BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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若松オーシャンカップTOPICS 4日目

THE勝負駆け①準優ボーダー争い
男前すぎる絞めまくり

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 今日の勝負駆けMVPは、文句なしに6Rの寺田祥だ。1Rのありえない最終ターンマーク逆転2着(今日は書く暇がないが、あれは何だったのか??)で「6R4号艇で①着=6・17」という条件を手にした寺ショーは、平田忠則の前付けを受け入れて5カドに引いた。コースの利よりも、自力で勝つための戦術を選んだ。

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 そして、スリット横一線から舳先ひとつ分だけ覗いた瞬間、スロー4艇を絞め込みはじめた。これぞ、メイチ①着勝負駆けの絞めまくり!! 昨今のボートレースで、横一線のスリットから絞めまくりを敢行する選手はほとんど存在しない。しかも今節の寺田の伸び足は中堅レベルなのに、ダッシュ戦のわずかな利ざやだけを生かして攻め潰しに行った。平田、魚谷、長田を引き波にハメて、インから伸び返した徳増秀樹にも襲い掛かる。寺ショー、男前にもほどがある。

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 で、この野獣のような絞めまくりに、大外からコンマ04でキッチリ連動していたのが峰竜太だった。寺田と徳増がやり合っている間に、例によって凄まじいターンスピードで死に体の艇団を切り裂いていた。実質、この1着が峰の予選順位に与えた影響はバカでかく(後述)、寺田の渾身の①着勝負まくりは2着にとどまった。予想ボーダーに届かない5・83まで。この微妙な数字は11Rまでボーダーの内外をゆらゆらと頼りなく出入りしていたが、秋山直之が5着に敗れたことでギリギリ18位に滑り込んだ。この結果も踏まえて言うなら、寺田の男前過ぎる5カド絞めまくりは自身を準優に導くとともに、このシリーズのV戦線に多大な影響を与えたはずだ。ひとりの選手の勝ちたいという強い思いが水面にはっきり投影され、その光景に多くのファンが感動し、シリーズ全体にも活を入れる。寺田祥という男は、現在のSGに不可欠なレーサーだ、と改めて実感した。素晴らしい勝負駆けを、ありがとう!

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 それから、今日は「先着した方が○、競り負けた方が×」という熾烈な「直接対決」が目立つ1日でもあった。長嶋万記と岡崎恭裕は「②着を取りきった方だけが生き残る」という2着争いを3周に渡って繰り広げ、最後の最後に岡崎がその椅子を仕留めた。万記の最大の“敗因”は今日の競り負けではなく、やはり昨日の1号艇6着のレースそのものだったと思う。同県同期の坪井康晴と菊地孝平も「どちらか①着だけ」という条件の中で競り合い、坪井がギリギリ逃げきった。残酷な椅子取りゲームではあったが、同じ勝負駆けの条件を満たすために足を止めて殴り合うような光景は、崇高なものに思えた。

THE勝負駆け②予選トップ争い
峰フェスティバル

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 優勝への最短距離になるであろう予選トップ争いは、昨日の段階でほぼほぼ4人に絞られていた。その4人の勝率と勝負駆けレースはこうだ。
①魚谷智之…9・00 6R3号艇/10R6号艇
②吉田拡郎…8・50 4R2号艇/8R4号艇
③峰 竜太…8・50 6R5号艇/11R3号艇
④石野貴之…7・50 3R2号艇/8R5号艇

 さて前半、まずは石野が2コースから差し粘り、枠番通りの2着キープで8・00に。続く4R、同じく2コースの拡郎が飯山泰の4コースまくりを浴びて4着。8・00で同期の石野と同率になった。
 が、とにもかくにも前半戦の大一番は6Rだ。魚谷VS峰の直接対決。90期のふたりが勝ちきれなかっただけに、ここを勝てば俄然有利な立場になる。「枠的には魚谷がやや分があるか」と見ていたところ、先に書いたような劇的なアウトセット決着で峰が10点を加算した。逆に魚谷は寺田まくりの影響をモロに受けて6着……枠的にもパワー的にも、まさかこれほど極端な明暗が生じるとは。この時点で峰が8・80の断然トップ。もちろん自力トップの権利も奪い取り、「11Rで③着以内なら、ライバルの成績に関係なくトップ当選」という美味しい条件を手に入れた。

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 さてさて、後半戦の流れはもはや「峰祭り」と呼んでもいいだろう。8Rは拡郎vs石野の90期・直接対決だったが、それぞれ振るわずに拡郎4着、石野5着。さらに10Rの魚谷も5着に敗れ、この時点で11Rの峰に「無事故完走で予選トップ確定」という約束手形が手渡された。昨日の当欄で「トップ争いは激戦必至」という予想を記したが、実際には超ウルトラワンサイドの展開になったわけだ。
 その条件を知ってか知らずか、11Rの峰は3コースから冷静な差しハンドルで3着をゲット。自身が最大級の理想に掲げている「予選トップから逃げ・逃げで優勝してこそのSG」という野望に大きく近づいた。(text/畠山、photos/シギー中尾)