BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――早くもピリピリ感

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 初日を迎えて、ピットの緊張感はいきなり増した。まあいつも通りといえばそうだろうが、これがチャレンジカップであることを思えば、その空気はかなり濃くなっていると言っていい。昨日はわりとゴキゲンな様子だった石野貴之が、いきなり勝負モードに入っており、一昨日は新幹線でにこやかに話していたはずなのに、途端に話しかけにくい雰囲気を醸し出していたりする。

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 西山貴浩も、明るく振る舞いながらも気合を随所に感じさせる様子を見せている。とにかく伸びが厳しいようで、なんとか引き出さんと奮闘中。そんななかでも西山のほうから気軽に声をかけてきたりもするのだが、雑談の声にはあまり力がなく、気持ちは完全に調整作業のほうに向かっていると察せられた。西山が単なるエンターテイナーでないことを改めて痛感する。

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 菊地孝平は完全に熟考モードだ。ピット内を移動している間も、脳内コンピュータをフル回転させているのは明らかで、その思考に紛れ込みたくなくて、挨拶の言葉をかけるのさえためらわれる。普段の菊地は、こちらの背中からすれ違うときでも明るく「ちわーっす」などと声をかけてくるが、今朝はほんの数10cm先の巨体も視界に入っていないようだった。スイッチが入っているときの菊地孝平、である。

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 朝から作業、と宣言していたとおり、守田俊介は精力的に動いていた。1R発売中にボートを水面に下ろしたが、守田としては本当に珍しいシーン。3年前の浜名湖ダービー優勝戦の朝、1~2周ほど試運転をしているが、これは「12Rと気温がほぼ一緒の時間に足を確認する」ためのもので、その後はボートを上げて特に何もせずに一日を過ごしていたものだ。そんな守田がさっそく水面に出て、足合わせなど繰り返しつつ、調整作業。ヤバい足をどれだけ立て直してこれるか。

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 女子勢ももちろん、気持ちのこもった表情を見せている。中谷朋子は、挨拶の言葉をかける関係者などに満面の笑みで応じつつ、直後にすーっと顔つきが変わっていたりする。ドリーム戦1走なので時間はあるはずだが、しかしゆっくり過ごすつもりはまったくないようで、調整の準備に早くも取り掛かっていた。

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 オープニング1Rを勝ったのは大山千広! 昨日発表されたレディースオールスターのファン投票中間発表で1位である。まさに今、旬のヤングレディースである。爽快な逃げ切り勝ちに、笑顔がこぼれる。出迎えた川野芽唯とは、何事かやけに面白そうに、キャッキャと笑っていた。クイーンズクライマックス出場に向けて、幸先のいいスタート!

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 SGオープニングとなる2Rを勝ったのは木下翔太。ヤング勢が今年のスーパー勝負駆けの開幕を見事に飾った格好だ。こちらもやはり笑顔が深く、強すぎる先輩たちにイジられて、弾けるように笑い声をあげていた。大阪支部の木下にとって、ほとんどが地元開催のグランプリはいつか立たねばならぬ舞台。それが今年であっても、もちろんいいぞ!(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)