃の速攻花火が炸裂した。
 今節の菊地は、いつものSGよりも濃いぃオプションを携えている。グラチャンの選考順位1位。9年前の若松オーシャンカップでも同じ

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立ち位置で参戦した菊地は、「僕がいちばん優勝する権利を持っている。優勝しなければいけないシリーズ」という信念の元、平均コンマ09の突出したスタートで優勝まで突っ走った。今節も同じ思いであることは、選手紹介での「責任を果たしたい」的なセリフでも明らかだ。そして、その思いを秘めたコンマ09、ひとまくり。昨日のドリーム1着から、今日は4Rの6号艇で展開がなく5着と一頓挫があったが、見事にリカバリーする速攻だったと言えるだろう。ちなみに9年前の若松予選は①1531着でトップ通過。今節の①51着も、あの時と同じペースだ。また今年も、夏菊が咲き誇るのか。

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 9Rに戻ろう。スリットから1マークまでは菊地の独壇場。その直後に脚光を浴びたのは、昨日に続いて小野生奈だった。菊地にまくられるやいなや、すぐに態勢を立て直して迷うことなくレバーを握り込んだ。まくられまくり、いわゆる「換わり全速」。この臨機応変の速攻で、バック直線では2番手に浮上してしまった。
 生奈劇場はまだまだ続く。1周2マークでは内から差し伸びた松井繁を握り潰そうとして、逆に跳ね返される。ここは明らかに焦り過ぎの戦略ミス(先のオールスター準優2マークでの松井との攻防が脳裏をよぎったかも?)で、2番手からあっという間に5番手まで後退。もはや挽回は難しいほどの大差に見えたものだが……。

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 その後の生奈の追い上げは、昨日の逆転3着を彷彿させた。いや、2周2マークの鋭角ターンのド迫力は、昨日のそれをはるかに凌いでいた。マイシロのない最内から強気の握りマイで旋回したらば、180度の鮮やかな放物線を描いて3着浮上って!!
「うわっ、すげえっっ!!」
 あちこちのベテラン記者の口から感嘆の声が漏れるほどのミラクルターン。2番手→5番手→3着だからして胸を張れる着順でもないのだが、本当によくぞ巻き返したものだ。53号機の超抜回り足とともに、生奈らしい不屈の根性を高く評価したい。今風に言うなら「生奈、半端ない!」だな(笑)。明日の生奈は、大量ポイントが期待できる1&2号艇の好枠2戦。仮に枠番どおりの成績なら3312着=7・50で4日目を迎えることになる。

長州3強の明暗

 昨日の当欄で「地元の三羽烏はともにV戦線を戦い抜ける足」と断言したばかりだが、2日目にして3者の境遇がそれぞれ大きく変動してしまった。
 もっとも苦しい状況に陥ったのは、総大将の今村豊だ。まずは5号艇の2R、例によってスローの5コースから全速の握りマイで攻めたが、まるでサイドが掛からない。ひたすら流れるようなターンでバック5番手。そこからの追撃にも力強さはなく、まんまの5着でゴールを通過した。

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 さらに、巻き返しを期した12Rでも3コースから後手を踏む。出足~行き足が明らかに劣勢で、4カド湯川浩司に一撃で叩かれてしまった。バック6番手から最後の最後に4着まで押し上げたのは、せめてもの好材料か。ただ、それもパワー云々ではなく「執念の追撃」という感じだった。
 うーーーん。今日はシンプルに、回転を合わせきれなかった、ということなのか……現時点で敗因はわからないが、今日の足色は昨日までよりかなり落ちていた、と言わざるを得ない。昨日から254着で勝率4・67(33位)まで下落したミスターの明日は、胸突き八丁の6号艇。ここでも重い着に沈むようなら、V戦線に深刻な黄信号が点ることになる。いや、それ以前に、今日の足色のままでは「優勝」の2文字にはほど遠い。明日の6Rまでに、どこまでパワーアップできるか。固唾を呑んで見守るとしよう。

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 続いて白井英治。ミスターの愛弟子もまた、前半5Rでピンチに立たされた。6号艇から4コースまで潜り込み、握りマイで攻めたが内の森高一真と鮮やかにバッティング。ガツンと弾かれる形でバック5、6番手を余儀なくされた。道中ではグングン追い上げ、3着争いに持ち込んだものだが、ターンマークでの展開が悪く最終的に5着まで。ただ、師匠の足色とは違い、こちらのパワーは上々だったと思っている。

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 後半の11Rも、足色そのものは文句なし。逃げる石野貴之を2コース差しで猛追、バック中間では舳先をねじ込むほどのレース足を披露した(大競りを避けて?2マーク手前で舳先を抜いた)。最後の最後まで石野を脅かし続けたパワー(特に回り足~出口の加速感)は間違いなく上位レベル。前半5着の影響で6・33=16位までダウンした白井だが、明日の4&1号艇で再びベスト10に食い込んでくれるだろう。

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 そしてそして、今日の観衆をもっとも喜ばせたのが、純地元レーサーの寺田祥だ。5コースから全速のまくり差し!! 4カドの吉川元浩が一気に絞めたという展開の利も大きかったが、単にマークするだけでなく吉川にツケマイを浴びせるような外マイは天晴れの一語。同県の先輩ふたりがややチグハグなレースを見せた中、スタートも1マークの攻撃も、己の荒ぶる魂にしっかりシンクロした勝ちっぷりだった。

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 221着という抜群のリズムで暫定トップに立った寺ショーの明日は、6号艇の一発勝負。ミスターは生き残りを懸けた緑カポックだが、こちらは予選トップ維持→ポールポジションを目指す戦いになる。もちろん、この難関を好成績でクリアできれば、1号艇が残された4日目に大きな弾みがつくことだろう。今日のパワー評価は直線・出足ともにAランク。アウト6コースからでも、バックで突き抜けるだけのポテンシャルはキープしていると思う。(text/畠山、photos/シギー中尾)