BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――トライアルの緊張感

f:id:boatrace-g-report:20191218153635j:plain

 トライアル1st第2戦。2ndに進めるか否か、あるいはシリーズ回りの屈辱を味わわされるのかどうか、という過酷な一日。しかしながら、事実上、12人のうち5人が2nd行きの可能性がほぼないという状況。さすがにピットはヒリヒリした雰囲気がない……などということはなかった! これぞグランプリ。もちろん、5人もまだ勝負駆けという状況であったらさらに緊張感が高かったかもしれないとは思う。それでも、その5人ともに今日も戦いの準備を怠りなくしているし、だから少なくとも予想をする際に「この5人はもう終わってるから……」などと考えないほうがいいと思う。賞典除外でシリーズの優勝もなくなった柳沢一も、早い時間帯からしっかり調整作業をしているぞ。

f:id:boatrace-g-report:20191218153719j:plain

f:id:boatrace-g-report:20191218153745j:plain

 トライアル2nd行き争いにおいてかなり有利な選手たちも、やはり油断せずに調整を続けている。初戦の6コース1着で波に乗る平本真之も、しっかりと本体を点検。まるで緩んだところがない。それでも、6コース快勝で気分は上々。今節のテーマ「笑顔」がよく出ている。また、やはり初戦1着だった田村隆信も本体を扱っている。大きな整備というわけではなさそうだったが、ボートを整備室の出入口脇に置いて、細かな調整を行なっていた。今節というか最近のテーマは「落ち着いて戦う」。それも実現できているようだ。

f:id:boatrace-g-report:20191218153816j:plain

 ちょっと感心したのは、井口佳典のふるまい。早くからペラ調整室にこもっての作業が続いていたが、2Rが終わって、井口はリフトへと向かっている。エンジン吊りなのだが、2Rには東海地区の選手が不在であった。だからそのまま調整を続けていても何も問題はないのだ。それでも井口はリフトで、手薄な陣営を探していた。結局、6艇ともに手が足りていたので、井口は参加せずにペラ室へ戻った。トライアルという極限のバトルを戦っていくなかで、しかし他の選手への気配りも忘れることはない。人間力とでもいうものが、井口には備わっているのだろう。

f:id:boatrace-g-report:20191218153856j:plain

 2nd組では、石野貴之が本体整備に着手した。朝から試運転をしていたのだが、2R発売中、ボートを陸に上げて整備室出入り口脇に横付けし、本体を外したのだ。昨日一日奮闘したものの、納得できる足にはならなかったということだ。今日もレースがない石野は、本体ととことん向き合う一日になることだろう。

f:id:boatrace-g-report:20191218153937j:plain

 毒島誠も2R発売中には試運転を行なった。ものの1周か2周でボートを陸に上げたが、その手応えをもとに、さらに調整を煮詰めていくことになるだろう。

f:id:boatrace-g-report:20191218154007j:plain

 シリーズ組。昨日、岡崎恭裕に「何勝差?」と声をかけられた。いったい何の話? と思ったら、年間最多勝争いをしている篠崎元志と白井英治は今、何勝差なのか、ということだった。聡明な岡崎に、こうしたデータ的なことで頼られるのは光栄だが、すいましぇーん、わかりません。ただ、実は数日前に5勝差であったことはチェックしており、そのことを告げた(そしたら同じようなタイミングで岡崎もそれをチェックしていたらしい)。正解は……。

f:id:boatrace-g-report:20191218154056j:plain

 昨日の段階で6勝差でした。そして2R、篠崎元志が1着で7勝差に! 白井はどうやら2ndに行きそうで、年内は今節がラスト。元志は年末に4日もレースがあるから、最多勝争いは決着! もっとも、元志はそんなことを意識して1着を獲ったのではなく、ドリーム6着から巻き返しに成功したことのほうが嬉しいであろう。3位以下は突き放されているから、来年の表彰式の舞台に立つのは元志で確定!(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)