BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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個人戦勝負駆けの悲喜こもごも4日目後半のピット

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 何はともあれ、予選最終日。個人戦の勝負駆けが選手にとって大きな関心事となるのは当然である。たとえば、9Rの豊田健士郎。本来なら予選突破となっていたはずが、待機行動違反で減点7。結果的に得点率8位に後退し、予選落ちの痛恨となった。今節は陽気にピットを盛り上げてきた豊田だが、さすがにガッカリだ。

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 11Rの外崎悟は、その時点では得点率7位。2号艇だっただけにポイントアップに力が入ったが、5着大敗で得点率を大きく下げてしまった。これで予選突破の目がなくなった。洗濯室でカポックを脱ぎながら、眉間にシワが自然と寄っていく。大敗も予選落ちも、どっちも悔しい。装備を解き終えると、カタい表情で控室へと消えていった。

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 9Rでは浜田亜理沙が1着。この時点で得点率6位に浮上している。塩崎桐加とのデッドヒートを制したのは、実に大きなことだったのだ。しかしながら、12Rの1号艇と2号艇がその下、7位と8位に控えていた。レース後にボートを磨く浜田の様子は普段と変わらなかったが、果たして状況を把握していただろうか。把握していたとして、心中はいかばかりだっただろうか。

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 その12R、1号艇が小野生奈。2号艇が大瀧明日香。小野が7位、大瀧が8位。小野は必勝のイン戦だ。勝てばもちろん浜田を超える。ところが、大瀧の2コース差しが小野を捉える。大瀧が1着、小野が2着。まず、インで敗れたこと自体が悔しいのは当然。そして、小野は状況をわかっていただろうか。これで二人の得点率は7.14で並んだのである。ところが、1着回数が小野1、大瀧2で、上位着順差で大瀧が順位を逆転したのだ。そして、大瀧が6位浮上。リプレイを見つめる小野の表情はやや引きつっていたが、状況を知っていたとするなら、胸のもやもやはさらに大きくなっていたはずだ。

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 一方、大瀧は事情を把握していなかった。報道陣に予選突破を知らされて「ウソッ!?」と声をあげている。大瀧としてはひたすら勝ちにいった渾身差しを放ったのであり、その結果として準優進出がついてきたという感じだろうか。予選突破を知った大瀧は、自然と笑みが浮かんでくる。小野とは反対に、喜びは倍増したことだろう。

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 この12R、男子の大塚康雅も予選突破を知らされ、「やったっ!」と声をあげている。4着だったら予選落ちだっただけに、大きな大きな3着だった。この12Rは、団体戦で言えば大瀧-小野のワンツーで紅組に1ポイント入っているわけだが、予選突破確定はそれを忘れさせてくれるわけだ。準優勝戦団体戦の対象ではない。明日は自身の勝ち上がりのみ考えて、6号艇から大暴れしてほしい。

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 4着の澤田尚也は、実は無事故完走で準優当確だった。それについては、報道陣から聞かされて把握していたようだ。ただ、やはりひとつでも内の枠が欲しいのは当然。ピットに戻ってきた澤田はカポックを脱ぐのももどかしく、報道陣に得点状況を確認していた。その時点ではいわゆる手元の計算というやつではあるが、その内容にしばらく見入っていた澤田である。準優は4号艇だ。

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 予選突破組の動きといえば、白組5号艇で準優出の板橋侑我が本体整備をしていた。足的には決して上位とは言えないなかでの予選突破はお見事である。だが、さらに上を目指すために足りない分を補わなければならないと、勝負に出たということになる。板橋は昨年2月の江戸川大会にも出場していたが、そこでは予選突破はならなかった。今度は一足飛びに優出を果たすべく、明日もまた必死の調整が続くであろう。

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 女子トップは竹井奈美! 11R3着で確定させた。4着でもトップには変わらなかったが、道中で垣内清美を逆転しての3着浮上は、何としてもトップとの気迫が実ったものだと思う。レース後に竹井が喜びを爆発させている姿というのはあまり見た記憶がなく、トップが決まってもなお大きなアクションは見せなかったが、それでも顔は明るい! ほのかに浮かぶ微笑が心中をあらわしていた。連勝が止まった4日目だったが、勝負はここからだ。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)