BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――忙しい雨の朝

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 朝から雨。気候が変わったので、選手は調整に忙しい……などというのは常套句だが、この舞台は天気がどうとか関係なく、忙しく調整するのが当たり前。初戦はまさかの6着だった中島孝平は雨などまるで意に介さずに試運転で走り回り、巻き返しの調整をはかっていた。トライアル1stの2走も短いが、2ndの3走だって短期決戦には変わりはない。しかも6着をとってしまった中島にとっては、今日はファイナル行きに望みをつなげるかどうかの瀬戸際でもある。1~2R発売中にボートが水面にあったのは中島のみ、であった。必死さが伝わってくる。

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 岡崎恭裕は、丁寧に丁寧にモーターの装着作業を行なっていた。もちろん水面に出ていく準備であるが、その丁寧さはなかなかに凄い。1R発売中にすでに操縦席でさまざまなチェックをしていて、それが終わったのは2R終了後である。間に1Rのエンジン吊りを挟んではいるが、少なくとも小一時間は隅々まで点検しながら、万全の装着を行なっていた。最後はギアケースが曲がっていないか手で触って確認して、2Rのエンジン吊りへ。ワタシはがさつなので、もし選手だったとしてもとても真似できないなと思う。

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 笠原亮は、プロペラを大きく叩き変えたようだ。1st初戦の1周2マークで引き波を超えていく足はなかなかと思わせたが、それだけではやはり2ndではアドバンテージにならない。それを2nd初戦で痛感して、今日は思い切った策に出たようだ。抽選で緑を引いてしまい、2ndは2戦連続で6号艇。楽な状況ではないが、今日は何としても望みをつながなければならない戦いだ。

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 毒島誠も、プロペラ室で真剣なまなざしを見せていた。初戦1着とはいえ、気を緩めることはありえない。当然それをわかり切っている毒島は、今日は今日の万全たる調整をする。序盤の時間帯は、とにかくプロペラ室にこもっていた。エンジン吊りとプロペラ調整以外の毒島を今朝は見ていない。ここは誰もが必死になる舞台なのだと改めて思い知らされる。

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 そうしたなかで今日も余裕がうかがえるのはやっぱり白井英治なのであった。昨日と同じ服装で、エンジン吊りには悠然とあらわれる。終われば控室へ。何もしないのも整備、と好モーターに対してそうした物言いをよく耳にする。白井の様子は、それを体現しているもののようにも思えてくる。

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 あと、井口佳典は精神的な余裕が感じられた。井口はこちらの顔を見ると、いつも目を見開いて笑みを作ってくれるのだが、その見開き方と笑みの深さが毎度違う。たとえば、井口自身、めちゃくちゃ自分を追い込んで戦っていたというダービーの時は、笑みが非常に浅かった。今日は、カッと目を大きく見開いて、ニコニコッ。レース間際になれば間違いなく変わってくるが、今朝は実に穏やかに過ごしていると見えた。

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 シリーズ。今日は勝負駆け、こちらもみな調整に余念がない。整備室には選手の姿は見えなかったが、プロペラ室はほぼ満員状態だ。雨の中で試運転をしている選手も数多い。湯川浩司も試運転に奮闘。選手代表の仕事もこなしながら、自身の作業も忙しくこなす。小野生奈とは足合わせをしたようで、小野が元気に駆けて湯川の元に向かう。二人とも真剣な表情で、しばらく会話を交わしていた。

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 1R、気づいてしまったのである。並んで引き上げてきた大峯豊と西山貴浩がおそろいのウェアであることを。西山が着用しているズボンは、曲者軍団「サスピシャスパーソン」のもの。ということは、大峯も曲者軍団なの!?
「貴浩が大峯さんはこっちでしょ、って言うんですよ。あいつ、僕が徳山で準優でイン獲ったのとか、地区選で今村さんからイン獲ったのとか、そんなのばっか見てるんですよね」
 ちなみに、今村豊からインを獲ったのは10年の中国地区選の予選で、1号艇の今村から4号艇の大峯がインを獲って逃げ切り。そして、その地区選でGⅠ初制覇! たしかに曲者感はある大峯である。今節、西山とのツーショットを何度も見ていて、仲がいいのは確認していたが、実は曲者軍団入りしていたとは。というわけで、大峯豊を大応援することが決定しました(笑)。SGでも曲者っぷりをおおいに発揮してください! ちなみに、平尾崇典も同じズボンをはいてます。おそらく山口達也との関係でしょうね。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)THEピットだss