BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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宮島マスターズTOPICS 2日目

伏兵乱舞!

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 ミスター今村豊がイン戦でも大敗を喫してよもやの456着、王者・松井繁がスタートの切れ悪く254着、江口晃生は連日ボコボコに叩かれて646着……などなど主役級のスターが悪戦苦闘する中、埋伏の兵とも呼ぶべきダークホースたちが大活躍している。
 まずは徳島の一宮稔弘。昨日は5コースから激しい3着争いの末に鳥飼眞を競り落としてヒモ穴を提供。サイドの掛かりを主体に出足系統の力強さを感じさせる内容だったが、今日の1Rでも③飯島昌弘のまくりにキッチリ連動して絶品のマーク差し。複数の引き波を軽々と超えて、飯島との一騎打ちにも競り勝った。
 返す刀で後半9Rは、スリットほぼ同体のイン戦からグイグイ出て行って先マイ圧勝。あの勝ちっぷりを見る限り、自慢の出足系統にストレート足まで加味された気がしてならない。この鬼足ならば、明日の6号艇という試練も乗り越えられるかも?

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 15年ほど前、一宮がにわかにブレークした時期があった。2004年7月の鳴門周年を制してチャレンジカップ(準優4着)、GPシリーズ(準優3着)などなど1年間で5個のSGに参戦。以降、大舞台への挑戦は途切れたままだが、最近の好調モードはなんとも侮れない。今回の大会も、昨年7月の大村マスターズリーグ優勝で早々に権利を獲得。ただ、それがなかったとしても、適用勝率6・81という高い数値で楽々と当選していた一宮なのである。15年ぶりに眠れる渦潮が湧きたつのか。現状の勢いと機力を踏まえて「絶対に軽視禁物」と肝に銘じておきたい。

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 続いて、兵庫の明石正之だ。正直、今節のメンバーの中に彼の名前を発見したとき「え、どうして? いつの間に? どっかのマスターズリーグを勝ったんだっけ?」などと失礼なことを思ってしまったのだが、適用勝率6・62で堂々の権利獲得。それを知った私と黒須田は一転して「今節の穴は明石だな、絶対に人気の盲点になるぞ」などと話したものだった。これまた失礼か(笑)。
 そんな明石が、今日の3Rでドッカーーン大花火を打ち上げた。5カドから一撃の絞めまくりで圧勝、343倍の大穴をブチ開けたのだ。前予言したはずの我々は、口をあんぐり開いてこのド派手なパフォーマンスを眺めていた。ここだったか(涙)。この1着も含め413=7・00と好位置を維持している明石。さらに明日の10R1号艇をモノにすれば、3日目にして準優当確ランプが点ることだろう。伏兵から台風の目へ、試金石の一戦を見守りたい。

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 それから、愛知の都築正治だな。都築を「埋伏の兵」などと言ったら、往年のファンに叱られるかも。2007年の4シリーズをピークとして、その前後に11度もSGに参戦。古豪という言葉がぴったりの猛者でもあるのだが、2012年あたりからA1とA2を往来する煮え切らない成績が続いていた。ピークを過ぎたか、と思ったファンもいることだろう。
 だがしかし、最近の都築は恐るべきまくり屋としていきなり再ブレークしはじめたのだ。いつでもどこでも伸び型に仕上げ、スリットから攻めるわ攻めるわ。特に凄まじいのが3コース。『BOATBoy』5月号の「全選手の新概念データ」をつらつら眺めたところ、3コースまくり=年間13発はおそらくトップ。つまり、全レーサー1600余人の中で「もっとも3コースからまくり勝ちが多い選手」なのである。でもって、明日の7Rは前付け選手が不在の3号艇!! 前検で不安視されたワースト級の時計も、今日の2Rでは見違えるほどに良化(6秒68)してもいた。初日から2着1着ときて大好物の3コース勝負。明日、都築がシリーズリーダーの座に就いたとしても、私はちっとも驚かないだろう。

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 もうひとり、「伏兵」とは縁遠いバリバリのSG常連レーサーではあるが、50代の“年長組”を牽引するリーダーとして三角哲男の名も挙げておこう。昨日は王者・松井を寄せつけない完璧なイン逃げ~後半は5コースから目の覚めるようなスピーディーなまくり差しでピンピン発進。6号艇の今日はさすがに3連勝とはならなかったが、アウト差しから鬼気迫る追い上げ&老獪な立ち回りであれよあれよと2着を獲りきってしまった。うーーん、強い!
 この古豪の凄まじいところは、50台に至って未だ衰えをまったく感じさせないレースっぷりだな。しかも、20年ほど前はどちらかといえば差し屋の印象が強かったのに、52歳の今は隙あらばスリットからインを攻め潰しに行くスタイル。昔より、今のほうが「青春真っ只中!」みたいなレースを魅せてくれるのだ。前にも書いた気がするが、美魔女ならぬ美魔男。おそらく、この妖怪レベルの個性派レーサーは、平成~令和を跨いでさらに若返るに違いない。

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 さてさて、宮島水面で大暴れしている4人のレーサーを紹介したが、2日目を終えての暫定シリーズリーダーは現名人位の渡邉英児! 昨日の連勝に続き、今日の7Rも5コース一撃まくりという大技で無傷の快進撃を貫いている。昨日も書いたが、マジで史上初の「名人防衛」を成し遂げるのか。それとも、埋伏の兵が新たなる名人位を襲名するのか。去年の今頃は、どちらかと言えば「伏兵」と目されていた渡邉英児のように。(photos/シギー中尾、text/畠山)