BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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トーナメント終了!――ピットから

 勝ち上がりは9R=金子龍介、石野貴之三嶌誠司。10R=吉川元浩、毒島誠、吉田拡郎。11R=菊地孝平、福田宗平、白石健。12R=峰竜太、遠藤エミ、末永祐輝。8Rまでに比べて、比較的順当なメンバーが勝ち上がった印象だ。

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 5~8Rについては、前半の記事が駆け足だったので少しずつ触れていこう。5Rで印象的だったのは、篠崎仁志のキリリとした表情だ。逃げ切りはまさに順当な結果だったが、一発勝負のトーナメントではやはり1着の重さが違うというべきか。セミファイナルの枠番は抽選とはいえ、もし明日2着となった場合にはこの1着が生きてくる(セミファイナル2着選手のうち、トーナメントの着順最上位選手による抽選で1人、優出となる。すなわちトーナメント1着は有利)。この逃げ切りは単なる逃げ切りではないのだ。

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 6Rを逃げ切った桑原悠も、ある意味、仁志と同様のレース後と言えた。いや、実際のところ、桑原は安堵し切った表情で、そんなに大袈裟に喜ぶかと思えるほどだったのだが、やはりここで逃げ切るか逃げ切れないかは大きな分岐点となりかねないのだから、この1着の意味は大きいのだ。まさにトーナメントのレース後らしい勝者の姿であった。

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 7Rを逃げ切った栗城匠は実に淡々としたもの。2着の浜先真範も淡々としていて、実に落ち着いた若者二人なのである。栗城は昨日の枠番抽選で1号艇を引いても淡々。幸運に加えて好結果を出しているにも関わらず、表情をほとんど変えないのである。昨年のラグビーW杯では笑わない男が人気を集めたが、栗城はボートレース版笑わない男? と思ったら、これは畠山が書いているかもしれないが、セミファイナルの枠番抽選でまたもや1号艇を引いたときにはニヤリと頬を緩めた! 栗城が白を出した時には会場もどよめいており、栗城のテンションも上がったかも? ともかく、これで一気に台風の目となったわけだ。

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 8Rは3着で勝ち上がった柳沢一の疲労困憊っぷりが印象に残る。6コースから2番手争いに加わった柳沢は、興津藍の好捌きの前に3番手となったわけだが、そこから西島義則の激しいアタックを受け、最後は山本浩次に追い詰められて、これらをなんとかしのいだ格好。もちろんどんなレースでも3番手を走っていれば、着を落とすまいと必死になるのは変わらないが、これが勝ち上がりに関わってくるとなれば精神的な負担はさらに大きくなって当然だ。体力にしろメンタルにしろ、いっぱいいっぱいで走ったわけで、さすがに息が荒いレース後、となるわけである。

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 9R。金子龍介のまくりはお見事としか言いようがない! 前付けを敢行し、抵抗されて5コースになるも、スタートでのぞくと一気に締めてまくり一撃! 素晴らしいレースぶりである。これぞボートレース! モーター格納を終えた金子に拍手を送ったら、ニッコリ笑って「班長手当!」だって(笑)。選手班長を務めているご褒美に神様がまくらせてくれたってこと? いやいや、むしろ班長として今節を盛り上げていこうという気持ちが、その走りに宿っていたというべきだろう。セミファイナルも6号艇を引いてしまったわけだが、明日は何を見せてくれるだろうか。

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 10R。吉川元浩は逃げ切り快勝。貫録たっぷりに帰還して、特に表情を変えることなく控室に向かっている。地元のイン戦、負けるわけにはいかない一番だった。

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 1周目バックでは2番手争いを演じた毒島誠と吉田拡郎は、にこやかにレースを振り返り合っていた。時に爆笑も飛び出すほどで、やはり毒島2着、吉田3着で勝ち上がった余裕がふたりを朗らかにさせていたか。エンジン吊りを終えた毒島にカメラのレンズを向けたら、ずっと視線を向けてくれていて、その時点で勝ち上がれたことでのゴキゲンぶりはうかがえたのだが、よく見たら右手の親指が立っているじゃないか! あの毒島誠とはいえ、5号艇で簡単に勝ち上がれるという甘い考えはなかったのだろう。1着になれなかった悔しさもあったはずだが、まずはセミファイナルに進めた安堵があったのかもしれない。

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 11R。勝ったのは菊地孝平。徳増秀樹の前付けでオールスローになっているがまるで動じずに逃げ切り。きっちりトップタイのスタートを決めているのだからさすがである。菊地は6号艇時に前付けに動くことも多いが、だからこそ1号艇時には前付け上等と覚悟を携えてインを主張する。まさに気持ちのこもったイン戦なのだ。レース後、徳増は菊地に「キク、ごめん!」と声をかけているが、もちろん菊地に後腐れのような感情は皆無。そのうえで真っ向勝負と腹を据えているのだから、スッキリした表情なのである。これは仮に敗れていても同じだろう(敗れた悔しさは抱えるだろうが)。

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 2着は福田宗平。ヤングダービーで大暴れしたのが記憶に鮮明だが、この11Rは唯一のA2級ながら(ここに入るはずだったA2級選手が欠場となり、追加で組み込まれた2人がA1級)きっちり勝ち上がったのはお見事である。大舞台に強いタイプかも! レース後のふるまいは実に堂々としており、相手がSGクラスだからといって怯んでいた様子は微塵も感じられない。さらに勝率をあげてA1級に昇級し、記念の舞台でその走りを見てみたくなってきた。

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 なお、転覆した岡崎恭裕は体は無事でした。今日は3Rでは危ない場面があっての6着(栗城匠が不良航法をとられている)、そしてトーナメントは転覆と、散々な一日になってしまった。昨日が誕生日で、33歳の1年は幸先の悪い発進となってしまったが、ここで1年の厄を落としたのだと考えて、いい33歳を送ってほしい。

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 12R。まず印象に残ったのはレース前で、遠藤エミが今日もギリペラでレースに臨んだ。SGだろうがクイーンズクライマックスだろうがトーナメントだろうが、その姿勢のブレなさはすごい。もちろんこれが彼女のスタイルということで、それを貫いて勝利をもぎ取ろうとしているわけだ。結果2着で勝ち上がり。勝てはしなかったが最善を尽くしてのセミファイナル進出であることは間違いない。

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 それにしても、峰竜太は強いね。昨日も書いたが、枠番抽選で「終わたーーー」とか言ってた人が、前付けして、末永祐輝のカドからの攻めを受け止めて、その勢いでまくり一撃。八面六臂の走りで1着をもぎ取るのだから、ド派手な男である。そして、枠番抽選でふたたび6号艇を引いたのだから、さらにド派手(笑)。セミファイナルは何を見せてくれるだろうか。

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 このレースでは和田拓也が悔しさにまみれた。いったんは3番手を獲り切ったように思えたのだが逆転を許してしまったのだ。さらに3周2マークで差し返して写真判定に持ち込んでおり、これもまた悔しさを増幅させたかも。明日の復活戦は借りを返すには格好の舞台。1着となればファイナル行きの可能性も出てくるのだ(4着だから、復活戦では有利な立場)。気合の走りに期待したい。(PHOTO/池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)