BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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決勝戦 私的回顧

火の玉ダッシュ

12R決勝戦 並び順
①桐生順平(福島)      21
②峰 竜太(佐賀)                 22
③中田竜太(福島)                 24
⑤今垣光太郎(石川)             14
⑥徳増秀樹(静岡)                 13
④茅原悠紀(岡山&ほぼ鳥取)11

 石川のエース・今垣光太郎が160キロ台の剛速球で若きスラッガーたちを薙ぎ倒した。49歳にして衰えを知らぬこの剛腕。天晴れと褒め讃えるしかない。

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 この決勝戦をよりドラマチックにしたのが、「ほぼ鳥取代表」の茅原だった。4号艇ながらチルトをMAX3・0度に跳ねての6コース勝負。本心としては浜名湖でしか実現できない2・5度で挑みたかったようだが、さらなる伸び足を追求して逆転の一発に賭けたのだろう。
 この茅原の一大勝負手=6コース選択によって、他の5選手(特に外2艇)の思惑も見事に合致した。6号艇の徳増は、喉から手が出るほど欲しい今垣の外を5コースという絶好のポジションでゲットできる。もちろん、3度の飯よりカドが大好きな今垣は嬉々として4カドを選ぶ。内3艇も外からの前付けの脅威が消滅して、助走たっぷりのスロー発進が実現する。
 波乱も予想された作戦待機行動は、ピットアウトからすんなりとした流れで123/564という形に収束した。見た目には茅原だけが損したようだが、チルト3度効果で展示タイムは節イチの6秒51!! 誰もが真紅の優勝旗を得るのに過不足ない隊形になったのだ。

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 そして、そんな胸躍る進入隊形から、スリットで豪快に抜け出したのが4カドの今垣だった。今節の今垣は進入のもつれの中でスロー発進が多く、2度のダッシュ戦(3カドと4カド)もスタートで後手を踏んでまったく攻めきれなかった。23号機の凄まじい伸び足を持て余していたのだが、最後の最後にその破壊力を全国のファンに魅せつけた。パワーもそうだが、これぞ光太郎のカドまくり。スリットから飛び出したと思った瞬間、迷うことなく舳先を左に傾ける。あっという間に絞め込んで、1マークのかなり手前でインの桐生まで呑み込んでいた。前検から「光太郎23号機のまくりをガンガン見たい」と言い続けた身としては、9回裏に胸のすくようなアレが見られて嬉しい限り。第1回大会を飾るに相応しいド派手なフィナーレだった。

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 さてさて、第1回の全国ボートレース甲子園は売上目標を大幅に上回り、浜名湖本場も大いに盛り上がっていた。嬉しい限りだが、北海道で生まれ育った私がもっとも気になるのは、この大会が北海道や長野(黒須田の故郷)のようなボートレース辺境地にどれだけ影響、反響を与えたか、だ。

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 ボートレースという存在は、辺境の地ではおいそれと浸透しない。
 この事実を、我々は痛いほど肌身に感じている。たとえば北海道では、長きに渡って熊谷直樹がたったひとりで奮闘してSGも制覇したが、新たな道産子レーサーが誕生するのに何年も要した。端的に言うと、ボートレースという存在を知るキッカケ(情報)が皆無に近いのだ。かつて釧路にボートピアができたが浸透せずに撤退。最近は札幌にアンテナショップ、旭川にチケットショップができてそれなりに繁盛していると聞くが、大票田の競馬に比べればケシ粒ほどの存在だろう。

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 ボートレース甲子園が、どれほど北海道民にボートレースという存在を知らしめるか。
 この開催が決まってから、私はそんなことばかりつらつら考えていた。一朝一夕で浸透するはずがないと知りつつ、ひとりでも多くの道産子が知るキッカケになれば、と。単なる郷土愛に留まらず、こうした未開の地に浸透することが未来のボートレース界に明るい光を灯す気がしてならない。今回の売上や参加者に関しては、できる限り地区別に細かく分類し、徹底的に検証してみたい。ほんのわずかであってもボートレース過疎地(特に北海道)に浸透する兆しがあったとすれば、実になんとも嬉しい限りだ。(photos/チャーリー池上、text/畠山)