BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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紅白W準優ダイジェスト

不安要素なき「ワンツー」

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11Rルーキーズ準優

①上條暢嵩(大阪) 18
②三浦敬太(東京) 14
③村松修二(広島) 25
④中村泰平(愛知) 19
⑤豊田健士郎(三重)14
⑥梅木敬太(福井) 17

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 大方の予想どおり、1マーク~バックでほぼほぼ内2艇の一騎打ちになった。スリットから出て行ったのは2コースの三浦。例によって素晴らしい行き足でさらにグイグイ伸び、ジカまくりの戦法も十分にありえただろう。が、ここは3着までが明日に進める準優、三浦は同期の上條を回しての差しを選択した。

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 こうなると、今度は上條自慢のレース足が火を噴く。回った直後にシュッと加速して三浦の舳先を完封し、そのまま逃走態勢に持ち込んだ。スリットからこの出口まで、両者のパワーの特長がしっかり反映された攻防だったと思う。今日のこのレースが優勝戦だったら、上條の出足を知っている三浦はおそらくスリットから握り潰しに行っただろう。とにかく110期のふたりはともに“予行演習”として十分の手ごたえを感じたに違いない。

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 そしてもうひとり、ウムムと唸らされたのが梅木敬太の実戦足だ。バック4番手から突進気味に切り込んで3着争いに。相手は後輩ながら格上の中村だからして、捌かれて競り負けという脳内イメージが浮かんだものだが、どうしてどうして、抜かれるどころかターンマークごとに力強く突き放して行く。その都度、私が感じたのは両者の圧倒的なパワー差だった。まさに全部の足が強いバランス型で、中村相手に一部の隙も与えないパワー。開催3日前に山口剛が3コースからGIを分捕った51号機の勢いが、今日もそのまま受け継がれていた。もちろん、明日のファイナルでも機力的には十分に舟券に絡める存在、とお伝えしておく。

危機一髪の「抜き」

12Rレディース準優
①今井美亜(福井) 25
②新田芳美(徳島) 21
③日高逸子(福岡) 15
④竹井奈美(福岡) 15
⑤高田ひかる(三重)26
⑥岩崎芳美(徳島) 25

 ほぼ盤石のイン逃げだった上條に比べると、こちらは肝胆を寒からしめる薄氷の「抜き」だった。今日の美亜の最大の敵は風だったか。レース直前に向かい風がぐんぐん強くなり、助走距離のないイン選手には厄介な水面になっていた。「踏み込んだつもりでしたけど」と回想するスタートはコンマ25。

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 スリット隊形はまさに絶体絶命だった。強い福岡のセンター勢が、スリットからグッと突出。このまま3コースの日高が一気に絞め込んだらほぼ美亜アウトというムードだったが、新田の伸び返しを見た日高は穏便な作戦を選んだ。やはり、ここは準優なのだ。攻めっ気の強い後輩・竹井を完璧にブロックし、新田が差した瞬間の握りマイ。絞めまくりと違ってアタマまで届く戦法ではないが、ファイナルの可能性を高める正攻法。さすがの57歳、状況を知り尽くしている。
 この一連の流れで九死に一生を得た美亜ではあったが、バックでは内から強敵が襲い掛かった。新田の伸び足! 2コースからスッと差した新田は、そこから凄まじい行き足で伸び続け、軽々と美亜の内に舳先を貫いていた。パワー的に今日イチ驚いた光景だったな。
 が、2マークで美亜はこの危険も回避する。内に新田、外に日高を見ながらの冷静沈着な差しハンドル。美亜の足は「全体的に中堅上位~上位の下あたり」が私の見立てなのだが、この引き波を超えて出て行く感じは常にスムース(本人曰く「乗り心地」の部分か)に見える。今日も回った瞬間にシュッと軽い感じで引き波を超え、そのまま先頭に躍り出ていた。もう、こうなったら抜かせる美亜ではない。

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 2着は1~2マークを穏便に危なげなく捌ききった日高。「準優ってのは、こうやって優出の権利を得るのよ」みたいな貫禄のレースっぷりだった。パワー的にも昨日から急に?行き足近辺が強くなってるし。さすがに優勝戦に入ると劣勢だとは思うのだが、24歳~31歳を相手にする百戦錬磨変幻自在神出鬼没の57歳……その脳内の引き出しには、さまざまな“リンゴ”が蓄えられている(笑)。

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 3着は2周1マークの切り返しで新田を引き波にハメた竹井。いやぁ、これっきゃない、という戦術ではあったな。「外から内に振っての先マイ」までは普通の切り返しとして、そこからレバーを放って大きな引き波を作りつつ、小さく回って新田のマイシロを完全に消し去っていた。自身もやや停滞するリスキーな戦法ではあるが、これぞまさに「勝負手」と呼ぶべきだろう。うーん、福岡の女は怖い!!
 パワー的にも好バランスで「展開さえ向けば」という器用さを感じるのだが、今日の1マーク~バック直線足色は新田の方がかなり良さげだったのが気になる。今日のままでは天辺までは厳しいだろう。(text/畠山、photos/チャーリー池上)