BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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新モーター新ペラの前検!

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 新モーター、新ボートでの開催となる今節。プロペラも新ペラで(2年間で入れ替え)、つまり全員が下ろしたてのモーターとプロペラで走るわけである。もっと言うと、抽選で引き当てたモーターを受領した段階では、全員が同じ形のプロペラを手にしているわけである。SGやプレミアムGⅠでは、その節がモーター初下ろしということはないので、こういう前検に立ち会うのは初めて。新プロペラ制度が先行導入された12年4月の浜名湖には駆けつけたが、そのときは持ちペラ制→現制度に移行するということで全員が手探りだったし、当時はナカシマとヤマトの2枚が割り振られていたから(現在はヤマト1枚のみ)状況が違う。あれから7年が経ち、選手たちもそれぞれのノウハウを得ているだろうし、何よりルーキー世代は全員が現制度導入後のデビュー。そうしたなかで、前検ではどんな動きを見せるのかは、ひとまず団体戦を離れて非常に興味深かったわけである。

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 結論から言うと、みんなプロペラを叩きまくった。そりゃそうか。現制度導入直後は、特にヤマトはオリジナルの形でも乗りやすさがあったということから、そのまま乗る選手もいたようではある。しかし今は研究も進んで情報も広まっているわけだから、個々の形というものがあるだろう。わかりやすいのは遠藤エミか。一番乗りで試運転を始めた遠藤は、何周か走った後はペラを外してプロペラ調整所に直行。ガッツンガッツンと強烈な打撃をプロペラに加えている。これがタイム測定&スタート練習のギリギリまで続き、「まもなく1班の測定始めます」のアナウンスがかかってやっと、遠藤は係留所へと猛ダッシュしている。遠藤はタイム測定とスタート練習が終わった後も、変わらずガッツンガッツン。前検日のうちに自分の形に仕上げてしまおうという雰囲気が伝わってきた。

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 SGなどの前検と違って、ボートを着水するペースもずっとゆっくりだった。それだけ多くの選手が、まずプロペラを叩いたわけだ。大山千広は着水して試運転した後、プロペラを外して調整室に向かった。ところが、調整室はあまりにも人口密度が高すぎて叩くスペースがない。びわこの調整所は、その調整室と整備室の出入口脇の2カ所。大山はゲージを調整室に置いていたようなのだが、それを取りに行くのも難しそうなほど、選手が密集していた。調整室を覗き込んで数秒、大山はついに叩くのを断念。係留所へと戻っていった。すなわち今日の大山の前検はプロペラを大きく叩く前の航走。明日は朝から一日かけて叩くはずで、気配一変の可能性も充分だ。

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 大山だけではないな。明日の調整によっての気配一変は全員に可能性があるが(気候も変わりそうだし)、特にレディースのほうにその可能性が高いかもしれない。前検の班分けはまずドリーム組が1班(遠藤も大山もココ)。2班以降は登番順となるわけだが、ルーキーではない女子選手が当然、前半組に組まれるので、タイム測定とスタート練習前にプロペラを叩ける時間が短かったのだ。具体的に言えば、渡辺千草から大豆生田蒼までの女子選手が2~4班。4班と5班の間には2~30分の5班以降組の試運転タイムも設けられたので、ルーキーズ(+中川りな、土屋南、清水さくらの女子勢)はペラを叩く時間がたっぷりとあった。最後の最後まで叩いていたのは吉田凌太朗。もちろん完全に叩き切れたかといえば微妙なところだが、それなりに自分の形に近づけてタイム測定とスタート練習に臨めたと思われる。畠山が前検チェックを入念に行なっているが、気配が良かった選手は明日も上積みがあるだろうが、名前があがっていない選手や動きが悪かった選手、特にレディースの選手の気配一変には警戒が必要だろう。

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 畠山の記事を見ていないので、実際に動きがどうだったのかはわからない段階で書くと、遠藤と同じくらい猛然と叩いていたのは今井美亜。タイム測定とスタート練習を終えた後、ハンマーを思い切り振りかぶって、親の敵とばかりにプロペラに打ち付けていた。大山ももちろん、1班でタイム測定とスタート練習を終えると、エンジン吊り以外は調整室にこもって長い時間叩き続けている。

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 タイム測定とスタート練習が終わり、しばらく経っても調整所の人口密度は高いまま。いや、むしろさらに高まっていっている感じか。タイム測定とスタート練習を終えた選手が次々と調整所に集まってくるのだから当然だ。最終8班の吉川貴仁は、エンジン吊りを終えたあと、プロペラ調整所に直行。しかし、あまりにも混み合う室内を見て、一瞬立ち止まった。そして、先輩たちの間をそーっとすり抜けて自分のゲージをゲット。それを持ちだして、整備室のほうへと歩き出した。モーターを整備室に運んだときに整備室出入口脇の調整所には若干のスペースがあることを見ていたのだろう。こっそり吉川の後をついていくと、案の定。こちらのほうがやはり余裕があって、吉川は狭いスペースに腰を下ろしてハンマーを手にするのだった。

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 というわけで、今日はプロペラを叩く選手たちをSGやプレミアムGⅠ以上に目撃した前検でありました。それぞれがどんな仕上がりで初日に臨むのか、一節間の舟券戦略においても見逃し厳禁の重要な一日になりそうだなあ。あ、写真は選手入りのときに「森選手の写真、載せて~~」と熱烈なリクエストがあった森照夫。明日からもたくさん載せられる活躍を期待しましょう。(PHOTO/池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)