BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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平和島クイクラTOPICS 4日目

トライアル第2戦ダイジェスト

書き尽くした常套フレーズ

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11R

①山川美由紀(香川)01
②中谷朋子(兵庫) 07
③細川裕子(愛知) 13
④松本晶恵(群馬) 14
⑤守屋美穂(岡山) 13
⑥寺田千恵(岡山) 12

 インの山川が松本との大接戦をギリギリ凌ぎきってゴールイン。2戦目にしてファイナル進出をほぼ確実なものにした。それにしても、この讃岐の女帝の勝負強さと言ったら、もう!(←嗚呼、今まで何十回使ったフレーズだろう)。インコースから張り込んだスタートは泣く子も黙るコンマ01!!

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 その後の激闘を考えると、あるいは山川が勝つには必要十分条件のタッチスタートだったかも知れない。1マークは必死に逃げを計る山川vs差した松本の一騎打ち。エース56号機を駆る松本が内からスルスル伸びて捕えきる勢いに見えたものだが、百戦錬磨の山川が外から内へスーーーッと艇を寄せ、松本の舳先が伸びきる前にピシャリとシャットアウトした。技あり!

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 ただ、明らかに全体的なパワーで上回って見える松本が、その後もターンマークごとに追い詰める。そのたび、山川が激辛のターンでギリギリ突き放す。あの攻防を見る限り、今日の山川25号機の最大の特長はいわゆる「回ってからの一瞬の足」だと感じた。この部分が松本56号機よりやや勝っていた分、その追撃を封じたように見えた。レース後の抽選で試練の6号艇を引いてしまった山川だが、3着以内でファイナル1号艇が確定する身の上。その一瞬の足を活かしきるにはどんな作戦が最適か、女子レース界きっての勝負師はあれこれ秘策を巡らせるに違いない。

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 それから……私が大いに期待していた中谷10号機は、今日もほとんど見せ場を作れないまま5着に敗れた。昨日の6着と合わせて9点では、よほどの何かが起きない限りはファイナル落選と考えていいだろう。残念この上ないが、展示タイムも含めて昨日よりも足色が良く見えた(気がする、というレベルだが)ので、明日以降も積極的に舟券に絡めてみたい。

讃岐旋風、止まらず!

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12R 並び順

①竹井奈美(福岡)27
②遠藤エミ(滋賀)28
⑥小野生奈(福岡)29
③日高逸子(福岡)40
④長嶋万記(静岡)38
⑤中村桃佳(香川)19

 讃岐の女帝に続いて、こっちは讃岐のお転婆プリンセスが劇勝だ。その決まり手は、6コース一撃まくり!! 山川のタッチスタートといい桃佳のド派手なアウト攻撃といい、女子王国・香川支部の強さ怖さが際立った1日だった。

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 この大技が炸裂した要因はあれこれ考えられるが、まずはレース直前になっていきなり猛烈に吹きはじめたホーム向かい風。そして、生奈の前付けだ。このゴリッゴリの前付けは同県の大先輩・日高をも出し抜いて3コース奪取。126・3/45という進入は、内3艇をずんずん深くしていった。
 スタ展よりはるかに強い風×深い起こし=ご覧の通り↑のスタートタイミング。さらには日高と5カドの長嶋までタイミングを逸する強風だったわけだが、ただひとりアウトの桃佳だけがコンマ10台の踏み込みで内5艇をまるっと呑み込んだ。とどのつまり、こちらの最大の勝因も「度胸満点のスタート勝ち」と言いきっておこう。

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 そしてそして……こんな大技を決めた桃佳がレース後の枠番抽選で白玉を引いたのは、むしろ自然の理と呼ぶべきか。明日の1号艇をしっかりモノにすれば、ファイナルの好枠が約束されるであろう桃佳。たとえ1号艇を逃したとしても、今節の桃佳の引き出しには「スーパーピット離れ」という必殺技も温存されている。今日の6コース一撃まくりに加えて「バナレ飛びで山川からインコース強奪逃げきりV」なんてことが起きたら、今年のクイクラは「ピーチ姫伝説」として長く語り継がれることになるだろう。

