BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――泰然

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 3日目となって、選手たちの調整作業、また試運転はますます活発なわけだが、さすがエース機・中村亮太。余裕綽綽なのである。1R発売中に自艇に向かって歩いていったので、何か作業を始めるのかと思ったら、操縦席を覗き込んだだけ。踵を返して関係者の輪に加わり、悠然と談笑を始めるのであった。懸命な作業でパワーアップをはかる選手の姿は美しいが、実は泰然としている選手のほうがエンジンは出ている、というのが真理だったりするのである。

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 泰然、というわけではないが、ゲージ擦りを始めた毒島誠も同様であろう。足的に手応えを感じたからこそ、ペラ叩きや本体整備ではなく、ゲージに取り掛かれる。師匠・江口晃生の師匠である青山登さんの姿を見つけて手を振る様子も、なんとも朗らかかつゴキゲン。険しい目つきで調整の方向に思考をめぐらす選手はカッコいいが、笑顔満開の選手のほうが足的にはいいというのもまた、真理のひとつと言える。

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 整備室の隅っこのほうには、タブレットの端末がいくつか置かれている。これは機歴簿。デジタル化している場は、大村以外にもいくつかある。ここに陣取っている選手はさまざまだが、今日は田村隆信と山田祐也の鳴門コンビがひとつのタブレットに見入っていた。どちらのモーターの機歴を見ていたかはわからなかったが、推測するならやはり山田のモーターで、田村がアドバイスを送っている姿、ということになるだろう。山田は3年連続でメモリアルに出場、そのたびに田村とともに行動しているのを見かける。山田によれば、師弟関係というわけではないものの、田村は優しく厳しくアドバイスしてくれるそうで、それがおおいに血肉となっているようだ。今節も、二人一緒の場面はすでに何度も見かけた。山田は今年おおいに好調だが、田村からの言葉が実を結んだ部分もあるだろう。

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 朝から瓜生正義は本体整備。昨日のレース後、本体を点検している様子があったのだが、そこで気になった部分を今朝から解消にかかったということか。2R発売中、整備を終えてモーターを装着。そのとき、たまたま近くにいた毒島と長田頼宗がヘルプのために歩み寄った。慌てたのはそれに気づいた西山貴浩。それは支部の後輩の仕事とばかりに駆け寄った。

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 さらに慌てたのは仲谷颯仁。それは若手の仕事とばかりにダッシュ! しかし、仲谷のいた場所は20mほど離れていて、西山を制してヘルプした毒島と長田が瓜生に「ありがとう!」と言われる頃にようやく到着。バツが悪そうに毒島と長田に頭を下げる仲谷なのであった。全員、実に気持ちいい姿です!(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)