BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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鳴門レディースオールスターTOPICS 初日

新兵カルテット

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 119期と120期、つまりは今節の“新兵”たちが、無観客のレース場を縦横無尽に駆け抜けた。まずは1Rの安井瑞紀。最若手の120期からただひとり参戦した26歳(最年少ではない)は、アウト6コースからブイ際をシャープに差して2着争いに。一時は完璧に2番手を取りきり、①-⑥-③のピンマン(120倍)態勢を築きあげた。道中で惜しくも③深川麻奈美に捌かれ3着に後退したが、2連単240円に対して3連単3410円は大健闘と評していいだろう。

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「安井はテラッチのはじめてのお弟子さん」(黒須田談)とのことで、今節は心強い師匠がこの愛弟子の背中を優しくプッシュしてくれるはず。足色も互角以上に戦えるムードを漂わせており、明日の3R3号艇&8R1号艇で予選の上位グループに食い込む可能性もありそうだ。

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 3Rで主役を張ったのは、119期の實森美祐。2コースからただひとりゼロ台まで踏み込み、逃げる水野望美を俊敏な小回り差しで見事に捕えきった。呆れるほどインが強かった初日の中で、この2号艇1着はかなり価値の高い10ポイントと言えるだろう。。

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 さらに、「5コースの穴女子」として知られる實森が、あわやの見せ場を作ったのが後半8Rだ。5コースからここもゼロ台で突破し、艇団を真っ二つに割るような全速のまくり差し一閃。残念ながらわずかに艇がバウンドしてこの強襲は未遂に終わった(4着)が、今日の全レースの中で「ダッシュ戦から1着!?」と本気で思わせたのはこの實森だけだった。現状の59号機のパワー鑑定は、あって中堅上位までか。ただ、本人がもっとも重視している乗り心地はバッチリとのことで、明日の6R6号艇(5号艇に大山千広)でも全速の大技を警戒しておきたい。

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 同期のライバルが勝ったとなれば、私も! ってな感じで、4Rをしっかり逃げきったのが西橋奈未。ゼロ台ではなかったが、外の5艇を半艇身ほど出し抜いての先マイ、圧勝劇。

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「119期の穴女子」としては、實森よりもこの西橋がいち早く噂されたと記憶している。当時の得意戦法は5、6コースから自力で握ってのまくり差し。最近は4カドまくりが幅を利かせている印象もあるが、とにかくダッシュ戦では目を離せないスピードの持ち主だ。明日は2R3号艇と7R6号艇。もちろん舟券的に面白いのは後者で、6R6号艇・實森が活躍すればさらにモチベーションは高まるだろう(笑)。

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 實森、西橋ほどは目立たなかったものの、119期・23歳トリオの最若手(今節の最年少)土屋南もしっかり舟券に絡んだ。前半3Rは1着・實森から大きく水を開けられた5着。6コースから見せ場のない大敗で先行きが心配されたが、後半10Rは2コースから差して粘って2着8点をもぎ取った。その足色は前検~今日の3Rよりもかなり上昇した印象があり、それなりに臨戦態勢が整った2着と言えるだろう。明日は7R3号艇で⑥西橋とのマッチアップ。同期の攻めを封じ、さらなるポイントアップを目指す一戦となる。

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 さてさて、本邦初体験の「無観客レース」なのだが、現場で伝えるべきファクターはあまりにも少ない。元より鳴門の記者席はレース水面が見えない構造になっていて、さらに今日からはスタンドに出入りする扉もシャットアウト(観客と間違えられないための配慮だと思われる)。つまりは、「無人のスタンドに響くエンジン音」というSFチックな光景を拝むことすらできなかった。まあ、これはこれで記者席=異様な閉鎖空間という感じで『涼宮ハルヒの憂鬱』を連想したりもするのだが、一言で表現するなら「ヒマな1日」でありました(苦笑)。明日も本場にいながらひたすらモニターとニラメッコすることになりそうで、「レース班」としてどんな創意工夫ができるのか、ボンクラな脳みそをできる限り稼働させるとしよう。(photos/チャーリー池上、text/畠山)