BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――グランプリ戦線、過熱の始まり

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 年間を通してSGを追いかけていると、オールスターからグラチャンというのはひとつの分岐点のようなものであって、ここを境に一気にグランプリまで突っ走るという感覚が毎年ある。ちょうどこの時期は、気温が上昇する季節でもある。前検航走を終えた吉川元浩が、汗を拭いながら「あっちー」と顔をしかめるのを見て、ああ、今年もあっという間に年末になってしまうのだろうなあ、と感慨にふけった次第。まあ、年末ウンヌン言い出すのはたしかに早いのだが、それがたまたま今年のSGを独占して早くもグランプリのベスト6での出場当確を出している吉川の言動であったことがそんな気分を強く感じさせたのか、とこじつけて考えた前検のピットなのであった。

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 吉川が独走態勢を築いている現状、グランプリを狙う面々はここからが勝負どころ。今日から2カ月の間にオーシャン、メモリアルとSGを3つも戦うのだ。あちーあちーと毎日言っているうちに、グランプリ戦線は一気にその全体像を固めていく。まだ半年あるから、SGがふたつ終わったばかりだから、などとは言っていられないのだ。たとえばオーシャンには出られない松井繁にとって、グランプリに復帰するためにはここはまさに正念場。桐生周年を勝ってアップさせたランクを、このグラチャンでもう一丁引き上げたいところだろう。46号機の今日の感触は、評判ほどではなかったというが、ここから着々と仕上げていくことになろう。

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 水面に出ていく峰竜太に、72号機はいいモーターらしいよ、と伝えたら、峰の顔がぱっと明るくなった。前検はいつも通り、着水する前にペラを叩いている。ペラをまったく見ずにまず乗ってみて、という選手も少なくないなか、峰はまず自分の形に叩いていく。これが72号機とどうマッチしたかというと……前検航走からあがってきた峰はOKサイン! スタート練習では深い起こしでもまったく問題がなかったというし、ダッシュならスタートが怖いくらいだったという。吉川を猛追する一番手がこの男。72号機はまさに鬼に金棒となるのかもしれない。

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 ドリーム組では、毒島誠も表情は明るかった。感触は悪くなかったようだし、スタート勘もほぼ合っていたという。井口佳典も、まずまずの感触のようだ。

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 一方、首をかしげているのが桐生順平。足は普通、というか、走り出してしまえば大きな問題があるのだが、それ以前の部分に違和感があるようだ。その原因もわからないようで、まずは本体をバラして点検するとのこと。実際、整備室をのぞくと桐生は本体整備をしていた。明日乗ってみてどうか、ということになるのだろうが、朝の段階であまり改善が見られないようなら、初日は大忙しの一日となるかもしれない。

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 前検の時点で、普段と違って見えるのは、地元の中野次郎。やはり気合が違うということなのだろうか。好漢・次郎が見せる鋭い視線。まあ、こちらの先入観というフィルターが作用しているのは否定しない。東京のファンとしての地元贔屓とかね。それでも、気持ちに「地元意識」をしっかり植え付けて多摩川に臨んだのは間違いなかろう。すれ違ったときに少し言葉を交わすことができただけだったが、その際の口調も力強かった。長田ともども、頑張れ!(黒須田)