BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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福岡オールスターTOPICS初日

超抜軍団とワースト軍団と……

 いざ実戦、初日12レースを終えての感想は「予想以上にモーターの優劣がはっきりしていた」。昨日の前検評価の修正も含め、出ている側のパワー鑑定を記しておこう。

独断パワー番付

S級(抜群)=関浩哉、羽野直也
A~A+級(上位)=岡崎恭裕、平本真之、日高逸子、吉川元浩、茅原悠紀
B+~A級(中の上~上の下)=西山貴浩、瓜生正義、白井英治、篠崎仁志、長嶋万記、石野貴之、峰竜太、桐生順平、井口佳典

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 S級は昨日から不動。4Rの関浩哉46号機(チルト0度)は私が期待したほど超抜の直線足ではなかったが、それでも行き足~伸びは間違いなくトップレベル。アウトから伸びなりのまくり差しで2着に食い込んだレース足も強力だった。【出A+、直S+】でトータルS。

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 一方、エース69号機の羽野直也は7Rで4着に敗れたが、1周2マーク~2周1マークの展開のアヤに拠るもので足負けではない。関同様、6コースから自在に捌いてバック2番手に浮上した足は余裕すら感じられた。【出S直S】のバランス型で、ペラが完璧にマッチすればさらに上積みが望めるだろう。

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 4Rで関よりもストレート足が峻烈に見えたのが岡崎恭裕だ。スリットほぼ同体からの4カドまくりは追い風に流される形でイン山田康二を捕えきれなかったが、スリットから出て行く勢いは迫力満点だった。後半11Rはスタートで後手を踏み足を余して4着敗退。強烈な直線足に比べて出足系統がまだ非力な印象で、【出B+直S+】という感じか。意外性のある選手だけに明日以降もスリット一撃は常に警戒しておきたい。
 2Rで2着入線した平本真之24号機は、ピット離れが悪かった。唯一の不安要素はそれだけで、あとは文句の付けようのない上位パワー。【出A直A】のバランス型でスリットから突き抜けるパンチ力はないが、どんな展開にも対応できる器用さが感じられた。バナレの不安を解消できれば、明日からもしっかり着をまとめていけるだろう。

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 とにかく行き足がゴキゲンに見えたのが日高逸子62号機。オープニング1Rは4カドからグイグイ出て行った(まくりが惜しくも届かず3着)し、後半8RはインコースのトップSから他艇を置き去りにする行き足で鮮やかに逃げきった。近況の好調がまんま反映されたレースっぷりで、行き足アップの調整を掴んでいるのかも?【出A行S+】でトータルA+。

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 今日の午前中の試運転からピッカピカに輝いていたのが吉川元浩71号機だ。足合わせでのターン回り~出口の押し足~セカンドの行き足まで素晴らしく、9Rのイン戦も他艇に影すら踏ませぬ圧逃劇だった。とりあえず【出A+直A+】でトータルA+にしておくが、実際にはS以上かも? 平成最後のSG×令和最初のSGの連覇が現実味を帯びてきた。
 もうひとり、茅原悠紀52号機も評判に違わぬ好脚だった。前半6Rは道中4番手から池田浩二を追っかけまわして最終ターンマークで大逆転3着。池田のキャビテーションが最大の要因だが、しぶとく追走するレース足はキラリ光るものがあった。後半10Rはアウト6コースから豪快な全速握りマイのまくり差しでバック3、4番手。さらに2マークの鋭角ターン一発で美味しい2着をもぎ取った。1・2マークともに引き波を超える馬力が強烈で、現状は【出A+直B+】の出足型と見ていいだろう。

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 この面々に続く次位候補は鈴なりで、番付を参照していただきたい。ピンピン連勝発進した白井英治、石野貴之もパワー的にはこのゾーンが妥当か。むしろパンチ力という点でもっとも怖いのは地元のエース瓜生正義だ。今日は2走ともスタートで後手を踏んで勝ちきれなかったが、行き足~伸びは岡崎や関、日高のトップ級に肉薄する力強さを感じた。逆にターン回りなどの出足系統はやや劣勢で、【出B直A+】という「瓜生パターン」ではあるな。常に人気にする選手だからして、穴党は「瓜生の外選手」から美味しい配当を狙っていただきたい。

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 さてさて、これらゴキゲンな面々がいる反面、煮ても焼いても喰えなさそうな劣悪なパワーも随所に垣間見ることができた。松井繁、中島孝平、重成一人、守田俊介、新田雄史、太田和美……これらの面々がV戦線に踏みとどまるには相当な上積みが必要だろう。で、もっとも劣悪に見えたのはドリームの毒島誠27号機! 直前でピストン2個・リング4本、クランクシャフト交換という大手術に踏み切った毒島だったが、スリットからズルズル下がるわターンごとにキャビりまくるわ、まったくレースに参加できなかった。【出E直D】などという鑑定をしたくなるワーストパワーだ。独創性の高い整備巧者として知られる毒島が、果たしてこのブラックホールから脱出できるか。そんな奇跡が起きれば、「外コースから1着で特大万舟」という事態もありえるだけに、常に足色の変化は警戒しておきたい。そうそう、まだ仕上げきっていない「伸び~~る平尾」の動向も!!

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 あまりに極端かつ残酷な「パワーヒエラルキー」を感じた今日1日。記事内容もパワー評価に特化してしまったが、ひとりだけMVPを挙げるなら「令和最初のSG万舟」をぶち開けた7Rの遠藤エミで決まりっしょ! レース自体はイン今村豊が遅れ、2コース篠崎仁志がジカまくり、そこを3コースのエミがズッポシという絵に描いたような展開一本のまくり差しではあった。1R(4着)の実戦足もあまり目立たず、正味のパワーは中堅程度と値踏みしているのだが、317倍の大穴を生み出したヒロインに拍手を贈るとしよう。令和最初のビッグレース万太郎……獲りたかったにゃあ(←羽野アタマで轟沈、涙)。(photos/シギー中尾、text/畠山)