BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――決戦前の慌ただしさ

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 運命のトライアル最終戦。シリーズは準優ということもあって、今朝のピットも慌ただしい。選手の動き出しは早く、小野生奈と竹井奈美は早々に試運転を始めていた。竹井は2R発売中にはいったんボートを上げており、さらに調整を加えてふたたび水面へと飛び出していくだろう。二人とも、慌ただしさは一日続いていく。あと一人、中谷朋子のボートもすでに係留所にあった。厳しい状況ではあるが、諦めることなく調整は続く。

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 整備室には長嶋万記。本体整備を施していた。昨日の大敗で一気に楽な立場ではなくなっただけに、そこで感じた違和感を何としても解消したい。集中して整備していることもあって、エンジン吊りにもギリギリで駆けつけるといった状況。整備はもちろん本体のパワーを引き出す作業だが、その表情を見ていると気合を注入しているようにすら見えてくる。

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 日高逸子がボートリフト付近に設置してある寒暖計を覗き込む。「ああ、今日は暖かいわね~」。その声を聞いて、海野ゆかりも寒暖計のもとへと歩み寄る。ふむふむとうなずきながら、二人でそこから離れていった。覗き込むと8・9℃。たしかに昨日の同じ時間帯よりは1℃ほどアップしているか。その1℃に選手たちは神経を配るわけで、たかが1℃されど1℃なのだ。この情報が、日高の調整にも活かされていく。

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 そのかたわらを、神妙な顔つきの細川裕子がすれ違っていった。手にはヘルメットとカポックがあり、すぐにでも試運転に飛び出していきそうな雰囲気だ。実際は、入念にボート周りを点検しており、下ろしたのはもう少し先のこととなった。ともあれ、気持ちが入っている表情は、完全に勝負師のそれになっていた。

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 寺田千恵は、屋外の調整所でペラ叩き。日高曰く「今日は暖かい」とはいえ、風はやはり冷たく、ストーブが置いてあるとはいえ、楽な作業ではない。寺田も風が吹き込むと、さむ~いと声をあげる。それでももちろん、作業の手は決して緩められることはない。写真は武藤綾子とのツーショット。この絡みは、これまでの女子戦のピットでも本当によく見かけたものだ。寺田はもともと福岡支部。その頃から関係性は濃いのである。時に寺田が相談をしているような雰囲気もあり、心強い存在なのだ。

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 そうしたなかで、遠藤エミと松本晶恵はまだプロペラがボートに着いたままだった。朝の時間帯、二人はゆったりと過ごしていたというわけだ。これが何を意味するのか。急ぎの作業をしなくてもいい、ということはすなわち……。もちろん、気象的な部分を考慮してのことという可能性はある。

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 シリーズ組。今日は準優勝戦で、準優組は1回乗りなので、一般戦組はほとんどが2回乗り。しかも7Rまでに2走を消化するので、これがなかなかに忙しい。1Rを走った1~3号艇の次走は4Rと、中2レースしかない。3R発売中には展示ピットにボートを移すから、作業ができたとしても2R発売中が精一杯なのだ。ということで、次のレースの準備がなかなか大変! 1R1号艇で5着と敗れてしまった佐々木裕美も、悔しがっているヒマもなく、大急ぎで4Rの準備を始めるのであった。

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 準優組では、谷川里江が寺田の近くでペラ叩き。かなり力をこめて叩いており、ある程度叩き変えているように見えた。ベテランが寒風のなか屋外で作業をしているのを見ると、それだけで頭が下がる。

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 予選トップの塩崎桐加は、2R発売中にはボートを下ろす準備をしている。そのかたわらに、さまざまなピット内の雑用もてきぱきとこなす。緊張感のようなものはほとんどうかがえないが、レースになればプレッシャーがかかってくるのは当然のこと。せっせと動き回りながら、それと対峙する気持ちを作り上げていくことだろう。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)