BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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桐生レディチャンTOPICS 初日

伸びーーる軍団を狙え!

「スリットから伸びれば、差しよりまくり」
 これが多くの女子レーサーの特性であり、男子主体のレースよりもインが弱い要因にもなっている。女子が男子より獰猛というわけではなく、「できる限り危険な混戦を避けたい」という防衛本能(母性本能?)に拠る部分が大きいのだろう。まあ理由はともかく、女子戦では伸びる選手をいち早く見出すのが穴舟券への近道だと思っている。
 で、初日のレースをつらつら見ていて、強烈に伸びそうな選手が私の網膜に焼き付いた。筆頭格は6Rの宇野弥生。まずは展示タイ

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ムでびっくり仰天。6秒57は今日の断然トップ時計だ(2位は12R松本晶恵の6秒64)。レース自体はイン逃げだったから「派手に伸びた」という風情はなかったが、スリット~1マークで他の5艇を置き去りにする勢いは十分に目を惹くものだった。
 前検の6秒71から一晩で6秒56まで一気短縮。これは単なる偶然ではないだろう。去年あたりまでの弥生はスリット付近の行き足が弱く、十八番の一撃まくりが色褪せた印象があった。が、今年になって徐々に展示順位が良化し、6月に入ってからはほとんどのレースで1、2番時計を弾き出している。

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 勝手に想像するなら、長らく苦しんできた新型モーターに対して、何らかの明るい答を見出したのだろう。そして、宇野弥生が節イチ級の行き足~伸び足を手にしたらどんなコトが起こるか、多くを語る必要はないだろう。
 私らしく。
 彼女の常套句に込められた思いは、「私らしく、ゼロ台のトップスタートから伸びなりに絞めまくる」だと私は勝手に決めつけている。今日のストレート足をもってすれば、今節は「私らしい宇野弥生」を何度も見ることができるはずだ。

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 さてさて、弥生以外の伸びーーる選手も列挙しておこう。昼の試運転で驚くほどに噴いていたのが茶谷桜だった。残念ながら本番の11R(←穴・極撰)では、練習ほどの迫力は感じられなかった。私の見立て違いかもしれないし、夜の気象状況にマッチしていなかったのかもしれない。が、しっかりと回転を合わせ切れれば節イチ級に伸びる、と信じて明日からもその足色を追いかけてみたい。それくらい、昼特訓のインパクトは峻烈だった。

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 それから、地元の土屋千明と松本晶恵の伸び足も常に警戒する必要がある。とりわけ土屋の3、4コースはスリット同体からでも握って攻める気質だけに、今日の非凡なストレート足は穴舟券に直結するだろう。
 同じく生粋のまくり屋・松瀬弘美も、今日の伸び足は際立っていた。元よりストレート足に期待していた13号機(34%)なのだが、期待通りと言ったところか。モータ勝率&選手ともに人気の盲点になりやすく、一撃ドカーンが決まれば500倍以上の配当も見込めるだろう。もちろん、攻める本人だけでなく、それをマークする外選手から好配当を狙う手もある。
 スリットから伸びる選手とその外を狙え。
 何を今さら、というほど当たり前のことをつらつら書いてしまったが、これにはちょっとした理由がある。明日の「伸びーーる軍団」の枠番が、なかなかに心浮き立つラインアップなのだ。列挙しておこう。
★宇野弥生…2R5号艇、12R2号艇
★茶谷桜…1R6号艇、7R5号艇
★土屋千明…3R4号艇、7R3号艇
★松瀬弘美…4R5号艇
 嗚呼、どこかで誰かが何かをやらなしそうな、そして外の選手たち(茶谷の1Rは大外か)がいかにも躍動しそうな枠番ではなかろうか。昼特訓やスタート展示の気配、展示タイムなどを参考にしながら、明日は随所に大穴を狙ってみたい。

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 最後に、ちょっと本筋から外れるが、ドリーム戦の小野生奈について触れておきたい。本日7月31日はダービー勝負駆けの最終日。手元の計算によれば、今日の生奈は「ドリーム①着でダービーの予備1位、②着以下なら予備2位以下」という微妙な立ち位置だった(と思う)。で、予備1位ならば、来月のメモリアルの結果次第では、十分に繰り上がり当選の可能性も残されていた。
 そんな立ち位置であることを、本人は知っていたか……知っていた、と私は思う。いや、ドリーム戦の2周1マークを見て、そう思った。あの直前、生奈は細川裕子と2着争いの真っ只中だった。内に舳先を入れていた生奈には、外の細川を徹底ブロックして2着を確保するという常識的な選択があったはずだ。が、生奈は細川には目もくれず、3艇身ほど前を行く中谷朋子に向かって突進(正確には切り返し。ただ、状況が状況だっただけに、私の目には突進のように映った)。ひたすら1着だけを獲りに行く戦法を選んだのである。そのやや強引な切り返しは空を切り、結局は細川と後に長嶋にも抜かれて4着を余儀なくされた。このレースで1-4を持っていたファン(私もそのひとりだ)は「なんで着順確保のレースをしないのか!?」と叱責する権利があるとは思う。ただ、生奈が己のダービー条件を知っていてあの“勝負”に打って出たのであれば、私はその闘志に拍手を送りたい。
 女子戦のトップだけでなく、もっと高い舞台へ。
 生奈のそんな思いが凝縮した切り返しだった。真偽はわからないが、私は勝手にそう解釈している。(text/畠山、photos/シギー中尾)