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 2着には桃佳にまくられた直後に全速握りマイで追撃した遠藤エミ。いわゆる「換わり全速」という高等技術を難なく繰り出したエミにも天晴れを贈りたい。これで流れを引き寄せたであろうエミも、抽選で白玉をゲット。ファイナルの好枠がはっきり見えてきた。

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 3着は、前付けでレースを味付けした生奈。ここで大敗すれば中谷とともにほぼほぼ赤ランプが点る状況だったが、この3着で最悪の事態は回避した。が、レース後に引き当てたのは、またしても緑玉……石に齧りついても2着以内が欲しい正念場で、このド根性娘がどんな勝負手を放つのか。ピットアウトから脳内レースをフル稼働させるとしよう。


 続いて、シリーズ戦の勝負駆けの結果は……?

THE勝負駆け①予選トップ争い
雰囲気はVモード全開!

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 昨日までの得点順位は①茶谷桜、②塩崎桐加、③関野文とダークホースが上位独占。自力トップの権利は茶谷が握っていたが、前半4Rのスタートでやや凹んで3着まで。この時点で自力の権利は塩崎(3R2着がモノを言った)に移動した。
 とは言え、暫定2位まで押し上げた岸恵子とは僅差。9R3号艇の塩崎の自力トップ条件は「①着のみ」というそれなりに厳しいものだったが、3コースから展開を突く鮮やかな差し抜けで文句なしの予選トップを確定させた。バックで最内からグングン伸びる姿は、その最高ポジションに相応しい勇姿にも見えたものだ。

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ちょいと自慢させてもらうと、2日目の極撰予想で「昨日はメチャクチャ雰囲気を感じさせた塩崎との4-6勝負。優勝しそうなムードさえ漂わせる塩崎(以下略)」と書いたのが実現しそうな流れでもあるな。ムフフ、もちろん応援したい存在にもするわけだが、明日の4号艇に怖ーーい先輩がいるだけに、まだまだ圧倒的なV候補と呼ぶわけにはいかない。その先輩とは?

THE勝負駆け②準優ボーダー争い
-7点からのブルーインパクト

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 4号艇でもっとも怖い女子レーサーは?と聞かれれば、私は間髪入れずに「五反田忍」と答える。この浪速の4カドまくり姫が2日目の不良航法(-7点)をモノともせずに、昨日からピンピン2連勝で予選ボーダーの壁をぶち破った。昨日は2コース差し、今日はイン逃げだからして派手なパフォーマンスとは呼べないが、日に日に実戦足がアップしているムードが伝わってくる連勝でもあった。そして、予選を終えてみれば私の大好物の「五反田=4号艇」だったわけだ。うーーーん、優勝をチラリと予言していた塩崎か、それとも4カドから豪快に攻めてくれる五反田か、なかなかワンツー決着が成立しにくい直接対決でもあり、明日の10Rは嬉しくも悩ましい番組と言えるだろう。

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 一方、残念な話題としては、賞金ランク13位で有力なV候補だった大山千広が予選で散ってしまった。必勝態勢で臨んだはずの10R1号艇で、4カド鈴木成美のスタート一撃まくりを喫してまさかの5着大敗! さらには泣きっ面に蜂の不良航法というオマケ付き。このレースの直前から強くなりはじめた向かい風も含めて、今節はリズムも運も劣勢パワーも含めて「千広のシリーズじゃなかった」と言うしかない。来年のレディースオールスターのトップ当選選手だからして、本人にとっても心から悔しく情けない落選だったことだろう。うむ、今日のところはとことん自分を責めてもらいたいぞ。何かしらの挫折があるたび、それを倍返しくらいの勢いでスキルアップしてしまうレーサーなのだから。(PHOTOS/シギー中尾、TEXT/畠山)