BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――イン逃げ連発で開幕!

f:id:boatrace-g-report:20190827155934j:plain

 イン最強水面、大村! というわけで、序盤は順当に1号艇の連勝でメモリアルの幕開けである。果たして、今節はインが何勝するだろうか。
 といっても、インコースだから楽に逃げられる、というわけではない。1Rを逃げ切った西山貴浩も、単にコース利で勝ったのではないのだ。やや厳しい機力と自覚した西山は、まずしっかりとスタートを決めた。握ってくる石渡鉄兵にしっかり合わせて握り返し、差す前本泰和の追撃を振り切った。1着と2着のタイム差がコンマ3しか違わないように、明らかに前本のほうがパワーは上。それを気合と技術でしのいだ一戦なのだ。
 ピットに戻った西山は、勝利者インタビューを終えるとすぐに整備室へボートごと持ち込んだ。本体を外して整備に取り掛かったのだ。カウルには「試」のプレートが着いていた。このあとの長い時間をしっかりと使い切って、明日に備える心づもりだ。

f:id:boatrace-g-report:20190827160136j:plain

 2Rの赤岩善生は、勝利者インタビューで「いきなり試練だった」と語っている。深川真二が外枠に入っていたから、前付け必至。すなわち深い起こしを覚悟させられる1号艇だった。いくらインが強い大村とはいえ、楽ではないイン戦だったのだ。赤岩はもともと勝って歓喜をあらわすタイプではない。自分が破った相手を気遣うのが信条だ。だから、ピットに戻った赤岩は淡々とはしていた。それでも、池田浩二に声を掛けられると、爽快な微笑が浮かんだ。充実感を得られる逃げ切りだったということだろう。

f:id:boatrace-g-report:20190827160236j:plain

 などと書いていたら、目の前で3R篠崎元志が5カドまくり! イン最強の大村でも、もちろんこうしたド派手な一撃は生まれる。気持ちいい一撃が見られる! 朝(というか午後イチか)元志と顔を合わせたら、SG本格復帰の心地よさというか、ここからが勝負だという決意というか、なんとも充実感あふれる顔つきであいさつの声をかけてきている。やっぱりカッコいいっすな、このお方は。この快勝で、その表情にはさらに凛々しさが増してくるだろう。

f:id:boatrace-g-report:20190827160326j:plain

f:id:boatrace-g-report:20190827160345j:plain

 朝(というか午後イチか)目についたのは、瓜生正義と大山千広の絡み。装着場に隣同士でボートが置かれていたこともあり、瓜生が大山に声をかけ続けていた。大山も大先輩に真摯に向き合って、言葉を返していく。これ、大山にとってかけがえのない体験だと思う。大山は、今の自分がSGでいきなり活躍できるとは思っていない。だが、SGに来ればこういう学びの場があるということを5月のオールスターで知って、SGにたくさん出たいと思うようになった。なにしろ同支部には強豪目白押し。身近に教えを乞える選手もたくさんいる。まさに今朝の大山は、その経験を存分に享受していたわけだ。瓜生にとってもまた期待の後輩であるはずの大山である。ここ1年ほど急激なステップアップを見せてきた大山、今日の瓜生の言葉でいきなり今節に成長ぶりを見せてもおかしくないような気になってきますね。

f:id:boatrace-g-report:20190827160907j:plain

 さてさて、2Rを中村亮太と並んで観戦した。3周1マーク、3番手を走っていた羽野直也がやや流れ、田村隆信が差して逆転している。中村はそのとき「ああ~、難しいところを走らされちゃったなあ」とボソリ。羽野くんが難しいところを走らされたってこと?

f:id:boatrace-g-report:20190827160939j:plain

「田村さんが抑え込むような位置にいたから、開きたくても開けないんですよ」

 羽野としては、1マーク手前でもう少し開くことができればターンマークを外さずスムーズに回れるが、田村がそれを許さない絶妙な位置取りをしていたというわけだ。羽野はやや窮屈な旋回を強いられ、それでターンを漏らした。田村は狙い通りにそこを突いた。なるほどなあ。改めてSGはレベルの高い攻防がいろいろなところで展開されていると感じた次第。選手と一緒に見てると勉強になることも多いのだ。亮太、ありがとう。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)