BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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徳山クイクラTOPICS 3日目

トライアル初戦ダイジェスト

鬼時計であっても

11R
①遠藤エミ(滋賀)11
②守屋美穂(岡山)18
③田口節子(岡山)16
日高逸子(福岡)19
⑤小野生奈(福岡)16
長嶋万記(静岡)15

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 守屋、田口、小野、長嶋などなど前評判の高いモーターを駆る選手が結集し、イン巧者の遠藤とて安穏とは勝ちきれないメンバー構成ではあった。ならば、その脅威はスリットで蹴散らすべし。↑御覧のとおり、ほぼ横並びのスリット隊形の中で遠藤だけが半艇身近く突き抜け(その後のゴキゲンな行き足からして、ほぼ全速だろう)、そのまま女子レーサー屈指の高速インモンキーで他を圧倒した。スリット~1マークまであまりに完璧な段取り&スピードすぎて、今日の40号機のパワーはさっぱり分からない。たとえ彼女の上がりタイム=1分47秒8が、シリーズ組のトップ時計(1分49秒0)を1・2秒もぶっ千切ったとしても!

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 2着争いは2コースから差した守屋と3コースから力強く握った田口の一騎打ちムード。より目立ったのは、遠藤と田口の深い引き波を浴びつつ出口からスムースに出て行った守屋のレース足か。スリット裏からは甲乙のつけ難い直線足に見えたが、2マークの旋回後に田口が振り込み失速。操縦ミスか、あるいは回転が合っていなかった可能性もありうる。後者ならば、しっかり合わせきれれば大幅なパワーアップも想定しておきたい。

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 田口がもたついている間に、バック4番手から切り返しを見せた小野が3番手に進出。そのまま3着をキープして貴重な7点を入手した。パワーの下馬評が高かった守屋・田口・小野の比較は難しいが、今日の仕上がりは「出足系統は守屋、中間速はほぼ一緒で、ストレート後半の伸びは小野」という風に見えたがどうだろうか。

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 ちょっと残念だったのは、私が期待している長嶋39号機の6着だ。最後方から最終ターンマークでチャンス到来。田口と日高の4着競りに乗じてズッポリ差し抜ける展開が生じたが、日高の振り込みで接触。そのまま減速を余儀なくされた。レース後の抽選では、流れの悪さそのままに明日も6号艇という仕打ち。抽選での大外枠だけに、ピットアウトから勝負に出る可能性もあるだろう。

いきなりの勝負手

①大山千広(福岡)18
松本晶恵(群馬)19
③寺田千恵(岡山)22
④平高奈菜(香川)18
⑤今井美亜(福井)14
⑥香川素子(滋賀)16

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 勝者はこちらもインコースの大山。ただ、誰よりもスタート勝負に出たのは、自他ともに「パワー劣勢」と認める5コースの今井だった。展示タイムも抜けて悪かっただけに、「包まれたら一巻の終わり」という意識もあったはず。伸びがない分を気合で補う作戦は、だがしかしスリット直後にそのアドバンテージを失ってしまう。そこから伸びて行ったのは両サイドの平高&香川だった。

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 そして……包まれたら一巻の終わりの今井は、すぐに第2の勝負手を放った。これが今日イチのハイライト。外の香川に艇を寄せてブロックしたかと思いきや、いきなり握りっぱなしで自分より出て行く平高にツケマイを浴びせ、さらに握りっぱなしで2コース差しの松本まで引き波に飲み込んだ。時に命知らずの勇猛なルーキーが見せる「内の展開が見えないけど握りっぱなしで天命を預ける5コース全速まくり差し」。勝負師の資質が高い今井は、トライアル初戦でこの「見る前に飛ぶ」超リスキーなギャンブル戦法を繰り出し、ものの見事に成功させた。今井が握った先の航路は、内艇の交錯を経てしっかり(たまたま、とも言える)視界が開けていた。逃げた大山には届かなかったが、一撃の2番手進出で9点ゲット。なんちゅう娘じゃ!
 ボートレースは機力だけでは決まらない。
 ここで何度も記してきた言葉を、今日は今井美亜という北陸の勝負師が想起させてくれた。トライアル第1戦のMVPは、文句なしに彼女だったと思う。

