BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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蒲郡レディチャンTOPICS 初日

視界良好、チヒロ64!

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 ピンピン連勝。大山千広64号機がこれ以上ない絶好のスタートダッシュを決めた。まず、緒戦の7Rは4カドから伸びなりの一撃まくり。このスリット隊形はといえば、千広のコンマ17に対して内2艇がコンマ12。スタート直後は到底まくりきれるポジションには見えなかったが、1マーク手前で伸びる伸びる。これだけタイトな隊形だったのに、強引な絞めまくりではなく内2艇をやんわり抱き込むようなハコまくりで突き抜けてしまった。64号機のパワーがあればこそだが、千広の卓越したスピード&ほとんどサイドを掛けない桐生順平のような曲線ターンがシンクロした鮮やかなハコまくりだった。

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 さらに特筆したいのは、後半11Rの勝ちっぷりだ。今度はインコースから受け止める立場になった千広のスタートはコンマ14。対する2~4コースのそれは順にコンマ24、22、11。壁のない丸裸の千広に、4カドの今井美亜が猛然と襲い掛かった。しかも、千広はスリット手前で2度ほどアジャストしたため、今井の全速の絞めまくりが圧倒的優位に見えたものだ。が、しかし。
「まくられた、と思いました」
 本人も観念したスリット直後、64号機が唸りをあげて伸び返す。その鬼気迫る伸び返しを目の当たりにした今井は、直ちにまくり差しに切り替えた。冷静にして的確な判断だったと思う。
「今井さんが差しに切り替えたのが見えたんで差されないようにターンしたんですが、差されてましたね。あとはエンジンが連れてってくれました」
 本人が回想するように、この11Rの64号機は自慢の行き足に加えてターン回り~出口の押し足も完璧に仕上がっていた。私が期待していた64号機まんま、いや、それ以上の超抜パワーだった。そして、そのパワーを120%活かしきったのは、咄嗟に「差されないターン」(絶妙のタイミングで減速し、深い引き波を作った)を選択した千広の非凡なレースセンスがあればこそ。つまり、7Rのちょっとありえないようなハコまくりも、11Rの絶体絶命のイン逃げも、千広の天賦の才と64号機の超抜パワーが合体した“完成度の高い作品”だったと思うのである。このふたつの特異な才能が、明日以降もどんなハーモニーを奏で、どんなドラマチックな作品を生み出すのか。心の底から楽しみでならない。

圧倒的ナツキ感!?

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「枠なり3対3運動」がどんどん加速している女子レース界にあって、6R6号艇の藤原菜希がその趨勢に反目するような進入を見せた。まずはスタート展示で鋭いピット離れからあれよあれよの3コース奪取。まあ、この時点では「たまたまバナレで飛んだから。本番は枠なりの6コースだろ」と軽視していたのだが、レース本番の菜希はバナレが不発だったにも関わらず果敢に動いた。5号艇の関野文にツケマイを浴びせるような勢いで内へと侵入。さらに4号艇の金田幸子の前にそろりそろり艇を捩じ込むようにしてスローの4コースへ!

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 藤原菜希と言えば、「コース不問で常にスタート一撃を狙う生粋のまくり屋」というイメージが強い。「空手の元世界チャンピオン」というキャリアが、その超攻撃的スタイルにぴったり合致してもいる。そんな菜希の前付け~4コース奪取は、かなりの違和感とともに私の網膜に焼き付いた。
 地元の記者さんの話では「スタ展が少し深めの3コースになってしまい、ダッシュのスタートが見えないので展示と同じ位置から起こしたらしいです」とのこと。だとするなら1回こっきりの前付けという可能性もあるのだが、とりあえず明日以降もピット離れとともに菜希の作戦待機行動には細心の注意を払うとしよう。
 最後に、初日を終えての独断パワー評価を簡潔に記しておきます。

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独断パワー鑑定
SS級(節イチ候補)…大山千広64号機(11Rの足)
S級(抜群候補)…津田裕絵33号機
A級(上位候補)…堀之内紀代子47号機、佐々木裕美27号機&田口節子55号機(ペラ交換で大化け)、日高逸子45号機、渡邉優美73号機、松本晶恵48号機(10Rの足)、西村美智子23号機、大瀧明日香17号機
(photos/シギー中尾、text/畠山)