BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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浜名湖ヤングダービー 準優ダイジェスト

ツートップの咆哮

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10R
①椎名 豊(群馬・113期)11
②羽野直也(福岡・114期)20
③上條暢嵩(大阪・110期)08
④木下翔太(大阪・108期)05
⑤竹井奈美(福岡・104期)04
⑥永井彪也(東京・109期)09

 サプライズなレースだった。レースを混乱に導いたのは2コースの羽野。上記のスタートはドカ遅れと言ってよく、スリットから足を伸ばした暢嵩が一気に絞め込んで羽野を叩き潰した。そのままイン椎名まで呑み込む勢いに見えたが、椎名の伸び返しが凄まじい。まくりを無理と見た暢嵩は、すぐにスピードを落として椎名の横に貼りついた。見た目には距離が接近した1・2コース。暢嵩の一撃まくりを警戒した椎名もすぐに減速し、今度は暢嵩のマイシロを消すべく、小さく1マークを回ろうとした。

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 その時だ。凄まじい勢いで外から押し寄せた1艇が、一瞬にして内2艇(正確には3艇)を叩き潰していた。4カドの木下!! トップスタートの木下からすれば、内3艇の動向が手に取るように見えていた。インと2コース(暢嵩)が内にもたれるように近接し、3コースの空間がぽっかり空いていたのだから。木下は迷うことなく舳先を左に傾け、ほぼ直進状態で2艇まとめてツケマイで沈めたのだった。なんという判断の早さ。いや、判断ではなく、身体が勝手に動いたのだろう。長くSGで揉まれてきた男が、この美味しすぎる展開を逃すはずもなかった。

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 ボートレースはパワーだけで決まるわけではない。
 節間ワースト級の男が放ったツケマイは、改めてそんな金言を痛感させた。
 電光石火のツケマイで1着が決したバック直線、もっとも有利なポジションにいたのは木下マークで割り差した竹井奈美だった。3日目までの軽快な足があれば、そのままファイナルまで突き抜けた可能性は高い。が、プロペラ交換の影響があったか、バックでの伸びに精彩を欠いた。

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代わって2マークから力強く抜け出したのは、1マークで万事休したはずの羽野だった。1マークの出口で最後方に置かれたというのに、一発のスピードターンで2着に躍り出たのだ。これまたSG常連の底力。木下と羽野が、格の違いを見せつけた一戦だった。

最少登番ペアのランデヴー

11R 並び順
①関 浩哉(群馬・115期)06
②中村桃佳(香川・114期)09
③大山千広(福岡・116期)11
⑤小野生奈(福岡・103期)27
⑥春園功太(三重・113期)09
④北山康介(東京・103期)17

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 このレースもちょっとしたサプライズが発生した。ピットアウトで北山が遅れ、小野生奈が4カドに。そして、その生奈が10Rの羽野よりもはるかに極端なドカ遅れをやらかしたのだ。が、これら一連の“波乱”は、内3艇のレースを脅かす元凶にはならなかった。
 関が昨日とほぼ同じコンマ06で1マークを先取りし、やはりゼロ台の桃佳が差し、ほぼ同体の千広が全速でぶん回す。ダッシュ勢も差

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して追随したが、きれいな交差旋回を描いた内3艇には届かない。まずは23歳の関がスッキリと抜け出して、優出の当確ランプを点した。
 さあ、焦点はエポックメイキングな2着争いだ。内の桃佳か、外の千広か。競り勝った方が、女子レーサーとして初のヤンダビ優勝戦のチケットを得ることになる。その大勢は2マークの一発勝負で決した。小回りした桃佳の外を、千広がこれまた全速ターンでぶん回す。小円と大円の航跡が直線に変わったとき、より長い距離を走った千広が2艇身ほども抜け出していた。

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 準優に参戦した5人の女子レーサー(これもまた男女混合のGIでは新記録らしいby「ひまひまデータ」さん)の中でヤンダビ最初のファイナリストになったのは、歴代女王の生奈でもなく、レディースオールスターの覇者・桃佳でもなく、今節の最年少にして最少登番の大山千広だった。この22歳女子の優出をもって「後生畏るべし」と呼ぶのは、まだ早計に過ぎるだろう。明日は、さらなる“偉業”もありえるのだから。

1マークの獣、2マークの魔物

12R
①仲谷颯仁(福岡・115期)19
②佐藤 翼(埼玉・105期)16
③松尾 充(三重・112期)14
④守屋美穂(岡山・101期)12
⑤安河内将(佐賀・111期)18
⑥北野輝季(愛知・101期)21

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 配当的にもっとも荒れたこのレースは、サプライズと言うより実にヤンダビらしい大波乱だった。イン仲谷vs2コース佐藤のゴリッゴリの大競り! その要因を作ったのは、仲谷のチョイ凹みか。昨日はコンマ00で生き残った仲谷だが、いや、だからこそ?、今日はコンマ19までしか踏み込めなかった。

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 しかも、何度かアジャストしたのか、スリットから行き足を伸ばしたのは2コースの翼の方だった。勢い、じわじわと翼が絞め込んでいく。そこからやっと、仲谷が伸び返す。トップ級パワーの伸び返しは見事で、徐々に舳先が合ってくる。が、絞め込み続けた翼としては、もはや刀に鞘を納める段階ではなかった。意地と意地が乗り移った2艇のボートは、1マークの頂点でぶつかり合いそのまま真横へと流れ去って行った。嗚呼、新鋭王座の頃から何度も目撃した若きエネルギーのぶつかり合い。1=2を買っていた者にとっては暴挙でしかないだろうが、これがヤングダービーの本質でもある。

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 こうなれば、もっとも有利なのは真横にいる松尾充だ。本命2艇の大競りを尻目に、充は艇をやや外に開いて外をブロックしながら、鋭角な差しハンドルを入れた。差しのエキスパートらしい、冷静的確なハンドルワーク。これを待って、さらに4コース守屋と5コース安河内もズホズボと差して続く。
 3-4か3-5か。

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 バック直線で1艇身ほどリードしていたのは、外に構えた守屋だった。舳先を入れきれないとみた安河内は、2マーク手前で内へと向かって先マイを目指した。ちょうど、11Rの内・桃佳と外・千広のポジションに似ていて、守屋には握りマイか行かせて差すかの二者択一の戦法があった。守屋の選択は、行かしての差し。結果論だが、今日の局面ではそれが敗着となった。大本命の仲谷が、起死回生の逆転優出を狙って突っ込んできたのだ。大舞台の準優では、常に想定しなければならない後続の勝負手。守屋はこれをもろに浴びて、ファイナルの座を安河内に明け渡した。断言はできないものの、千広のように全速で握っていれば、おそらく2人目の女子ファイナリストになっていたと思う。「準優2マークの魔物」は今日もまた健在だった。(text/畠山、photos/シギー中尾)