BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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トライアル第3戦ダイジェスト

エース、完全覚醒か!?

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11R 並び順

①中村桃佳(香川)22
②寺田千恵(岡山)25
③守屋美穂(岡山)16
⑤松本晶恵(群馬)22
⑥小野生奈(福岡)39
④竹井奈美(福岡)16

 今日もまた、波乱を演出したのは向かい風×生奈の前付けと言っていいだろう。生奈の仕掛けに竹井以外の4選手が抵抗して12356/4。それなりに深くなったスロー勢の起こしタイミングが乱れ、もっとも遅れたのは5コース生奈のコンマ39。

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 勢い単騎ガマシの竹井が、大外から一気に生奈を叩いて飛び出した。昨日の桃佳の再現か!? スタンドは騒然となったが、おそらく竹井はアジャストしていたのだろう。そこから先の伸び足に精彩がなく、4コース松本に軽々とブロックされた。
 惜しかったのは3コース守屋で、竹井と同じトップスタートから伸びなりに内を絞めまくり。突き抜ける勢いにも見えたが、まくられたらひとたまりもないイン桃佳が身体を張って応戦し、ギリギリ交わした守屋も大きく外に流れた。

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 つまりは凸凹スリットから内外同時の乱打戦。その間隙を縫って外からは松本が、内からは寺田がズボズボと音のするような差しハンドルで乱戦から抜け出していた。バック中間の足色は、先頭の松本だけがケタチの勢い。エース56号機の本領発揮と言うべきストレート足だった。シリーズ戦の茶谷、塩崎との比較は難しいが、トライアル組の中ではやはり節イチに指名すべきだろう。

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 敗者についても一言。昨日今日と6号艇から前付けした生奈は、ともにコースの利を活かすことができずにファイナル入りを逃した。ストレート足が強めだった生奈が、頑なに前付けにこだわった理由は分からない。ピット情報によれば、この生奈の“強攻”に対していささか不穏な空気も察知できたとか。おそらくはそんな逆風を感じながら、生奈は大先輩たちに立ち向かって行った。不利な向かい風を自覚しつつ、ただただコースの利を追い求めたのか……生奈の前付けには、今後のレーサー人生を見据えた何かしらの深慮遠謀が働いているような気がしてならないのだが、どうだろうか。

連覇への逃走

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12R

①遠藤エミ(滋賀) 06
②日高逸子(福岡) 05
③細川裕子(愛知) 09
④中谷朋子(兵庫) 13
⑤長嶋万記(静岡) 14
⑥山川美由紀(香川)15

 こちらは6号艇の山川が昨日から「動かない」と宣言し、本番でも微動だにせず。かなり穏やかな枠なり3対3となった。たっぷりの助走とともに、スタートを奮発したのはスロー3艇だ。特に昨日の12Rで一撃のアウトまくりを喰った内2艇は、よほど悔しかったか(笑)。ともにゼロ台半ばまで踏み込み、怖いセンター勢の攻撃をシャットアウト。遠藤がスピーディーなインモンキーで日高の差しを寄せ付けず、ファイナル当確の花道を突き進んだ。

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 正直、今節の遠藤26号機のパワーはあまり良く分かっていない。昨日の換わり全速もパワー云々よりスピード、今日もスタート&スピード勝ちという印象で漠然と「バランスの取れた中堅上位あたり」と考えているのだがどうだろう。

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 2着もスタートの利を活かしつつ、2コースから順当に差した日高。バック中間では4カドから差した中谷に煽られたが、2マークの冷静なターンで逆に突き放した。あの攻防を見る限り、日高の回り足はしっかりしていて上位の部類に入るだろう。伸びは一息でカドから一撃のパンチ力はなさそうだが、展開を突いて抜け出す力強さは持ち合わせている。

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 着順的にちょいと痛かったのは山川の5着か。11Rの結果を受けて、このレースの山川は「④着でファイナル1号艇」というかなり現実味のある条件になっていた。もちろん、このノルマをクリアしてしまえば、明日の山川は鬼の如き気迫でスリット~1マークを占拠した可能性は高い。が、いざ実戦は枠=コースの遠さを克服できず、最後方から長嶋の転覆で5着に浮上するのがやっとだった。自力トップのチャンスを逃し、エース56号機を駆る松本にポールポジションを明け渡した流れは、山川にとって順風とは呼べないだろう。(PHOTOS/シギー中尾、TEXT/畠山)