BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――ビッグ勝負駆け

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 今日はダービーの勝負駆けデーだが、実はそれ以上の重い意味をもってもいる。チャレンジカップ勝負駆けの選手が何人かいるのだ。しかも、このダービーで優出しなければチャレンジカップに届かない選手もいる。さらには、チャレンジカップがF休みなので、グランプリに出るにはここで優勝しておかねばという強烈な条件を背負う者もいる(昨年のグランプリ出場者では田中信一郎がそうだ)。そのためにはまずは予選突破しなければ始まらない。すなわち、グランプリの勝負駆け、という意味もあるのがこのダービー4日目なのだ。
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 今垣光太郎は、昨年「チャレンジ出場にはダービー優出」という条件で参加し、見事に優出を決めてチャレンジに駒を進めた。今年も同条件だ。その第一関門となる今日、2走で2着3着が欲しいところ。決して簡単なノルマではない。今垣は、それをクリアするべく、ボートを整備室に持ち込んで整備調整作業を行なっていた。実は昨日も、同様の動きを見せている。実を結ばなかったが、だからといって手をこまねいているわけにはいかない。何が何でも、の思いで、さらにモーターのパワーを引き出さんとする。まさに勝負駆けの整備だ。

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 馬場貴也は、現時点では上位34人に入ってはいるが、ここでもうひとつ上積みをしておきたいところで、懸命なペラ調整が続く。「なかなか難しいっすね。体感はいいのに、なぜかうまくいかない」。気配自体は悪くないのに、レースで結果に結びつかない。その理由を探り、そして解消するべく、奮闘しているのだ。馬場は今日は1着条件! 8Rまでに何とか間に合わせたい。そんななかでも穏やかな顔を向けてくれる好青年、しかし胸の内には強い気持ちがうごめいているはずだ。

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 チャレンジカップは当確といっていい状況だが、できる限り上積みしてグランプリをしっかり視界に入れたいのは平本真之。今日は2走で12点が必要で、1Rでは2着に食い込んで、後半の勝負駆けを少し楽にした。とはいえ、気持ちを緩めることはない。レース後に着替えを終えた平本は、瞬く間にピットに戻り、後半への準備を始めている。レース後はしばらく控室で体を休める選手も多いものだが、平本も疲れはあるだろうに、気持ちは前へ前へと向いている。

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 山田康二は、ついにSG予選突破100%が途切れそうな状況。チャレンジカップはF休みなので、初のグランプリ出場を果たすにはダービー優勝しかなかったのだが、それもかなわなくなってしまった。しかし、山田も調整の手を止めようとしない。さまざまなビッグ勝負駆けが交錯するなかで、そこに関わるのが難しかろうと勝ちたいという意欲には変わりがない。勝っておけば、奇跡だって起きてくれるかもしれないのだ。まあ、そこまで考えているかどうかはともかく、懸命な調整は今日一日続くことだろう(12R1回乗り!)。

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 さてさて、今日の1Rは平田忠則、小野生奈、西山貴浩と福岡勢が3人。こりゃエンジン吊りが大変そうだなあ、とぼんやり考えてながら、平田の逃げ切りをモニターで見ていた。レースが終わり、ボートリフトに選手たちが集まる。1着が帰ってくる場所を見ると……なるほど、深川真二と山田康二の佐賀勢がこちらに加わりますか。同支部からは石川真二がここに参戦していた。

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 小野生奈は、と見ると瓜生正義がボートを引っ張り、峰竜太が押している。佐賀でも峰はこっちなんだ。松崎祐太郎もこっちだった。そして西山貴浩には篠崎元志、篠崎仁志の兄弟コンビ! 97期の曲者軍団は打倒ニュージェネが合言葉なのに(笑)。西山は2R終了後には勝った岡崎恭裕に軽口を飛ばして笑わしていたし、なんだかんだ言いながらニュージェネと仲良し。ニュージェネへの憎まれ口は、大好き!の裏返しなんでしょうね。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)