BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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とこなめオーシャンカップTOPICS 4日目

THE勝負駆け①予選トップ争い
池田か、瓜生か??

 昨日までの予選ランキングは以下のとおり。
①菊地孝平…8・75
②池田浩二…8・75
③瓜生正義…8・40
④吉川元浩…8・00
⑤毒島 誠…8・00
 瓜生と毒島が1号艇1回走でもあり、予選トップ争いはこの5人に絞られたと見ていいだろう。

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 まず、前半で一気に脱落したのが暫定トップの菊地だった。2Rが5号艇で5着~6Rは6号艇で6着。厳しい枠のハンデを克服できずに6・33、トップ維持どころか13位で予選フィニッシュとなった。
 2R終了後に暫定トップに立ったのは池田。1・1着ならばトップ確定という自力の権利を得たが、4R3着であっさり権利消滅。この時点で瓜生がトップに返り咲き「12Rを逃げきればOK」という絶対的に有利な立場になった。

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 とは言え、瓜生が逃げきるとは限らない。後半戦に突入し、まずは7R5号艇の吉川が2着に食い込み8・00。微かなトップ当選の可能性を残して予選を走り終えた。
 その吉川の可能性をゼロにしたのが9Rの池田浩二だ。4カドから鋭い飛び出しでじんわりと内を絞め込み、狙いすましたまくり差し一撃。この時点で暫定トップの座を奪還するとともに、予選2位以内=準優1号艇を確定させた。地元の大スター池田にとって、まさに値千金の1勝と言えるだろう。

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 瓜生か、池田か。
「瓜池時代」として一世を風靡した両雄に絞られたトップ争い。残された条件は非常にシンプルなものになった。12Rの瓜生が逃げれば瓜生。2着以下なら池田。もちろん、トップに立った方が優勝へ大きく前進することになるのだが、結果は……後ほど!

THE勝負駆け②準優ボーダー争い
湯川、ミラクル&マジック突破!

 こちらのMVPは文句なしに湯川浩司だ。昨日までの成績は5416着=4・25で暫定32位。スリットからの伸び足は節イチ級なのだが、それを持て余すようなレースが続いて崖っぷちに立たされた。
 そして今日だ。準優に①①着が必要だった湯川は、まずは1Rの第一関門を大逆転で突破する。3コースから気風のいい握りマイで攻めるも、イン山川美由紀を捕えきれずにバック2番手まで。が、2マークで逃げる山川vs3番手から最内に突っ込んだ上野真之介がゴツンとぶつかり合う大競りになったところ、外に開いた湯川がズッポリと差し抜けた。展開の利もあった1着ではあるが、やはりバックでの伸び足は目を惹くものがあった。

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 圧巻は第二関門の6Rだ。2コースの湯川はスリット同体からぐんぐん伸ばし、イン中野次郎にプレッシャーをかけての差しハンドル。1-2か2-1かと見ていたらば、4コースの重成一人がえぐるような全速の2番差しを貫き通した。出足にやや不安のある湯川は、この一太刀を喰らって2艇身差の3番手まで後退。①着勝負だけに万事休すの大差に見えたものだが、そこから最内を伸びる伸びる伸びる! バック後半で舳先を入れ、貫き、2マークを先制して重成と中野の追撃をシャットアウトした。決まり手は「差し」なのだが、見た目には大逆転の「抜き」としか思えなかった。やはり、ここでも湯川を救ったのは、トップ級のストレート足と言っていいだろう。
 さて、1号艇のない2戦で見事に連勝=6・17までジャンプアップした湯川ではあったが、まだ当確ランプは点らない。準優ボーダーが少しずつ上がって、8R終了後には予想をはるかに超える6・33に! しかも、この高いボーダーは1ミリも下がることなく、11R終了後まで継続された。6・17で結果待ちの湯川は延々と次点の19位のまま最終レースまで待ち続けたわけだが、実はこの時点ですでに準優入りが約束されていたのである(後述)。
 結果から先に記すと、湯川は17位で予選を通過した。昨日から15人をゴボー抜きでの予選突破は天晴れの一語だし、パワー的にも目が離せない存在だ。明日は枠なりのアウトコースから節イチ級の伸びを活かすレースに徹するのか、手前に寄せつつ前付けに動くのか。湯川の態度次第で11Rの展開が大きく変わる可能性がありそうだ。

12R、最終決戦

 例によって勝負駆けのエキスがてんこ盛りになった4日目の最終レース。今日も6人全員がそれぞれ過酷な条件を背負わされたのだが、いつもとちょっと毛色が違うのは「6人ともにボーダー圏内」だったことだ。それぞれの自力突破の条件を記しておこう。
①瓜生正義…①着で予選トップ
②石野貴之…④着
③重成一人…④着
④山口 剛…③着
⑤魚谷智之…③着
⑥鶴本崇文…④着
 勝てばトップの瓜生を除く5選手は「圏外へ脱落する選手を決めるサバイバルマッチ」となった。レース前の成績ならば全員が準優に乗れるのに、レース後には少なくともひとり、最悪の場合は3人が脱落する残酷な戦い。暫定19位の湯川に当確ランプが点ったのはそのためだ。

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 いざ本番。ただただ生き残りを目指す5人の中で、スリットから勢いよく飛び出したのは4カドの山口剛だった。劣勢パワーを自覚してのコンマ03、スタート真剣勝負! まずはコンマ10の重成を伸びなり一気に叩き潰し、そのままイン瓜生までまくりきる勢いで攻める。
 が、ここで伸びが売り切れた山口は、2コースから伸び返した石野に発止と受け止められた。こうなってしまえば、インの瓜生に怖い要素は見当たらない。分厚い壁として機能した石野を尻目に、一目散に1マークを先制して予選トップの座を決定づけた。池田が51点で、瓜生が52点フィニッシュ。ともに10度目のSG戴冠を狙う両雄にとって、この1点差が明日以降にどれほどの影響を与えるか。まだまだ予断を許さぬところではあるが、とりあえず瓜生が大台に一歩近づいたと言えるだろう。ちなみに、予選3位はオーシャン2連覇を狙う毒島誠。パワー的にも流れ的にも、この3者の中から優勝者が生まれる可能性はそれなりに高いと思う。

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 早々にトップの当確ランプが点った一方で、準優ボーダーのデスマッチは混戦を極めた。5人が5人ともにそれぞれの着順を奪うべく交錯し続け、最後に力尽きたのはスリットから自力で勝ちに行った山口。そして、その攻めにギリギリ連動しきれなかった魚谷智之もまた圏外へと弾け飛んだ。代わって圏内に突入したのは湯川と、これまたトップ級のストレート足を誇る坪井康晴。前にも書いたが、今節の坪井の足はらしい伸び足に加えて出足系統も日に日にアップしている気がしてならない。6コースを苦にしないタイプでもあり、明日の私はほぼ間違いなくヒモ穴として舟券に絡めるだろう。

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 それから……瓜生、毒島らを蹴散らすかもしれない大穴の秘密兵器として期待していたレーサーは、残念ながら道中で脆さを露呈して予選を突破できなかった。準優入りしたらあれこれ書くつもりだったのだが、あまりに悔しいので今日も秘密兵器のままにしておきます。んっ??(photos/シギー中尾、text/畠山)