BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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桐生チャレカW優勝戦 私的回顧

GPシリーズへの布石

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11Rレディースチャレカ優勝戦
①松本晶恵(群馬)17
②守屋美穂(岡山)14
③遠藤エミ(滋賀)13
④魚谷香織(山口)18
⑤平高奈菜(香川)12
⑥日高逸子(福岡)21

 地元の大本命・松本晶恵の見えないところから、強烈なツケマイが飛んできた。スリットは↑御覧のとおり、あまり差はないがイン晶恵がやや凹んだ隊形。スロー3艇のスリットからの行き足はほぼ一緒で、晶恵には守屋から外の艇はまるで見えない。1マークの手前、わずかでも遠藤の舳先とその動向が視野に入っていれば、別物のインモンキーになったことだろう。

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 3コースまくりを得意とする遠藤の握りマイは、今日もやはり初速から早くて速かった。嫌なほどそれを熟知しているであろう晶恵は見えた瞬間に艇を合わせに行ったが、わずかに遅れをとった。ぴったり1艇身だけ奪われたビハインドを、女子レーサー屈指のスピードを誇る遠藤から取り返すことはできなかった。地元のビッグレース優勝戦1号艇での惜敗。その悔しさはいかほどだったか。

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 ド派手なスピード戦で頂点に立った遠藤が得たものは、約2年ぶりの記念タイトルだけではない。暮れの徳山クイクラのトライアル1号艇。そして、その直前の住之江GPシリーズ戦のチケット。どちらも嬉しいプレゼントではあるが、私の勝手な思い入れとしては後者の方をより重宝してもらいたい。すでに住之江入りを決めている大山千広、遠藤と同じく今日になって当確を決めた守屋美穂ともども、女子レーサーが国内最高峰のピットに立つ意味と意義は、計り知れないほどでかい。

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 さてさて、今年のレディースチャレカは初日に書いたとおり、例年以上に「これでいいのかチャレンジカップ!?」的な不毛なシリーズではあった。あれこれ追記したいところだが、『BOATBoy』のボートレース時評などでブツクサ言うとしよう。不平不満だけでなく、できる限りポジティヴな善後策とともに。

★女子賞金ランキングTOP12
①大山千広
②遠藤エミ
③守屋美穂
④松本晶恵
⑤寺田千恵
⑥田口節子
⑦日高逸子
⑧平高奈菜
⑨今井美亜
⑩小野生奈
⑪長嶋万記
⑫香川素子


プレゼントの興亡

12Rチャレカ優勝戦
①石野貴之(大阪) 06
②濱野谷憲吾(東京)05
③平本真之(愛知) 11
④井口佳典(三重) 10
⑤毒島 誠(群馬) 12
⑥田村隆信(徳島) 12

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 石野貴之がコンマゼロ台の半ばまで踏み込み、他艇を寄せつけずに逃げきった。うん、わかっちゃいるけど強かった! 2年半ぶり7個目のSGタイトル奪取。今節はとびっきり大きな“副賞”も付いている。住之江グランプリで圧倒的有利な「トライアル2nd」の招待状。最後の最後に滑り込んだ特等席ではあるが、この勝負師にとっては算盤ずくだったのかも知れないな。直近3カ月の主な戦績がこうなのだから。
 SGメモリアル優出3着→GI高松宮記念優勝→SGダービー優出2着→SGチャレンジカップ優勝。
 まるで、グランプリへのカウントダウンを数えるような右肩上がりの荒稼ぎ。滑り込みどころか、この凄まじい勢いで本丸の住之江3日目へと凱旋するのだから、もはや盤石の布陣を敷いたと言ってもいいだろう。石野に残された唯一の課題は、毎年のように苦労しているGPのモーター抽選のみ、とお伝えしておこう。

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 石野が得がたいプレゼントを頂戴した一方で、敗者たちはそれぞれの夢を失った。繰り上がり出場から約12年ぶりのSGタイトル&一発大逆転のGP入りを目指した濱野谷。東京のファンは今ごろヤケ酒を呑んでいるだろうが、トップSのコンマ05で石野に襲い掛かった46歳の気迫に拍手、拍手! 「東都のエース」の称号は、まだまだこの男の元から離れそうにないな。

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 井口と田村の銀河コンビはトライアル2ndへ、これも優勝条件の一発勝負だった。その権利は5期下の後輩に奪われたが、もちろんGP優勝の夢が途絶えたわけではない。GP初日からペラをガンガン叩きまくり、下剋上の成り上がりVを目指すことだろう。

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 そしてそして、選手班長という大役を担いつつ、SG3連続優勝を目指した毒島。さすがに最終決戦は非力なパワーを克服できなかったが、よくぞあの程度の機力でここまで辿り着いたものだ。レディースの晶恵ともども夢の途中で力尽きたとはいえ、地元のファンは男女それぞれの“孤軍奮闘”を長きに渡って忘れないだろう。毒島は住之江の1号艇、晶恵は徳山の2号艇から、それぞれの本格的な“再起戦”がリスタートする。
 でもって平本は……無事故完走でのグランプリ決定、おめでとう!(笑)

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★賞金ランキングTOP18
1毒島 誠
2吉川元浩
3石野貴之
4峰 竜太
5桐生順平
6瓜生正義
 ―――
7柳沢 一
8井口佳典
9馬場貴也
10白井英治
11田村隆信
12徳増秀樹
13菊地孝平
14太田和美
15池田浩二
16今垣光太郎
17平本真之
18茅原悠紀
(photos/シギー中尾、text/畠山)