BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――氷雨の4日目

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 雨が降って、一段と気温が下がった。まさに氷雨というやつで、ピットで過ごす選手たちも昨日よりは厚着になっているように感じる。たとえば今垣光太郎。SGジャンパー着用は同じでも、昨日はしていなかったネックウォーマーを身に着けた。よく見渡せば、たしか昨日はネックウォーマーなしの選手はもっと多かったはずが、着用率が確実にアップしている。

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 石渡鉄兵は、エンジン吊りにフードをすっぽりかぶって登場。試合前のボクサー……というほどピリピリしているわけではないが、ともかくなかなか暖かそうだ。これから冬を迎えていくにつれ、ピットでは選手たちがしっかり防寒を施して動き回ることになるわけだ。風邪ひかないように!

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 天候が変わって、選手たちは調整に忙殺されるのかと思いきや、それほど切羽詰まって動いている選手はあまり見かけない。湿度が上がれば回転が上がりにくくなるというが、一方で気温が下がれば回転は上がるともいう。相殺されて気配が変わっていない? そのへんは選手経験がないこちらにはよくわからない。もちろんみなのんびり過ごしているわけではない。屋外調整所で、濱野谷憲吾はペラを叩く。今節の濱野谷の低位置は、屋外調整所のいちばん奥。屋外だから、ピットをうろついていると必然的に濱野谷の姿は視界に入りやすいのだ。今日は11R1回乗りと、たっぷり時間はあるのだが、1R発売中には定位置にいたのだから、今日は5~6時間もここを根城にするということか。

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 湯川浩司、田村隆信の銀河系コンビも屋外調整所。ときどき笑い声が聞こえて、その方向を見るとこの二人だった、という展開が何度かあった。湯川は試運転も繰り返しており、ペラを叩いては水面に飛び出していく。氷雨のなかでも試運転をおろそかにしないのは、このクラスにいるのだから特筆するべきことではないか。銀河勢はほかに興津藍や井口佳典も試運転。不思議と85期勢が水面にいるのをよく見かけたというわけだ。

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 3R出走の毒島誠は、今日もギリペラ。早い時間帯の出走だから、なおさらギリギリまで調整したい、ということになるか。毒島にとって、とことんプロペラと向き合うことが、一種の精神安定剤にもなるそうだ。それは同時に緊張感と向き合うことにもなっていて、そうすることで水面に出た時には平常心を呼び込むことにもなるというわけだ。
 というわけで、とっても寒い4日目だが、選手たちはそんなことにかまうことなく、いつも通りに勝利を目指す。ワタシも寒い寒いと言っている場合ではない。

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 2R、茅原悠紀が豪快なまくり差しで快勝。ピットに戻った茅原は目を細めていたのだが、茅原以上に興奮していたのが寺田千恵、守屋美穂の同支部女子勢であった。その様子を見ながら、さらに目を細める茅原。まさしく会心!であろう。

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 一方、松井繁が6着に敗れた。ボーダー5・00とするなら2走12点が必要だったので、予選突破はほとんど絶望的となってしまった(後半は6号艇だ)。もちろん何が起こるのかわからないのがボートレースではあるものの、このまま行けば松井は今年もグランプリ行きを逃すことになってしまう……。憮然としているように見えたレース後の松井の脳裏には何が渦巻いているのか。それでも後半も全力で臨む王者ではあろうが。

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 整備室を覗くと女子組が本体整備だ。大瀧明日香と長嶋万記。おぉ、高校の先輩後輩コンビですか。その大瀧にアドバイスを送っていたのが赤岩善生。愛知支部の同世代同士だ(1期違い)。大瀧にとって、これは心強い味方だ。艇界屈指の整備巧者の助けを受け、パワーアップなるか。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)