BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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三国ヤンダビTOPICS 初日

ライバル物語、本格始動

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 この舞台ではペーペーと云うかほやほやと云うか、デビューから3年半にも満たない118期が大暴れだ。火付け役はこの期の超エリート宮之原輝紀。5Rで4カドに引いた宮之原は、内2艇の大競り(2号艇でインを強奪した木村仁紀に対し、奪われた今井美亜が2コースから猛烈なアングリーツケマイ!!)に乗じてスピーディーな最内差し。あまりサイドを掛けない滑らかな高速モンキーは、一番差しで先行する村岡賢人を並ぶ間もなく交わし去った。伸び足でも分がある逆転劇ではあったが、この21歳のターンはやはり一味も二味も違う。19歳で初優出、20歳で初優勝を飾った東都の新エースがどこまでV戦線を賑わせてくれるか、大いに期待が膨らむ1勝となった。

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 で、宮之原が派手な勝ちっぷりを見せたからには、同期のナンバー2・板橋侑我も黙ってはいられない。このふたりで鮮明に思い出すのは、3年半前のやまとチャンプ決定戦だ。1号艇ながら「アウト6コースから優勝する!」と宮之原が宣言し、2号艇の板橋は「だったら僕はインから正攻法で優勝する。宮之原君には絶対に負けない」と切り返した。結果は板橋がしっかりと逃げきってチャンプの座に君臨。宮之原の悔しそうな照れ笑いが今も脳裏に焼き付いているが、同時に「この期は強くなりそうだな」とぼんやり思ったりもしたものだ。

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 板橋が5号艇で臨んだ10Rは、宮之原の5R同様に荒れ模様の展開になった。4号艇の西川昌希がオラオラゴリゴリの前付けで2コース奪取。これを受け入れた2号艇の安河内将が、「ならば、死んでもらいます!」とばかりに3カドから伸びなり内2艇を絞めまくり。対してイン西野雄貴が身体を張ってブロックするという実にヤンダビらしい破天荒な攻防の果てに、最アウトの6コースから板橋ががら空きの内水域をズッポリと差し抜けた。宮之原も板橋も展開に恵まれた1着ではあったが、だからこそこの流れは侮れない。118期の究極のライバル(もうひとり、同期のドボンキング・栗城匠も間違いなく来年のこの舞台に加わるだろう)は、明日からもピットで火花を散らしながら日々成長していくことだろう。

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 もうひとりの118期、関野文も並々ならぬ存在感を見せつけた。8Rの3コースからしぶとい立ち回りで熾烈な2・3着争いを展開。最後は渡邉和将41号機の圧倒的なパワーに屈して4着に敗れたものの、石丸海渡らと互角に渡り合った勝負根性は天晴れの一語。やまと学校時代の関野は「倉谷和信の愛娘」という話題が先走りした感もあったが、2年余りでこの大舞台に名を連ねたのはやはり父親のDNA(特に負けん気の強さ?)があればこそか。ヤンダビ一発目のレースで先輩の猛者たちに怯むことなく挑んだ経験は、明日の関野をさらに逞しく成長させることだろう。外枠での一発大穴を常に警戒すべき、と今日のレースを観ながら肝に銘じた次第だ。

独断のパワー評価

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 初日の全レースを観て、前検鑑定の修正も含めた私なりのパワー評価を記しておきたい。まず、渡邉和将はもちろんSランク据え置き。前半2Rはちょっと回転が合わない感じで4着止まりだったが、バチッと来たであろう8Rはまさに鬼足。2周バックで2艇身先を行く軽量・関野に追いついた直線足~小回りターン一発で一気に関野と石丸を突き放したレース足は、私が期待した通りの超抜パワーだった。とりあえずはS級だが節イチ=SS級の最有力候補だ。同じくS級指名した春園功太20号機も、成績にムラがあったとは言え抜群級のレース足を随所に見せていた。据え置き。
 逆に、かなり期待外れだったのが中村晃朋14号機。前半のイン逃げ1着も、それこそ2番手の春園にターンごとにぐんぐん差を詰められて最後は薄氷の勝利という感じ。後半も1マークこそ果敢に攻めたが、いざ競り合いになったら期待していた力強いレース足は感じられなかった。おそらく本体の問題ではなくペラと回転の塩梅がチグハグだったはずで、明日からの巻き返しに期待したい。この14号機は好不調が展示タイムにしっかり反映されるモーター(良ければ当日のトップ時計というケースが多い)でもあり、参考にしていただきたい。

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 今日の実戦であっと驚いたのが吉田裕平21号機のレース足だ。2Rは逃げる佐藤隆太郎を鬼気迫る勢いで追い上げ(後続がどんどん千切れて行く様は圧巻だった)、8Rではスリットほぼ同体から1マークまでに力強く伸びてイン中田達也をツケマイで瞬殺! 「ツケマイはパワーよりタイミング」としたものだが、今日のアレは1マークまでに主導権を握ったからこそのパワーツケマイにも見えた。もはやバレバレの2・1着発進とは言え、F2持ちだけにファンとしても舟券が難しいところ。私個人としては「人気になりすぎたら軽視、人気に陰りが見えたら買い」というスタンスでこのパワーと付き合っていくつもりだ。
 それから、西川昌希72号機の出足系統も文句なしの上位レベル。安河内の3カドまくりの引き波をモロに浴びながら2マークで逆転の2番手に躍進したパワーはウムムムと唸らせた。前検では「41号機にしぶとく食らいついたから上位かも?」的なあやふやな評価だったが、胸を張ってAランクに昇格したい。

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 あ、それからそれから、正味のパワーは分かりにくいのだが、今日の木村仁紀のピット離れは半端ないものだった。「バナレは水物」とはいえ、スタート展示も本番もあれだけ飛び出すのだから、明日以降も瞬間移動レベルで飛ぶ可能性は極めて高い。「1号艇以外の仁紀」はいついかなる時でも「イン強奪から大逃げがあるかも??」という想定をお忘れなく!
★初日のパワー鑑定
S級…渡邉和将、春園功太
A級…吉田裕平、豊田健士郎、西川昌希、板橋侑我、松山将吾
次位候補…永井彪也、木下翔太、竹田和哉
要注意…木村仁紀のバナレ
要チェック…中村晃朋(素性を引き出せるか)、渡邉優美(バナレの悪さが解消されるか)、大上卓人(大アクシデントの影響は?)
(photos/シギー中尾、text/畠山)