BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――誰からも祝福される覇者

f:id:boatrace-g-report:20181125185633j:plain

 馬場貴也、おめでとう!
 おそらくプレッシャーはあったと思う。1マーク、少しターンを漏らしたのは、そのあらわれだろう。しかし、馬場の相棒はそれをまったくビハインドとはしなかった。逃げ切り! その後は素晴らしいターンで、後続を寄せ付けなかった。強かった!
「守田さんと黒須田さんを泣かせますよ!」
 そんな宣言もしていた馬場だが、きっと馬場自身が泣くのだろうと思っていた。しかし、それほどでもなかった。ピットに戻り、守田俊介と峰竜太に祝福されてちょっと泣いたそうだが、それ以外は馬場はひたすら笑顔で勝利の余韻を味わっていた。

f:id:boatrace-g-report:20181125185736j:plain

 今日、馬場よりもカタく見えたのは、実は守田だった。どう見ても緊張してる。
「なんか朝からおかしかったんですよ。めっちゃ緊張したわ~」
 後輩のチャンスに、なぜか守田がテンパった(笑)。もしかしたら、そんな守田の姿が逆に、馬場をうまくほぐしたのかもしれない。
 レース前、ピットでは遠藤エミが祈るように水面を見つめていた。そして、馬場が先頭に立ったとき、顔がぱっとほころんだ。僕が見たところ、目が潤んでいた。先輩の快挙が我がことのように身に迫ったのだろう。
 さらに、長田頼宗だ。93期の同期生。東京支部の選手は、10R後に帰郷しているが、長田は同期の優勝に立ち会うため、残った。ウィニングランから帰ってきた馬場に、長田が抱き着く。これで93期からは、2人目のSGウィナー。1人目は長田だ。ともに厳しい訓練に耐えてきたふたりが、SGウィナー同士として抱き合う。最高に幸せな瞬間だっただろう。

f:id:boatrace-g-report:20181125185806j:plain

 そんな仲間にも囲まれて、馬場はついに獲った! 僕も目がウルウルしました。馬場は小さい頃に長野に少しだけ住んでいたことがあって、馬場はチーム長野の一員と勝手に決めていた。それだけに嬉しい! というわけで、馬場とはガッチリ握手! さらにグータッチ! 向けてくれた笑顔が最高にカッコ良かった。

f:id:boatrace-g-report:20181125185828j:plain

 峰竜太に祝福されて、馬場がちょっと泣いた、というのは、その峰竜太が泣いていたからである。泣き虫王子、ここに降臨(笑)。馬場のはつまり、もらい泣きじゃないか。
「どんな思いでいるんだろうって、考えたらもう、たまらなかったですねえ……」
 2着に敗れ、馬場の背中を見ながら、峰が感動していたという。もちろん抜きたかったには違いないが、ここにもまた馬場の優勝を喜ばしいものと感じる男がいたわけである。
 

f:id:boatrace-g-report:20181125185858j:plain

f:id:boatrace-g-report:20181125185917j:plain

赤岩善生が、カタい顔つきでありながら、馬場を見つけると手をあげて祝福を送っている姿もあった。毒島誠も、悔しげな顔を見せながらも、馬場には心からの笑顔を向けている。

f:id:boatrace-g-report:20181125185941j:plain

f:id:boatrace-g-report:20181125190018j:plain

 石野貴之は、さすがに悔しそうな顔を隠さなかった。スタートが行き切れなかったことも含めて、ひとつも納得のいくレースではなかっただろう。片岡雅裕は、表情を特に変えていなかったが、3着争いに敗れたことも含めて、不本意なものはあったと思う。まあ、彼らも戦いを終えて、馬場を祝福する気持ちにはなっているだろう。

f:id:boatrace-g-report:20181125190055j:plain

f:id:boatrace-g-report:20181125190119j:plain

f:id:boatrace-g-report:20181125190145j:plain

 というわけで、誰からも祝福されるSG初優勝。もちろん、水神祭です! 参加したのは守田、遠藤、長田。主役はもちろん馬場なのだが、いちばんはしゃいでいたのは守田だった(笑)。コーラを頭からぶっかけるわ、全員で飛び込むわ、上がってきた馬場を何度も落とすわ、しまいには自分も長田に落とされるわ、守田、本当に嬉しかったんだろうなあ。そして、これが馬場の人徳なのだろう。これで馬場はもちろんグランプリ当確! 守田とともに行けるグランプリだ。住之江でも滋賀支部旋風を巻き起こせ!

f:id:boatrace-g-report:20181125190204j:plain

 レディースチャレンジカップは守屋美穂の優勝! おめでとう! しっかりと逃げ切って、GⅡ初優勝だ。
 というわけで、こちらも水神祭! ウィニングランが終わると、白のカポック姿のまま、行なわれている。カポックを着ているからぷかぷかと浮いているわけだが、それがまたなんともかわいい(笑)。レディースオールスターのファン投票中間2位も納得です。

f:id:boatrace-g-report:20181125190223j:plain

 レース前も浮ついたところがなく、緊張感はあったというけれども、うまく付き合っていた印象。そしてレース後は、ただただ笑顔を振りまいて、優勝の喜びに浸っていた。その姿を見ていたら、勝つべくして勝ったんだな、と思わざるをえなかった。
 これで賞金ランクは4位に浮上。クイーンズクライマックス初戦は2号艇だ。2コース、強いからなあ。平和島でも大暴れしてまったく不思議がない。

f:id:boatrace-g-report:20181125190256j:plain

 敗者からは大山千広。惜しかった! いったんは3番手を走り、逆転クイクラ行きが見えていただけに、4着はただただ悔しかった。それを思い切りあらわにしていたわけではないけれども、そのやるせない表情に思いが見えていた。大山は最優秀新人の対象選手。このキャリアでここまで来たこと自体がすごい。この悔しさはきっと大きな糧になって、来年は憂いなくレディースチャレンジカップを迎えられるのではないか、と確信する。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)