BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

いつも通りに熱い戦いが始まった初日前半のピット

f:id:boatrace-g-report:20200303115607j:plain

 ピットから1Rを眺める。スタンドのほうに目をやると、そこにいるはずのファンの姿はない。やはり少し不思議な感覚に陥る。水面ではいつもと変わらぬボートレースが行なわれているのだが、本場にファンがいないボートレース場はどこか異様である。
 だが、今も書いたとおり、水面は変わらない。1Rは番手争いがなかなか熾烈になった。そのとき選手の脳裏には相手を負かすことしかないだろうし、無人のスタンドも目に入らない。最後は安井瑞紀を追い詰めたものの4着に敗れた富樫麗加は、唇を噛み締めてピットに戻ってくる。そうした様子も、普段通りである。

f:id:boatrace-g-report:20200303115646j:plain

 ある意味で記念碑的なレースを制したのは鎌倉涼。こちらは出迎えた仲間に声をかけられて笑顔が浮かぶ。ファンの姿はなくとも、勝利はやはり嬉しい。そして、テレビやネットの向こうにいるファンに対しても思いを馳せたに違いない。鎌倉は、レース後こそ爽快に笑ってみせたが、勝利者インタビュー後は速攻でボートを整備室に運び込んでいる。逃げ切ったものの、感触はもうひとつ。後半11Rのため、本体整備で上積みをはかろうとしていたのだ。勝利は嬉しいが、戦いはここで終わりではない。

f:id:boatrace-g-report:20200303115711j:plain

 ピット内のモニターにリプレイが流れると、安井瑞紀、西岡育未が肩を並べて真剣な顔つきで見入っているシーンがあった。自分が戦ったレースを振り返り、何が良くて何が悪かったのかを確認する。これもいつも通りだ。若い彼女たちにとって、この行動が血肉を作っていく。

f:id:boatrace-g-report:20200303115737j:plain

 しんがりに敗れた高田ひかるも、遅れてここに加わった。レース後、「失敗した」という言葉が聞こえてきており、反省点の多いレースだったか。エンジン吊りを終えると、土屋実沙希と話し込む姿。ピットのカメラマンの多くがレンズを向けたが(アタシもです)、そちらに意識を奪われることなく会話を続けている。“反省会”に集中していたのだ。
 とにもかくにも、こうしてレディースオールスターは幕を開けた! 52名のレディースたちは引き続き、いつも通りに、いや、いつも以上に気持ちを込めて、全力で戦うだろう。(PHOTO/池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)