BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――整備室にて

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 終盤は天候大荒れで、選手もファンも大変だったはず。雷ゴロゴロ、雨ザーザー。追い風も強くなったから、なかなかハードな水面となった。10Rを2コース差しで勝った菊地孝平も、4着だった前半に見せていた渋面とは変わってはいたが、歓喜というより疲労感のほうが強くも見えていた。

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 ドリーム戦を制した峰竜太も、ふだんの1着後のような底抜けの笑顔という感じではなかった。2周戦になったことも含めて、もろもろ気を遣う部分も少なくはなかっただろう。展示ピットにボートを移す直前、すれ違いざまに「雨、すごすぎ!」と言いながら苦笑も見せていた。勝っておめでとう。そしてお疲れ様。また、この荒天のなか走った全選手にもお疲れ様でしたと言いたい。

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 大きな雨音や雷鳴を耳にしながらも、レースを終えた選手たちの調整は懸命であった。整備室を覗くと、同時に4人が本体整備中。装着場から見ていちばん左のテーブルでは長田頼宗。6R2着であがってきて、ほとんど時間が経っていないうちに整備を始めている。

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 その隣では魚谷智之。5Rのイン戦で勝利を逃したことで、感じるものがいろいろあったか。長田が整備を終えた後もまだ続いていて、かなり長い時間を費やした一人と言える。

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 その隣が馬場貴也。後半7Rは山口剛との3番手争いに敗れている。最後の最後、差して届かずの場面を見ると、出足がやや弱いようにも見えた。キレの鋭いターンを武器とする馬場にとって、ターン回りは大きなキモである。その仕上げに懸命だ。

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 その隣は今村豊。今日は1号艇で3着も、不良航法を獲られてしまっている(ちょっとかわいそうな判定と思えたが……)。イン戦を取りこぼしたこともあるし、マイナスを抱えて2日目に臨まなければならないことを考えれば、パワーアップは急務だろう。といっても、悲壮感はあまり見えず、時に整備士さんと笑い合ったりもしていた。そのあたりはミスターらしい。

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 終盤の時間帯になって、仲谷颯仁が試運転を切り上げて、ボートごと運び入れての整備。今日は最終ターンマークで大きく振り込んでの6着後退。仲谷の豪快ターンに足がついていっていないかのような振り込みであった。午後イチでは西山貴浩も同じようにボートを運び入れており、若松軍団は(機力が)苦しい序盤となっている(西山は逃げ切ったが)。巻き返しを期す2日目となるだろう。

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 9Rを毒島誠が快勝。前半はいわゆるセット交換で臨んで2着。後半はさらにキャリアボデーを交換している。これがパワーアップを呼んだということだろうか。レース後の毒島が何をしたかといったら、アドバイスをくれた整備士さんへのお礼だった。魚谷智之の整備を見守っていた整備士さんが担当してくれていたらしく、魚谷に視線を向けるその整備士さんにそっと歩み寄り、深々と腰を降り、頭を下げていた。勝ったのはもちろん毒島自身、しかし自分だけで掴んだ勝利ではないという思いもあるわけだ。そんな謙虚さも毒島の強さの秘訣のひとつ、だと思う。とにもかくにも、連覇に向けて最高のスタートを切れたぞ。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)