BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――やはり最強大阪支部

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 11Rを石野貴之が快勝し、大阪支部がエンジン吊りでボートを取り囲む。12Rに太田和美が出走ということでそこには不在。丸岡正典、湯川浩司、鶴本崇文、木下翔太、上條暢嵩……松井田中太田の3強がそこにいなくとも、なんとまあ強力なメンバーであることか。そして、ここに西村拓也などが加わって、そっくりそのまま何年後かのSGで見られる光景となるのかもしれない。3強がいないからこそ、大阪支部の層の厚さを改めて思い知らされたワンシーン。その真ん中で笑顔を見せている石野が、やはりそのままこの軍団を先頭に立って牽引する時代もやって来ることだろう。

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 そして太田和美が12Rを快勝。今日は12R1回乗りだったが、一日、泰然自若と過ごし、マイペースに調整など進めていたのが印象的だった。その振る舞いは、まさに大物。この背中を見て大舞台を戦える後輩たちは、強くなって当然ではないかと思える。おそらく、たまたま逸材が大阪支部に集まっている、というわけではない。強力すぎる先輩たちを追いかけることが、後輩たちをより強くするのだ。松井田中太田も、きっと野中長嶺らの背中を見てさらに強くなったのであろう。

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 7Rでは鶴本崇文が快勝。8Rの木下翔太は惜しくも差されてしまったが、進入や展開がもつれるなか、イン戦で2着に残したのは最低限の結果だったか。鶴本も木下も、レース後も調整に余念なく、木下のド派手なオレンジのウェアはよく視界に入ってきたものだった。

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 もう一人のオレンジマン、上條暢嵩は係留所でひたすらエンジンを回していた。終盤戦のピットには締切直前までずっと、モーター音が響き渡っていたのだが、その発生元が上條。試運転に出るわけではなく、係留所でとにかくエンジンを動かしていたのだ。これは、大きな部品を交換した後に、本体に馴染ませるためにしばしば行なわれる行為。聞けばやはり、クランクシャフト交換。昨日転覆したときにクランクシャフトが曲がってしまっていたらしく、それに気づいて今日のレース後に交換を行ない、その後はひたすら回したという次第だ。なんでも「タンク5個分」だとか。いや、その後もさらに回していたから(11R発売中まで)、もっといったかも? つまり、新しい部品が馴染むまでにはそれくらいはかかるということ。大きな部品交換をした選手がいた場合、そのレースではもちろんだが、翌日や翌々日、あるいはもっと先まで注目しておいたほうがいいだろう。

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 9Rを逃げ切ったのは地元の平本真之。この時間帯にレースを終えた選手のボートは、エンジンを外され、艇旗艇番も取り払われ、ボート内に入った水分を放出するためクレーン車のもとに送られる。しかし平本のボートは艇番のみが外され、エンジンも乗せたまま、ボートリフト脇に留め置かれた。えっ、1着だったのに、まだ乗るの? やがて「試」のプレートがつけられて、ボートは勝利者インタビューに向かった主を待つこととなった。10分ほど経って、平本は帰還。そしてすぐにボートのもとへ。勝って兜の緒を締めよ、ではないが、1着という結果に満足せずに感じた手応えを確認するために、平本は水面に飛び出していた。いくら大阪勢が強かろうと、自分の庭を好きに荒らされるわけにはいかない。池田先輩が快調にポイントを積み重ねてはいるが、常滑には平本真之もいるのだ、というところを見せつけたいところだ。そのためにも、もちろん明日の勝負駆けを万全で戦うためにも、平本は試運転を続けたというわけだ。気合が入っているのは、池田はもちろん、この平本も同じことだ。

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 で、がんばれ笠原亮! と言っておきたい。ここまでオール6着。どうしたって、口を開けば泣きが入る。最近は会話を交わせばネガティブな言葉が多い笠原、今節は特にポジティブにはなりにくい成績ではある。しかし笠原もなんとかこの状況を打開しようと、懸命にプロペラ調整をしている。今日も遅くまで頑張った。もはや準優行きは絶望的だが、気合は大阪勢や地元勢と同様に入ってはいるのだ。残り3日、光明が見えることを個人的にも応援したい。あ、4Rはやはりオール6着の山崎智也との直接対決だ……智也も頑張れ!(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)