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 さてさて、今井の全速の引き波を浴びた平高と松本は、その影響が大きすぎて6着、5着に敗れた。レースがレースだけに、この惨敗をもってパワー云々するのは早計だろう。一方、バック出口でやや離された3番手から、今井をグングン追い上げた寺田の迫力は半端なかった。逆転には至らなかったが、追う者と追われる者のパワー差は「ケタチ」だったと確信している。

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 6コースから展開がなく4着に敗れた香川も、道中の足色は悪くなさそうではあった(良かったと断言はできないが)。昨日から選手間の評判がやたらと高い寺田&香川は、レース後に1号艇をゲット。もちろん、評判通りのパワーが生きる展開になれば「イン4連勝」は濃厚だ。が、住之江GPトライアルがそうだったように、明日も「ボートレースは機力だけでは決まらない」という言葉を忘れずに肝に銘じておきたい。ピットアウトの瞬間から。

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 そしてそして、インから圧勝した大山千広71号機に関しては、11Rの遠藤と同じく分かりません。判断できる材料は「上がりタイムで遠藤にコンマ3秒だけ劣った」という程度か(笑)。私の勝手なスタンスとしては、「1枠以外でもガンガン売れるふたりだけに、パワー的に過信禁物。あっさり着外もありえる」と想定する可能性は高い。

シリーズ戦

今日のトップヒロイン

☆池田紫乃(長崎)

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 昨日まで4・3・2着と成績&パワーともに上り調子だった池田が、さらなる臨界点を突き抜けた。泣く子も喜ぶ「まくりの大花火」2連発だ!! 2号艇の2Rはイン村上奈穂のスタート凹みに乗じて有無を言わさぬジカまくり一撃。
 返す刀で5号艇の6Rは、4カド出口舞有子の握りマイのさらに上を行く全速まくりを敢行。内水域でイン西村美智子が振り込む(不良航法)などのアクシデントを尻目に、大外から悠々と先頭に躍り出た。
 2Rも6Rも展開の利がかなり大きなまくり勝ちではあったが、それぞれコンマ11、コンマ07としっかり踏み込んで迷わずレバーを握ったからこそのピンピン連勝。相棒の22号機は27%しかない低調機だが、見た目には数字をはるかに上回る迫力を感じさせる。本人もその手応えを感じ、信頼を置いて強気の攻めを繰り出しているのだろう。

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 10年ほど前まではA2級の常連で、2010年には勝率6・45=A1級のステージも経験している池田。ここ2年ほどは4点台に甘んじているが、来期は5・29で再びA級の背中が見える位置まで押し上げた。さらに11月9日には戸田の男女W優勝戦で4年半ぶり3度目の優勝とリズムも抜群。プロペラ調整にそれなりの当たりを見出した自信と勢いが、今節の成績に直結しているのだろう。明日は4R3号艇で準優好枠へのアタックチャンス。43211という流れを侮ることなかれ!

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 それ以外のシリーズ戦のトピックを並べよう。まずは昨日のトップヒロインに抜擢した喜多須杏奈が、今日も1着を取りきって予選得点9・00で暫定トップに!! 決まり手としてはイン渡邉優美のフライング欠場を受けての「恵まれ」ではあったが、もちろん運も実力のうち。それに、2コースからスピーディに差して渡邉に肉薄したターンも出口の足色もなかなかに見事だった。明日は3&5号艇での予選トップ勝負駆け。自力の権利を持つ立場ではあるが、気負うことなく挑戦者のスピリッツでいいレースを見せてもらいたい。

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 これも昨日の続きになるが、地元・山口支部の3人娘のうち佐々木裕美と津田裕絵は残念ながら絶望的な立場になってしまった。ただひとり、ボーダー想定5・50として選手班長の向井美鈴だけは①②着の勝負駆け! その枠番は1R3号艇と6R6号艇。1Rの結果次第では、昨日に続いて前付けがありえるかも?? 朝の特訓からその挙動をしっかりと視野に入れておきたい。(photos/シギー中尾、text/畠山)