BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――1st組の動き

f:id:boatrace-g-report:20181218165411j:plain

 トライアル1st組で際立った動きだったのは、石野貴之だ。スタート練習とタイム測定が終わると、「機械室」と書かれた部屋にこもった。ここはギアケース調整をする選手が入っていく部屋。もちろん石野もギアケース調整だ。その必死さが伝わるのは、服装。上半身は半そでのシャツ1枚なのだ。年じゅうアロハシャツのワタシでさえ、この時期は上着を着る。しかし石野は上着を脱ぎ捨て、作業に集中した。途中、エンジン吊りに駆けつけるときも半そでのまま。ダッシュでリフトに向かい、ダッシュで整備室へと戻る。これはかなり長く続き、トライアル1st組の共同記者会見では石野がぶっちぎりのラストとなった。それほど、調整が長く続いたのだ。「すみません」と遅れを詫びて始まった会見で、石野の第一声は「あまりよろしくない」。たった2戦のトライアル1st、何としても勝ち抜くために、石野は前検日から全力投球だったわけである。

f:id:boatrace-g-report:20181218165445j:plain

 もうひとり、石野ほどではないが会見が遅くなったのは池田浩二だ。池田は、早くも本体を割ったのだ。池田曰く「点検です」だが、前検日から本体を割るのをあまり見たことがないだけに、超短期決戦で、しかも敗れればシリーズ回りを強いられるトライアル1stの過酷さを改めて痛感させられる。池田も、「特にいいところがない」とのことだから、早い段階から動くしかなかったわけだ。

f:id:boatrace-g-report:20181218165508j:plain

 もうひとり、赤岩善生も本体整備だが、これはいつも通り、である。どんな舞台でも変わらず自分の仕事をする、を貫く赤岩は、グランプリの舞台でもブレることなく己の作業をやり通す。赤岩も、今のところは感触がいいというわけではないようで、明日も朝から赤岩流の動きを見せてくれるだろう。

 トライアル1st組の会見について、ざっと記していこう。
12R
①吉川元浩【好感触】体感が良い。行き足、乗り心地も良かった。今日は何もしていない。
②笠原亮【不満】パンチがない。伸びなさそうで、レースをしやすくしたい。
③桐生順平【ボチボチ】風に負けていた。伸びられる感じはなく、悪くはない。コースは臨機応変に、勝ちに行くレースを。
④濱野谷憲吾【??】評判の足はなかった。ペラは微調整で済みそう。和美さんが良さそう。
⑤太田和美【好感触】悪くない。違和感もない。違和感が出るまでは何もしない。コースは水面状況、相手を見ていちばんいいところから。
⑥新田雄史【ボチボチ】回り過ぎだったが、悪くない。太田さんが少し良かった。コースは動いてみたい。
11R
①岡崎恭裕【好感触】乗りやすかった。インから少し余裕があった。大幅に叩く必要はなさそう。
②馬場貴也【今一つ】乗りづらさがあった。ターンの押しが甘かった。S練習では班で一緒くらい。
③石野貴之【不満】最近の形に叩き変えて特訓に行き、劣勢。力強さ感じない。乗り心地無視で足重視の調整を。
④赤岩善生【ボチボチ】ターン回りはしっくりこない。伸びは悪くない。Sは勘と合っていた。
⑤菊地孝平【ボチボチ】前評判よくないエンジンだが、そういう感じはなく、大きな差はない。乗りやすさを良くしたい。スタートは、いい練習ができた。
⑥池田浩二【不満】スタート届いていない。たいしたエンジンじゃない感じ。行き足なかった。コースは6コース。

f:id:boatrace-g-report:20181218165538j:plain

 スタート練習&タイム測定が始まる前、ピットに突っ立っていると、岡崎恭裕が歩み寄ってきて、「僕の、いいエンジンでしょ?」と尋ねてきた。1st組に回ったモーターのなかで、岡崎の57号機は評判機。「いいエンジン」と応えると、岡崎はうなずきながら去っていった。つまり、乗ってみた時点で感触が良かった、ということだろう。

f:id:boatrace-g-report:20181218165601j:plain

 吉川元浩は、1st組のなかでは早々に通勤服に着替えていた。つまり、今日のうちに急いでやらなければならないことはない、ということだ。会見で言ったとおりに、好感触だったということになる。1st組の1号艇がともに良さそうな足、ということは、今年のトライアルは逃げ2本でスタートとなるのが濃厚なのだろうか。新田雄史のコース獲りが注目ではあるが。

f:id:boatrace-g-report:20181218165629j:plain

 トライアル2nd組では、毒島誠が早くも本体整備を始めていた。2nd組の6基のモーターのなかで、唯一C評価となっている68号機を引いた毒島。実戦は3日後とはいえ、充分に時間があるとは思えない、ということだろう。

f:id:boatrace-g-report:20181218165656j:plain

 中島孝平は、プロペラ調整に励んでいる。2nd組で最も遅くまでペラを叩いていたのがこの人だ。ペラ室からボートリフトまではけっこう距離があり、エンジン吊りのたびにペラ室から全力疾走してリフトに向かい、終わると全力疾走でペラ室に飛び込む、の繰り返し。石野と同じような動きを見せていたわけだ。

f:id:boatrace-g-report:20181218165719j:plain

 一方、白井英治は早々に着替えて、ゆったりと過ごしていた。S評価のモーターを引いたことで、余裕が生まれていると見るべきだろう。守田俊介も同様だったが、まあこれはいつものこと(笑)。グランプリの舞台でも特別なことをするわけではない、という意味では、赤岩にも通じるものがある? ともあれ、これが守田流だ。

f:id:boatrace-g-report:20181218165747j:plain

 シリーズ組。SG初出場の上野真之介、佐藤翼はやはり報道陣の注目の的となる。JLCのカメラや新聞記者さんの前に立つ姿を何度か見かけた。上野は、師匠の峰竜太、同県同期さらに同門の山田康二とのスリーショットをリクエストされたりもしている。初めてのSGがこの舞台。二人は何を感じるだろうか。

f:id:boatrace-g-report:20181218165814j:plain

 スタート練習&タイム測定の7班は、登番3822平尾崇典から3996秋山直之の6人。6人がリフトに戻ってきたとき、アナウンスが流れた。
「中野選手、ボートを本番ピットに移動させてください!」
 8班は4028田村隆信から4237大峯豊。4075の次郎はもちろん、この8班の一人だ。それなのに、先輩の齊藤仁のエンジン吊りに向かおうとしていたのである。しかもボートは試運転用の係留所についたまま。次郎ちゃん大慌てでボートへ!

f:id:boatrace-g-report:20181218165837j:plain

 その様子を見た、選手代表の湯川浩司が怒鳴りつける。「早よせんかい!」。湯川代表、怖いっす~。といっても、これはもちろんジョーク。ニッコニコに笑ってましたからね。次郎も笑みを浮かべながらボートへ走る。でも次郎ちゃん、次は気を付けてね。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)