BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――台風一過の猛暑

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 台風が過ぎ去り、丸亀には猛暑が戻った。風が強いのでいくぶん過ごしやすいピットではあるが、レースを戦う選手にはこの風は涼風とはならない(というより、厄介な追い風であろう)。1Rをまくり差しで勝った笠原亮も、歓喜をあらわすよりも暑さに顔を歪める。快勝の笑顔を撮ってやろうと思って待ち構えていたが、タオルで汗をぬぐって、渋い顔のまま「よかったです」と口にするのみなのであった。まあ、勝って感情をあらわにするタイプでもないわけだが。

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 3日目ともなると、大きな動きはそれほど見られないのが通例のようなものだが、仕切り直しの3日目もそれは変わらないのであった。早い時間帯にレースを控えている選手、たとえば中野次郎や大池佑来などは足合わせを繰り返してもいたが、そもそも係留所にいる選手が少ない。一方でプロペラ調整室には多くの選手がいるわけだが、ペラ調整のひとつのピークということだろう、係留所には無人のボートが目立つのであった。

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 装着場隅の室外プロペラ調整所には、谷村一哉。一昨日も、遅くまでここでペラを叩く姿があった。今日は装着場にも風が吹き込んだりするので、2日目よりは過ごしやすいはず。もっとも、暑かろうが寒かろうが、谷村はここでペラ調整に励むのだろうが。ペラ調整を終えて着水し、いったん陸へと上がってくる谷村。カメラを向けると、爽快な笑顔! 暑かろうが寒かろうが、爽やかなんです! 調整の手応えも上々だっただろうか。

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 暑さも関係なく、顔をしかめてばかりなのが森高一真。「クロちゃん、なかなか直らんのう」。今日も本体を調整していたし、その合間にはプロペラ調整も必死で行なっているのだが、森高が納得するような足色にはならないようだ。気合に陰りはないと思うが、しかし相棒がなかなか反応してくれないことには、顔が曇ってしまう。どれだけ手を尽くしても報われるとは限らない勝負の世界。難儀と言うしかない。

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 2R、大池佑来がSG初1着! といっても、この1着はなかなか“難産”であった。1号艇インコースの大池は、1コースでまくられているのだ。1周目ホームでは⑤-②-⑥か②-⑤-⑥か、みたいな隊形になっていたのに、気づいたら先頭に並びかけて、逆転してしまったのだ。これは印象に残るSG初勝利だ。関東勢の出迎えを受けて、穏やかに微笑む大池。そのすぐ後ろに、いったんは先頭を走ったのに4着に敗れた山崎智也が首を傾げていたりするから、歓喜も控えめになるのだろう。それでも、濱野谷憲吾に声をかけられて、相好は崩れる。水神祭の模様はまた後ほどお伝えしよう。

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 山崎智也としては、そりゃあ首を傾げるしかない。まずは足の差もあるだろうし、それがゆえにしのぎ切れなかった展開にも納得がいくわけがない。そんな智也に濱野谷が声をかける。後輩の1着は嬉しいが、長く関東の盟友として奮闘を重ねてきた男の逆転負けに対しては気遣いもあるわけだ。濱野谷の苦笑交じりの言葉に、智也は同じような表情となった。少しは癒しになった、ということだろうか。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)