BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――3きょうだい戦!

 

f:id:boatrace-g-report:20180919181827j:plain

 初日のメインイベントはもちろんドリーム戦だが、ある意味、それにも匹敵する注目を(少なくともピットでは)集めていたのが11Rの「3きょうだい戦」であった。
①中村桃佳(妹)
②上條暢嵩(弟)
③松尾充(兄)
④上條嘉嗣(兄)
⑤中村晃朋(兄)
⑥松尾拓(弟)
 出走ピットに並べられた6艇のボート、その苗字が3種類しかなく、すべて「桃」「暢」など名前の一部が添えられている。それが3組の血縁関係にある選手の組み合わせかと思うと、それはそれでなかなか感慨深いのであった。

f:id:boatrace-g-report:20180919181853j:plain

f:id:boatrace-g-report:20180919181916j:plainf:id:boatrace-g-report:20180919181936j:plain

 レースでは、上條兄弟が2番手を争ったり、4~5番手争いを松尾ツインズが争って最後はほぼ並んでゴールするなど、きょうだいの絡みがところどころにあった。ただ、レース後にピットに上がってきたときにはほとんど見られなかった。勝った桃佳と2着の暢嵩が笑顔でレースを振り返り合う。3着の嘉嗣は西川昌希にイジられて大きく顔をほころばせる。充は黙々と引き上げる。などなど、装着場で兄弟兄妹が語り合う姿はなかったのである。そういうものなんですかね(もちろん控室などでは会話があっただろうと思うが)。なお、ポイントでは2着と3着の上條ブラザーズがトップ、といったところ?(着順点は上條14、松尾6、中村11)。篠崎兄弟がナンボのもんじゃい……とはいきませんか(笑)。

f:id:boatrace-g-report:20180919182152j:plain

 で、そのレースで最下位となってしまった中村晃朋が憤怒の表情を見せていたのであった。いいと思います。悔しさを噛み締めて表に出さないのも強者の姿。しかし、若者はストレートに感情があらわれたっていいじゃないか。そうしたひとつひとつが、晃朋の血肉となる。妹が勝って俺がビリ、みたいな悔しさがあるのかどうかはわからないが、負けて己に怒りをぶつけるのは勝負師として悪くない姿勢だと思う。

f:id:boatrace-g-report:20180919182235j:plain

 ドリーム戦でそうした表情を見せていたのは、磯部誠だ。道中はなんとか上位に食い込まんと前を追ったが、最後に小野生奈を抜いて4着に上がるまでしかできなかった。1マークは見せ場らしい見せ場を作れなかったと言っていい。今日の磯部は、朝からキャブレター調整だったりペラ調整だったり、とにかく動いていた。開会式で浜名湖のドン・服部幸男を憑依させたような「ベストを尽くします」との言葉、それは確実に実行されていた。勝った羽野直也とレースを振り返るときには、羽野に柔らかな笑みを向けていた。それが、羽野と別れたとたん、表情が一変した。一気に目つきが険しくなったのだ。明らかに本音の発露だろう。これで磯部に気合がもう一丁入ったと信じたい。明日の前半は6号艇。何を見せてくれるか、注目だ。

f:id:boatrace-g-report:20180919182322j:plain

f:id:boatrace-g-report:20180919182414j:plain

 さてさて、終盤の時間帯、整備室やプロペラ調整室には多くの選手の姿があった。初日の戦いを終えて感触をつかみ、足りない部分を補おうと陸上の戦いに取り組む選手が多かったということだ。藤山雅弘は本体を割っている。1号艇1回走りで6着大敗は、やはり焦燥感を生むものだろう。春園功太も調整作業。12R終了後、僕のもとにやってきて「Mクールのカメラマンさん、どこにいらっしゃいますか?」。BOATBoyの編集長にそれを聞きますか(笑)。まあ、同じ雑誌媒体ということで頼られたということか。どうやら写真を撮らせてほしいと頼まれて、しかしちょっと待ってもらっていた、ということらしい。調整に忙しかったということだろう。そして最後まで調整は続いたということだ。

f:id:boatrace-g-report:20180919182439j:plain

 逆に余裕があるように見えたのは、西川昌希だ。「悪くないでしょ」「うん」。この会話だけで充分。今日は1号艇イン逃げだったが、雰囲気は悪くなかった。大きな作業をする必要はなさそうだ。明日は6号艇。もちろん前付け! 1号艇は三重の後輩の松尾拓で、「これはインやろ。だって、俺が1号艇だったら地元の先輩の前付けにはインを譲るもん」。ウソつけ! 誰よりも譲らないのがあなただと思います(笑)。というわけで、現実的には入れても2コースと思われるが、深くても問題なさそうな足色、そして西川の様子だった。コース獲りの本領発揮は明日からだ!(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)